【フィレンツェ】ドゥオーモ大聖堂の見どころと観光情報を徹底解説

フィレンツェ イタリア
ドゥオーモの景観

本記事では、フィレンツェのシンボルであるドゥオーモ大聖堂の見どころや観光情報について徹底解説いたします。他にもおすすめの撮影ポイントや、付属施設の観光情報など、ドゥオーモ観光に役立つ情報が満載です。

ドゥオーモとは - その建造と歴史について

ドゥオーモ クーポラ
ドゥオーモとジョットの鐘楼

一般的に「ドゥオーモ」の名で知られる大聖堂の正式名称は、花の聖母(マリア)を意味する「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」と言います。

この街のシンボルでもある「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」の建設は「アルノフォ・ディ・カンピオ」の設計によって1296年にスタートしました。

ところが、設計者であるカンピオの死などもあり、工事は予定通りに進みませんでした。何度も何度も中断を繰り返したすえ、クーポラを除く大聖堂部分が完成したのは、約100年後の1413年の事でした。

そして、ここから工事を進行するには大きな課題が残されていました。15世紀当時では、直径43メートル、高さ100mもあるクーポラの開口部分に屋根を加える技術はなく、工事の足場を組む事さえままなりませんでした。

この問題を解決し、多くの設計案から最適なものを選ぶ方法として、1418年に設計コンクールが開催されました。

そのコンクールで圧倒的な支持を集めて採用されたのが「ブルネッレスキ」がローマの古代建築からヒントを得て考案した「二重構造」の設計プランです。

これは、円蓋を2重構造にする事で工事の足場を確保しながら、徐々に建物を上方に築いていくというものでした。さらに2重構造によって重さを支えるポイントも分散されるので、強度的な面から考えても非常に素晴らしいプランでした。

しかし、当時としては「ブルネッレスキ」の設計案は革新的過ぎたため、彼の設計案を不安視する声もありました。そこで「ブルネッレスキ」の監視役として、彫刻家の「ギベルティ」が任命されました。これに激怒した「ブルネッレスキ」は、仮病などを使い、工事を進行しませんでした。

ドゥオーモ 西側ファサード

最終的には、彫刻家の「ギベルティ」が辞退したため、「ブルネッレスキ」は誰に気兼ねすることなく自身のクーポラ設計プランを実行できる様になりました。そして、大聖堂の工事着工から数えて、約140年後の1434年、ドゥオーモのクーポラ部分は完成を迎えました。

現在、我々が目にする事ができる「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」の姿は、クーポラ完成から更に約400年後に「ファサード(写真右上)」が加わったものです。このファサードの完成までを含めると、ドゥオーモの建設には、実に600年もの歳月が費やされています。

ドゥオーモ大聖堂と関連施設について

ドゥオーモ大聖堂があるドゥオーモ広場には、入場チケットや営業時間がそれぞれで異なる6つの見学スポットがあります。ドゥオーモ大聖堂の建物だけでも3つの入場スポットがあります。

まずは以下のドゥオーモ広場周辺マップにて、それぞれの見学スポットの位置関係をご確認ください。

① ドゥオーモ大聖堂内部② クーポラ③ サン・ジョヴァンニ洗礼堂④ ジョットの鐘楼⑤ ドゥオーモ付属美術館⑥ サンタ・レパラータ教会跡

ドゥオーモ大聖堂と付属・関連施設のイメージ写真

上記6箇所のうち「① 大聖堂内部」「② クーポラ」「⑥ サンタ・レパラータ教会跡」の3箇所は全て「ドゥオーモ大聖堂」の建物内にある見学スポットになります。ただし、予約なしで無料入場できる大聖堂内部以外は、「クーポラ」と「サンタ・レパラータ教会跡」でそれぞれの入場を含む「Brunelleschi Pass(ブルネレスキ・パス)」などのチケットが必要になります。

残りの「③ サン・ジョヴァンニ洗礼堂」「④ ジョットの鐘楼」「⑤ ドゥオーモ付属美術館」の3箇所は、ドゥオーモ 大聖堂とは別の建物になりますが、付属・関連施設として位置付けられています。ドゥオーモ関連全施設に入場可能な「Brunelleschi Pass(ブルネレスキ・パス)」などを購入する事で入場可能です。

ドゥオーモ大聖堂と関連施設のチケット・入場料金

ドゥオーモ関連の6施設に、それぞれ単体で入場できるチケットはなく、複数施設の入場がセットになった共通パス(全3種あり)を購入して見学する形になります。ただし、ドゥオーモ大聖堂内への入場に関しては、以前と同様に無料入場可能(チケット不要)です。また、6歳以下の方は全ての施設に無料入場できます。

ドゥオーモ大聖堂の内部の見学以外は、以下のいずれかの共通パス(チケット)を購入して入場する形になります。

Brunelleschi Pass(ブルネレスキ・パス)

チケット購入時に「クーポラ」の入場日時を指定する必要があります。それ以外の対象施設は好きなタイミングで入場できます。

料金
  • ・30ユーロ(大人)
  • ・12ユーロ(7-14歳)
  • ・無料(6歳以下)
入場可能施設
  • ・クーポラ(ドゥオーモの展望階)
  • ・ジョットの鐘楼
  • ・サン・ジョヴァンニ洗礼堂
  • ・ドゥオーモ付属美術館
  • ・サンタ・レパラータ教会跡

Giotto Pass(ジョット・パス)

チケット購入時に「ジョットの鐘楼」の入場日時を指定する必要があります。それ以外の対象施設は好きなタイミングで入場できます。

料金
  • ・20ユーロ(大人)
  • ・7ユーロ(7-14歳)
  • ・無料(6歳以下)
入場可能施設
  • ・ジョットの鐘楼
  • ・サン・ジョヴァンニ洗礼堂
  • ・ドゥオーモ付属美術館
  • ・サンタ・レパラータ教会跡

Ghiberti Pass(ギベルティ・パス)

チケット購入時に「サンタ・レパラータ教会跡」の入場日時を指定する必要があります。それ以外の対象施設は好きなタイミングで入場できます。

料金
  • ・15ユーロ(大人)
  • ・5ユーロ(7-14歳)
  • ・無料(6歳以下)
入場可能施設
  • ・サン・ジョヴァンニ洗礼堂
  • ・ドゥオーモ付属美術館
  • ・サンタ・レパラータ教会跡

以前まであった施設単体の入場チケットは2022年3月に廃止となりました。

ドゥオーモ大聖堂の入場予約について

ドゥオーモ大聖堂内部の見学にチケットは必要ありませんので「入場予約」という概念はありません。到着した順番に入口に並び、入場を待つ形になります。

クーポラ入り口付近の景観

上写真は「ドゥオーモ大聖堂内部の見学待ちの行列」です。無料という事もあり、例外なく混雑します。開館の1時間ぐらい前から並び始め、入口から「ジョットの鐘楼」を回り込んで建物の南側の方まで行列ができます。

混雑がひどい時などは、営業終了の1〜2時間ぐらい前に、その時点で列に並んでいる人までで入場を締め切ってしまう事もあります。夏場などは遅くとも15時(できれば14時)ぐらいまでには列に並んでおく必要があります。

ドゥオーモ大聖堂内部に並ばずに確実に入場されたい方は、料金的には割高となりますが、GET YOUR GIDE社などが提供する「フィレンツェ:ブルネレスキのドーム&大聖堂施設入場券」などに参加すれば、指定した時間に確実に入場できます。

GET YOUR GIDE フィレンツェ:ドゥオーモ大聖堂ガイド付きツアー

優先入場券の購入ではなく、英語のガイドツアーへの参加となりますが、確実に指定した時間に大聖堂内部に入場できるメリットは大きいと思います。ツアー終了後はそのまま大聖堂内部を自由に見学できます。

ドゥオーモ関連施設(クーポラを含む)の入場予約について

ドゥオーモ大聖堂を除く「ドゥオーモ関連施設(クーポラを含む)」の入場チケットは、事前に「公式チケット予約サイト(英語)」からオンライン予約が可能です。

ドゥオーモ大聖堂 クーポラの位置説明画像

入場できる施設は前項の「ドゥオーモ関連施設のチケットと入場料金」でご紹介した様に、購入するチケット(パス)によって異なります。

ドゥオーモ関連施設の中で、事前予約しないと当日入場が難しいのは「クーポラ(大聖堂のドーム部分)」のみとなりますが、クーポラに入場しない方もオンラインでチケット予約(購入)しておけば、当日にチケットオフィスに立ち寄る手間と時間を省略できます。

現地でクーポラを予約をしようしても、数日先まで予約が埋まっているケースが大半です。クーポラの入場を含む「Brunelleschi Pass(ブルネレスキ・パス)」さえ購入しておけば、全てのドゥオーモ関連施設の見学がスムーズになります。

ドゥオーモの公式サイト(英語ページ)でのチケット予約にハードルの高さを感じる方は、少々割高となりますが、GET YOUR GIDEの「フィレンツェ:デジタル パンフレット付き ブルネレスキのドーム入場」ページなどを利用すれば、手軽に日本語ページから予約が可能です。24時間前までキャンセル無料とかなり太っ腹です。

GET YOUR GIDEを利用した場合、クーポラを含むドゥオーモ関連の全施設に入場可能な「Brunelleschi Pass(ブルネレスキ・パス)」を予約する事ができます。予約や当日の利用方法の流れなどは以下の記事にて詳しく解説しております。

各施設の概要と営業時間

基本的にドゥオーモ大聖堂と全ての関連施設は、営業時間や入口が異なっています。例えば、クーポラは大聖堂の建物の一部ですが、営業時間も入口も大聖堂とは異なリます。

以下、ドゥオーモ大聖堂と関連施設の概要と営業時間になります。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオーモ)

ドゥオーモ大聖堂内部の景観と天井画「最後の審判」

予約なしで無料入場できる「ドゥオーモ大聖堂内部」には「最後の審判」や「ウッチェロの時計」など多くの見どころが存在しています。ドゥオーモ関連施設では、唯一無料入場できるのため、日中は建物に沿って入場待ちの行列ができます。確実に入場されたい方は、朝一番や閉館2時間ぐらい前の訪問がお勧めです。大聖堂内部の見どころに関しては、本記事後半の「ドゥオーモ大聖堂 外観の見どころ」と「ドゥオーモ大聖堂 内部の見どころ」の2項で詳しくご紹介しております。

営業時間10:15~15:45
休館日日曜、ミサの日、1月1日、4月9日(イースター)、12月25日

クーポラ

ドゥオーモのクーポラ

ドゥオーモのクーポラ(大聖堂の丸天井部分)は展望フロアになっており、入場の上で463段の階段を登りきると、フィレンツェ市内の絶景ビューを堪能する事ができます。更に、展望階に上る途中でクーポラの2重回廊部分の通路を歩くので、クーポラの天井画を間近で見ることができます。

クーポラに登るためには、事前のチケット予約が必須です。予約は「公式予約サイト(英語)」「現地のチケットオフィス」のいずれかの方法で行う事ができます。予約さえしてしまえば、決まった時間に並ばずにクーポラに入場する事ができます。ただし、当日のチケットオフィスでの予約は、3日後まで予約が埋まっているという事も普通にあります。事前に公式ページから数ヶ月前に予約を取っておくのがベストです。

営業時間
  • 08:15~19:30(月~金曜)
    ※ 最終入場は18:45まで
  • 08:15~17:15(土曜)
    ※ 最終入場は16:30まで
  • 12:45~17:15(日曜・祭日)
    ※ 最終入場は16:30まで
休館日1月1日、4月9日(イースター)、12月25日

サン・ジョヴァンニ洗礼堂

サン・ジョヴァンニ洗礼堂 外観と天井画「最後の審判」

ドゥオーモ西側のファサード正面に建つ八角形のビザンティン様式の建物が「サン・ジョヴァンニ洗礼堂」です。この洗礼堂はドゥオーモよりも遥かに早い11世紀には完成していました。

洗礼堂の東側にはギベルティが制作した「天国の扉」と呼ばれる黄金の扉があるほか、内部に入場すると天井一面に、黄金の美しいモザイク画「最後の審判」が描かれています。多少行列ができる事もありますが、ドゥオーモ関連施設の中では混雑が緩やかな施設の一つです。

営業時間
  • 08:30~19:45
    ※ 最終入場は19:30まで
  • 08:30~13:45(第1日曜のみ)
    ※ 最終入場は13:30まで
休館日1/1、12/25、イースターの日

ジョットの鐘楼

ジョットの鐘楼の外観と装飾

ドゥオーモの西側ファサードの右手側に建つ、高さ84.7m、幅15mの塔が「ジョットの鐘楼」です。ジョットの鐘楼の上は展望階になっており、414段の階段を登ってアクセスする事ができます。鐘楼の上からは、フィレンツェ市内の景観をパノラマビューで望むことができます。日中は行列が出来ている事が多いですが、行列の回転は早いので見た目ほど並ばずに入場する事ができます。

景観的にはクーポラよりも、こちらのジョットの鐘楼からの方が、クーポラが正面に見える分、見栄え的に映える写真が撮れます。ただし、人気があるのは圧倒的にクーポラの展望階になります。

営業時間
  • 08:15~19:30
    ※ 最終入場は18:45まで
休館日1/1、12/25、イースターの日

ドゥオーモ付属美術館

ドゥオーモ付属美術館の入口とドゥオーモの模型

ドゥオーモ付属美術館では、ドゥオーモの建築や歴史に関連した美術品や資料が展示されています。ギベルティの天国の門のオリジナルや、ミケランジェロのピエタ、ドナテッロのマグダラのマリア、ドゥオーモの模型などもここで鑑賞する事ができます。ドゥオーモ関連施設の中では最も混雑が緩やかですが、見学ボリュームと見応え十分の穴場スポットです。

営業時間
  • 08:30~19:00
休館日第一火曜、1/1、12/25、イースターの日

ドゥオーモ大聖堂 外観の見どころ

まずは、ドゥオーモの外観の見どころからご紹介します。

ドゥオーモ西側のファサード

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオーモ)の西側ファサード

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオーモ)の西側には、美しい彫刻が施されたファサードがあります。大聖堂内部にはこのファサードの入口から入場します。ファサードに向かって右側の縦長の建物は「ジョットの鐘楼」です。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオーモ)の西側ファサード

西側ファサードは、ドゥオーモで最も遅く完成した部分で、かつては数世紀に渡り未完のまま放置されていました。デザインも何度か変更され、初代のファサードは1296年から「アルノルフォ・ディ・カンビオ」によって製作が開始されました。しかし、カンビオが亡くなった事もあり、下部分以外の装飾は未完に終わりました。その時のファサードの模型は、現在ドゥオーモ付属美術館に展示されています。

付属美術館の展示品「ドゥオーモのファサード模型」

その後、ファサードにだまし絵が描かれた時期もありましたが、1864年に新しいファサードを設計するためのコンテストが開催され、見事「エミリオ・デ・ファブリス」という彫刻家が勝利しました。現在、見る事ができるファサードの装飾は、その「ファブリス」が1871年から1887年にかけて手がけたものです。赤、緑、白の大理石を使用した幾何学模様の装飾は非常に美しいです。

ドゥオーモ 西側ファサードの彫刻

正面ドアの上方には「使途のギャラリー」と呼ばれる彫像群が並んでいます。

ドゥオーモ 西側ファサードの彫刻

ファサードの3つある扉上部のルネット(半円)部分には、キリストや宗教をテーマーにしたモザイク画がそれぞれに描かれています。以下ファサードに向かって左側から順に写真だけご紹介します。

ドゥオーモ 西側ファサードのフレスコ画

ドゥオーモ 西側ファサードのフレスコ画

ドゥオーモ 西側ファサードのフレスコ画

この3つのフレスコ画は、フィレンツェの彫刻家「ニコロ・バラビーノ(1831–1891) 」が全て手がけました。

ドゥオーモ南側の景観

ドゥオーモは、見る角度によって見え方が全然違います。下画像は建物の南側に回って撮影したものです。

ドゥオーモ 南側の景観

ドゥオーモの長さは153メートルありますが、この南側に回ってみると、その長さを感じる事ができます。

ドゥオーモ 南側の景観

ドゥオーモ北側の景観

日中は西側の大聖堂入口からこの北側まで大聖堂の入場を待つ人で長蛇の列ができます。予約必須のクーポラの登り口もこの北側に入り口があります。

ドゥオーモ 北側の景観

ドゥオーモ東側の景観

ドゥオーモの東側は、大聖堂の最奥部にあたります。意外と見逃しがちなので、ドゥオーモの外観はぐるりと一周回って見学することをお勧めします。

ドゥオーモ 東側の景観

写真は修復中の時期に撮影したものですが、現在は修復が完了しております。

ドゥオーモ大聖堂 内部の見どころ

ドゥオーモの内部には、西側ファサードの入口から入場します。下の写真と模型を参考にしてください。

ドゥオーモ大聖堂の入口

ドゥオーモ大聖堂の入口

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオーモ)は、長さ153メートル、身廊幅38メートル、翼廊幅90メートル、最大収容人数は3万人と、世界でも有数の大きさを誇るラテン十字型の大聖堂です。

ドゥオーモ大聖堂内部の景観

内部は、尖頭のアーチやリブ・ヴォールトの天井など典型的なゴシック様式の構造で、中央の身廊と2つの側廊からなる三廊式で構成されています。ヨーロッパの大聖堂を数多く見てきた方からすると、然程の斬新さは感じないかもしれません。ドゥオーモはどちらかと言えば、外観の美しさが魅力だと思います。

ドゥオーモ大聖堂内部の景観

大聖堂内の44枚の窓には、キリストと聖母マリアの生涯の場面や、聖書に登場する聖人たちの姿が描かれています。これらはルネッサンス初期を代表する偉大な芸術家たち(ドナテッロ、ギベルティ、ウッチェッロ、カスターニョなど)が手がけたものです。

ドゥオーモ大聖堂内部のステンドグラス


ここから更に大聖堂内の見どころについて詳しく解説していきますが、まずは以下の「聖堂内マップ」にて、各見学ポイントをご確認ください。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオーモ)内図 - 見学ポイント

① ウッチェロの時計② ニッコロ・ダ・トレンティーノ騎馬像③ ジョン・ホークウッド騎馬像④ 神曲を持つダンテの肖像⑤ 最後の審判⑥ 主祭壇と十字架像⑦ サンタ・レバラータ教会の跡地

細かく記せば、まだまだ見学ポイントはたくさんありますが、ガイドブックなどでもよく紹介されているのは上記6箇所になります。それぞれの見学ポイントについて以下より詳しく解説していきます。

ウッチェロの時計

ドゥオーモの西側の入口から入場して後ろを振り返り、視線を上部に向けると、1443年に制作された「ウッチェロの時計」を目にする事ができます。

ウッチェロの時計

この時計は初期ルネサンスの画家「パオロ・ウッチェロ」が設計した24時間時計で、通常の時計と逆回りで動きます。

ウッチェロの時計

現在も日没を知るための役割を担っており、微調整されながら使用されています。4.6m四方の正方形の四隅には、預言者の顔が遠近法を駆使して立体的に描かれていますが、これは時計の「現在」に対して「未来」を示唆しています。

騎馬像のフレスコ画

フレスコ画 ジョンホークウッド騎馬像

入口から左側の側廊に沿って少し進むと、壁際に2枚の騎馬像のフレスコ画が飾られています。向かって左側が、15世紀のイタリア画家「アンドレア・デル・カスターニョ」作の「ニッコロ・ダ・トレンティーノ」の騎馬像、右側が「パオロ・ウッチェロ」作の「ジョンホークウッド騎馬像」で、英国出身の傭兵隊長ジョン=ホークウッドの騎馬像を描いた作品です。

フレスコ画 ジョンホークウッド騎馬像

ドゥオーモ大聖堂は、市民の寄付金で建てられたため、フィレンツェの著名人や軍事指導者を称える美術品が何点もあります。

神曲を持つダンテの肖像

大聖堂の真ん中あたり、左手側廊の壁には、フィレンツェ派のイタリア画家「ドメニコ・ディ・ミケリーノ」が1465年に手がけた「神曲を持つダンテの肖像」が飾られています。

神曲を持つダンテの肖像

作品名の通り中央に立つのは神曲を持つ「ダンテ」で、中央と左側には天国と地獄、その右手側には未完成のドゥオーモとフィレンツェの景観が描かれています。

ダンテはフィレンツェ出身の詩人でしたが、政争に敗れてフィレンツェを追放され、以後故郷のフィレンツェに二度と足を踏み入れる事はありませんでした。

最後の審判

ドゥオーモ大聖堂内部の見学で必見なのが、八角形の天井に描かれた「最後の審判」のフレスコ画です。

ドゥオーモの天井画 最後の審判

このフレスコ画は、ミケランジェロの弟子で「ヴァザーリの回廊」も手掛けた「ジョルジョ・ヴァザーリ」が中心となり、1572年から1579年にかけて制作されました。

完成から400年以上経過しているにも関わらず、現在も非常に良好な状態を保っているのは、1978年から1994年にかけて行われた大規模修復のおかげです。

ドゥオーモの天井画 最後の審判

作中では、人間が生前の行いによって、天国行きか地獄行きかを再臨したキリスト(画像右上)によって審判される聖書の一場面「最後の審判」が描かれています。全体は大きく5つの場面で構成されており、一番内側の八角形には預言者たちが描かれています。

ドゥオーモの天井画 最後の審判の部分画像 - 預言者たち

逆に一番外側の八角形部分には、地獄の場面(画像下)が描かれています。

ドゥオーモの天井画 最後の審判の部分画像 - 地獄

「ミケランジェロ」も、この30年程前にシスティーナ礼拝堂に「最後の審判(1536年~41年)」の壁画を描いており、ヴァザーリとその他の弟子たちは、このミケランジェロの最後の審判を大いに参考にして本作を作り上げました。

主祭壇と十字架像

ドゥオーモ大聖堂の最奥部分には、イタリア彫刻家「バルトロメオ・バンディネッリ」などが手掛けた「主祭壇」と「大理石の祈祷席」があります。主祭壇の下のブロンズ製の棺には「聖ゼノビウス」の聖遺物が収められています。

大理石の祈祷席と主祭壇

また、主祭壇に置かれている「十字架象(画像下)」は、彫刻家で木工細工師の「ベネデット・ダ・マイアーノ」が手掛けたものです。

ドゥオーモ大聖堂 主祭壇の磔刑象

内部の見どころは以上ですが、1980年頃まではミケランジェロが生涯で4体制作した「ピエタ像(画像下)」オリジナルもこの聖堂内におかれていました。現在、このピエタ像はドゥオーモ付属美術館に展示されています。

ミケランジェロ作 ピエタ

付属美術館には、かつて大聖堂内に展示されていた多くの美術品が展示されています。

サンタ・レバラータ教会の跡地

大理石の祈祷席と主祭壇

現在のドゥオーモ大聖堂が建設された場所には、7~9世紀頃まで「サンタ・レバラータ教会」がありました。その後は長らく地下に埋もれていましたが、1966年にドゥオーモ大聖堂の修復作業を行った際に、地下でサンタ・レバラータ教会の遺跡が発見され、一般公開されるようになりました。

サンタ・レバラータ教会の跡地では、教会の柱や壁、美しいモザイク床などを見学する事ができます。また、ドゥオーモ大聖堂のドームを完成させた「ブルネッレスキ」のお墓もここにあります。

この地下遺跡は、ドゥオーモ大聖堂内部にある階段からアクセスできるほか、大聖堂南側の入口からも入場可能です。

ドゥオーモ周辺マップと入場可能施設

ドゥオーモのお勧め撮影ポイント

「ドゥオーモ」はフィレンツェのシンボルだけあって、フィレンツェ市内に絶景ポイントが多く存在しています。本項では、その中でも特におすすめの撮影ポイントを厳選してご紹介します。

ジョットの鐘楼の展望フロアから撮影

最も王道で人気がある「ドゥオーモ」の撮影ポイントは、ジョットの鐘楼の展望フロアです。この景観を求めてフィレンツェを訪れる方も多いのではないでしょうか。

ジョットの鐘楼から見るクーポラ

ミケランジェロ広場から撮影

やや遠目のアングルになりますが、夕焼け時の景観は、このミケランジェロ広場の右に出る場所はありません。

ミケランジェロ広場から見るドゥオーモとフィレンツェ市内

ドゥオーモ広場から撮影

ドゥオーモ広場は、超定番と言える「ドゥオーモ」の撮影ポイントです。広場に足を運べば、色んな角度やアングルでドゥオーモを撮影ができるのが魅力です。

ドゥオーモ広場から見るドゥオーモの景観

パラッツォ ガンバ ラグジュアリー アパートメンツから撮影

ドゥオーモが部屋から見える人気アパートメントホテル「パラッツォ ガンバ ラグジュアリー アパートメンツ」からならいつでも好きな時に目の前でドゥオーモを撮影できます。

パラッツォ ガンバ ラグジュアリー アパートメンツから見るドゥオーモの景観パラッツォ ガンバ ラグジュアリー アパートメンツ 部屋からの眺め

ボーボリ庭園から撮影

ピッティ宮殿の敷地内にあるボーボリ庭園からもドゥオーモを撮影する事ができます。他の場所から見るドゥオーモと違って、のどかな雰囲気の写真が撮影できます。

ボーボリ庭園から見るドゥオーモの景観

ドゥオーモ付属美術館から撮影

意外と知られていませんが、ドゥオーモ付属美術館のテラスからも、ドゥオーモのクーポラを間近で見る事ができます。撮影できるのはドゥオーモ東側の後塵部分になるので、結構マニアックなアングルですが、非常に迫力のある写真が撮影できます。

ドゥオーモ付属美術館のテラスから見るドゥオーモの景観

ヴェッキオ宮殿 アルフォルノの塔からの景観

シニョーリア広場の南東側に隣接するヴェッキオ宮殿の塔もフィレンツェ市内を見渡せる絶景スポットの一つです。

高さはドゥオーモのクーポラに次ぐ94メートルを誇ります。

所要時間の目安とおすすめの訪問時間帯

ドゥオーモの装飾

ドゥオーモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)内部の見学所要時間は30分~40分もあれば十分だと思います。

ただし、上記の所要時間に入場待ちの時間は含まれておりません。ドゥオーモ入場はクーポラの様に入場予約ができないため、夏場などは入場待ちで長蛇の列ができます。

入場の待ち時間を踏まえたトータルの所要時間は、混雑具合にもよりますが、1〜2時間(うち待ち時間30分~60分)ぐらいが平均だと思います。11月~4月頃のローシーズンであれば、ほぼ並ばずに入場できる事も多いです。

どちらにしても、ドゥオーモを見学する場合は、開館前の朝一番か閉館の1時間〜2時間前ぐらいの訪問がお勧めです。11時〜14時ごろは混雑ピークとなる可能性が高いので避けるのが賢明です。

見学の訪問時間を踏まえた「ドゥオーモ大聖堂と関連施設の見学モデルコース」に関しては次項にて解説します。

ドゥオーモ大聖堂と関連施設の回り方

ドゥオーモ大聖堂と付属・関連施設のイメージ写真

本項では、あくまでも目安として、ドゥオーモ関連施設のうち6箇所を1日で観光するモデルコースをご紹介しますが、ご自身の予定や体力、嗜好などに合わせて訪問スポットをご調整ください。また、ドゥオーモの入場チケットは全て3日間有効なので、観光日数に余裕のある方は、日にちを分けて訪問ください。

基本的には、無理にドゥオーモ関連施設を全て観光するよりも「① ドゥオーモ大聖堂内部」「④ サン・ジョヴァンニ洗礼堂」「⑤ ジョットの鐘楼」の3箇所に絞って観光するだけで十分だと思います。というよりも、6箇所全てを観光される方は稀だと思います。

残った滞在時間は「ウフィツィ美術館」「アカデミア美術館」「ミケランジェロ広場」などの観光に充てるのがお勧めです。

ドゥオーモ関連施設を1日で回るモデルコース

以下、フィレンツェ滞在日数が限られる方のために作成した、ドゥオーモ関連施設を1日で巡るモデルコースです。

8:15 クーポラに登ってパノラマビューを堪能

クーポラの展望フロアの景観
見学の所要目安:40分~50分

まずは一番営業開始時間が早い「クーポラ」から見学します。ドゥオーモ東側の入口から463段の階段を上って、展望フロアを目指します。クーポラはドゥオーモ関連施設の中で最も人気のあるスポットなので、必ず事前にチケットを予約購入の上で訪問してください。予約した日時に入り口付近に行けば並ばずに入場できます。

10:15 ドゥオーモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)内部を見学

ドゥオーモ大聖堂内部の景観
見学の所要目安:30分〜40分

無料入場できる「ドゥオーモ大聖堂内部」はクーポラと並ぶ最混雑スポットです。可能であれば、遅くとも営業開始の30分ぐらい前には入口付近の行列に並んで開館を待ちます。時間と体力に余裕があれば、内部の階段から直接アクセスできる地下の「サンタ・レバラータ地下教会の跡地(クリプト)」も見学してください。

11:00 サン・ジョヴァンニ洗礼堂を観光

サン・ジョヴァンニ洗礼堂の外観
見学の所要目安:20分~30分

ドゥオーモ大聖堂を見学した後は、比較的混雑が緩やかな「サン・ジョヴァンニ洗礼堂」を見学します。洗礼堂内で「最後の審判」の天井画をじっくりと鑑賞した後は、サン・ジョヴァンニ洗礼堂外の東側の扉「天国の門」も忘れずに見学してください。もしこの洗礼堂に行列ができている場合は、見学を夕方以降に回してしまった方が良いと思います。このスポットは混雑に並があるので、混雑が少ない時に訪問するのがコツです

13:00 ドゥオーモ付属美術館で美術品を見学

ドゥオーモ付属美術館 展示室の景観
見学の所要目安:50分~60分

サン・ジョヴァンニ洗礼堂の観光後、ランチタイムと休憩を挟んで「ドゥオーモ付属美術館」を見学します。館内は混雑も緩く座れる場所も多いです。休憩も兼ねながらゆっくりと見学してください。ドゥオーモの歴史や美術品に興味がなければ、この美術館の見学はスキップしてしまっても良いと思います。

16:00 ジョットの鐘楼

ジョットの鐘楼の景観
見学の所要目安:40分〜45分

「クーポラ」と「ジョットの鐘楼」を同日に登る必要はありませんが、昼休憩やランチを挟めば、そこまで無茶なスケジュールではありません。途中に休憩ポイントもあるので、クーポラと比べると、ご自身のペースでゆっくりと登れると思います。また、混雑を避けるという意味では、16時以降の訪問がお勧めですが、綺麗な写真を撮影したい方は、翌日以降の正午〜14時ぐらいの時間帯で訪問するのがベストです。下の様に青空をバックに順光で写真が撮れます。

ジョットの鐘楼から見るクーポラ

時期にもよりますが、夕方以降だと「ジョットの鐘楼」の影が「クーポラ」にかかってしまう時があります。

ジョットの鐘楼から見るクーポラ

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