サン・ジョヴァンニ洗礼堂 観光情報(入口・チケット売り場・入場料金・営業時間など)

(公開:2018年3月19日)

フィレンツェ イタリア
サン・ジョヴァンニ洗礼堂の外観

「サンタ・マリア・デル・フィオーレ教会(ドゥオーモ)」の入り口正面に位置するのが、この八角形が特徴の「サン・ジョヴァンニ洗礼堂」です。

ドゥオーモ付属施設の一つであるこの洗礼堂は、クーポラやドゥオーモ大聖堂と並んで、フィレンツェの定番観光スポットの一つとなっています。

本記事では、この「サン・ジョヴァンニ洗礼堂」の見どころはもちろん、洗礼堂の入り口から入場料金まで、洗礼堂観光に役立つ基本情報を詳しく紹介しております。

サン・ジョヴァンニ洗礼堂とは

洗礼堂内部の景観

サン・ジョヴァンニ洗礼堂は、フィレンツェ最古の建造物の一つで、洗礼者ヨハネに捧げられています。

その起源は隣接するドゥオーモ大聖堂よりも遥かに古く、古代ローマ時代の4〜5世紀ごろまで遡ります。ただし、現在の洗礼堂の姿は11〜13世紀の間て形造られたものです。

フィレンツェ出身の詩人「ダンテ」は彼の詩の中で、この町で生まれたものはみな「サン・ジョヴァンニ洗礼堂」で洗礼を受ける。それがフィレンツェで生まれた人間の共通の特徴だと歌っています。実際にダンテ自身もここで洗礼を受けた一人です。

現在、この洗礼堂では、ミケランジェロが絶賛したとされる「天国の門」や、天井一面に描かれた「黄金のモザイク画」など、イタリア芸術史上でも傑作と呼ばれる美術作品を見る事ができます。

サン・ジョヴァンニ洗礼堂 基本情報

サン・ジョヴァンニ洗礼堂の外観

営業時間と休館日

洗礼堂の営業時間は平日と、土曜日、日曜日でそれぞれ異なります。

営業時間

コロナウィルス期間中の営業時間は月曜日から日曜日まで11時15分 ~ 17時15分までとなっております。以下はコロナ前の通常時の営業時間となります。

  • ・08:15~10:15 / 11:15〜19:30(月〜金曜)
  • ・08:15〜19:30(土曜)
  • ・08:15〜13:30(日曜)

休館日

1/1、9/8、12/25、イースターの日

チケット料金

洗礼堂のチケット料金は、ドゥオーモ付属美術館との共通チケットがメインとなります。ただし、美術館が休館の毎月第1週目の火曜日のみ、洗礼堂単体の入場チケットの購入が可能となります。

■ 共通チケット(洗礼堂 + ドゥオーモ付属美術館)

  • 10ユーロ(一般大人)
  • 5ユーロ(7~14歳)

毎月第1週目の火曜日は、付属美術館が休館のため利用不可です。

■ 洗礼堂のみ

  • 5ユーロ(一般大人)
  • 3ユーロ(7~14歳)

毎月第1週目の火曜日のみ利用可能。

チケットはオンライン、もしくは当日にチケットオフィスや自動券売機で購入する事ができます。

洗礼堂の行き方と入口、チケットオフィスの場所について

サン・ジョヴァンニ洗礼堂はフィレンツェの列車駅「サンタ・マリア・ノヴェッラ駅」から徒歩12分ほどで、ほぼフィレンツェの中心に位置しております。

ドゥオーモ広場周辺の施設と「サン・ジョヴァンニ洗礼堂」の位置関係や、チケットオフィスの場所などは以下のドゥオーモ周辺地図を参考にしてください。

ドゥオーモ周辺マップ サンジョヴァンニ洗礼堂とチケットオフィスの場所

チケットオフィスは数カ所ありますが「ドゥオーモ大聖堂南側」か「ドゥオーモ付属美術館内」のチケットオフィスの利用がお勧めです。ジョットの鐘楼とドゥオーモ大聖堂内にある簡易的なチケット売り場は建物に入らないと利用できないので、あてにしない方がいいです。

▼「サン・ジョヴァンニ洗礼堂」の入り口は八角形の建物の北側になります。

「サン・ジョヴァンニ洗礼堂」の入り口

写真の右側の大きなドアが洗礼堂の入口です。ドゥオーモの正面ファサードを左手側の目印とすると分かりやすいと思います。

ドゥオーモの関連施設

ドゥオーモ広場には、サン・ジョヴァンニ洗礼堂を含む6つのドゥオーモ関連施設があります。各施設の位置関係は以下の地図をご覧ください。

①ドゥオーモ大聖堂②クーポラ③テラス④サン・ジョヴァンニ洗礼堂⑤ジョットの鐘楼⑥ドゥオーモ付属美術館

3つのブロンズ扉

サン・ジョヴァンニ洗礼堂の北、南、東の三方には、金箔をほどこした3つの巨大ブロンズ扉があります。残念ながら、これらは3つともレプリカとなりますが、実際に洗礼堂に扉がはめ込まれた状態で見学できるのはこの場所だけです。

現在、3つの扉のオリジナルは「ドゥオーモ付属美術館」に展示されています。サン・ジョヴァンニ洗礼堂とドゥオーオ付属美術館の入場チケットはセットになっていますので、時間のある方は是非足を運んで、本物とレプリカを見比べてみてください。

以下より、3つの扉それぞれについて詳しく紹介致します。

東側の扉 - 天国の門

ギベルティ作 天国の扉のオリジナル

3つの扉で1番最後に制作された「東側の扉」は、あのミケランジェロが「まるで天国の門の様だ」と言った事から「天国の門(1425〜1452年制作)」と呼ばれています。

ミケランジェロは、システィーナ礼拝堂の天井画を描く際に、このギベルティ作の「天国の門」を大いに参考にしたと言われています。

参考までに、上の写真はドゥオーモ付属美術館に展示されているオリジナルになります。1966年の洪水でオリジナルが損傷した際にレプリカと入れ替えられました。そのレプリカとオリジナルを比較した写真が以下になります。

ギベルティ作 天国の扉のレプリカとオリジナルの比較画像

明らかにオリジナルの方が煌びやかですが、当然過去に修復や張り替えなどは何度か行われていると思います。

天国の門の製作は、既に1424年に北側の扉を完成させていた「ロレンツォ・ギベルティ」が再び担当し、1425年から1452年までの期間をかけて完成させました。

扉の装飾は10枚のパネルを使用し、向かって1番左上の「アダムとエヴァの創造から」、1番右下の「ソロモン王とシバの女王」まで、旧約聖書を題材にした場面が描かれています。

以下はそのうちの2パネル「アブラハムの物語」と「ソロモン王とシヴァの女王」です。パネルの場面は左から右へ、上から下へと流れていきます。

ギベルティ作 天国の扉のパネル部分

ギベルティ自身の顔を象った彫刻も、上から3番目のパネル下部あたりに見ることができます。

天国の扉 部分画像 - ギベルティの顔彫刻

北側の扉

ギベルティ作 北側の扉のオリジナル

3つの扉で2番目に制作されたのが北側の扉(1403〜1424年制作)です。ギルベルティは、1401年に行われた洗礼堂の扉の製作者を決めるコンクールで勝利した2年後にこの扉の製作にとりかかりました。

扉の装飾には、28枚のパネルを用いて、新約聖書の物語「キリストの生涯」「4人の福音史家」「四人の教会の教父」などが表現されています。上の写真はドゥオーモ付属美術館に展示されているオリジナルの方です。

南側の扉

アンドレア・ピサーノ作 南側の扉のオリジナル
"South Doors of the Florence Baptistry" by Kandi is licensed underCC BY 3.0

三つの中で最も古いのがこの南側の扉(1329〜1336年制作)で、彫刻家「アンドレア・ピサーノ」によって制作されました。ただし、アンドレアが作った原型を元に仕上げの鋳造(ちゅうぞう)を行ったのは「レオナルド・ダヴィンチ」だと言われています。鋳造とは、液体にした材料を型に流し込み、冷やして目的の形状に固める加工方法の事です。

南側の扉の装飾は、聖ヨハネの生涯の物語を描いた28枚のパネルで構成されています。完成当初、この扉は東側に設置されていましたが、天国の門の完成後に現在の場所(南側)に移されました。

洗礼堂内部の見どころ

直径約26mほどの洗礼堂内部は、窓から漏れる自然光だけが堂内を照らし、厳粛な雰囲気がただよっています。

サン・ジョヴァンニ洗礼堂 内部の景観

サン・ジョヴァンニ洗礼堂は、パンテオンなどのローマ時代の建造物に着想を得て建造されました。堂内は1分もあれば一周できてしまう程度の広さです。

サン・ジョヴァンニ洗礼堂 内部の景観

床や壁面などには、ポリクローム大理石が多用されています。

サン・ジョヴァンニ洗礼堂の床

黄金のモザイク画

洗礼堂内部の1番の見どころは、何と言っても天井一面に描かれた黄金のモザイク画です。

洗礼堂内部 天井のモザイク画

このモザイク画を実際に製作したのはヴェネツィアのモザイク職人達ですが、構図や原案は14世紀初頭のフィレンツェを代表する芸術家たち(チマブーエ、メリオーレなど)によってつくられたそうです。製作期間は1225年〜1330年まで1世紀以上に渡りました。

装飾は下画像の様に大きく6つシーンに分類されています。

① 最後の審判② 天使の階級③ 天地創造④ ヨセフ物語⑤ 新約聖書⑥ 洗礼者ヨハネ

サン・ジョヴァンニ洗礼堂 - 黄金のモザイク画の装飾分類図

「① 最後の審判」と「② 天使の階級」を除く、③〜⑥までは、それぞれ時計回りに物語が繋がっています。

6つのシーン中でもひときわ大きなスペースを占有しているのが「① 最後の審判(画像下)」です。

サン・ジョヴァンニ洗礼堂 - 黄金のモザイク画の最後の審判

最後の審判は、中央に再臨したイエス・キリストが、死者に天国行きか地獄行きかの審判を下す場面を描いた作品です。このシーンを描いた作品で最も有名なのが、システィーナ礼拝堂(バチカン市国)の天井を飾るミケランジェロ作の「最後の審判」です。

光が差し込む中心点に最も近い六角形部分には「② 天使の階級」をテーマにしたモザイク画が描かれています。天使は上位・中位・下位の三隊に分かれており、全部で9つの階級が存在します。階級が低い天使ほど人間に近い存在であるとされています。

サン・ジョヴァンニ洗礼堂 - 黄金のモザイク画の天使の階級

ネオ・ロマネスク様式の高祭壇

サン・ジョヴァンニ洗礼堂 - 高祭壇

このネオ・ロマネスク様式の高祭壇は、20世紀初頭に建築家「ジュゼッペ・カステルッチ」によって、元の断片を元に復元されたものです。その際に祭壇を飾る彫刻群も置き換えれ、オリジナルはドゥオーモ付属美術館に展示されています。

祭壇の上のフレスコ画は、13世紀前半に製作されたと言われており、黄金のモザイク画よりも歴史が古い貴重なものです。

サン・ジョヴァンニ洗礼堂 - 高祭壇のフレスコ画

対立教皇ヨハネス23世の墓

サン・ジョヴァンニ洗礼堂 - 教皇ヨハネス23世の墓

こちらは正統なローマ教皇(グレゴリウス12世)と対立しながら、メディチ家当主「ジョヴァンニ・ディ・ビッチ」のバックアップを受けて教皇になった「教皇ヨハネス23世の墓」です。その経緯から対立教皇とも呼ばれています。

この墓碑はドナッテロとその弟子のミケランジェロによって1421~1427年に共同制作されました。上部の横たわる「教皇像」はドナッテロが、それ以外の大部分はミケランジェロが手がけました。

12星座の大理石床

12星座の大理石床"Battistero di firenze, pavimento" by Sailko is licensed underCC BY 3.0

洗礼堂の大理石床の一部には、円の中に12星座が描かれた部分があります。この部分は、11世紀半ば頃に作られ、かつては、夏の正午近くになると、太陽の光が洗礼堂ドーム上部にある穴を透過し、12星座の中央部分を数分間照らしていました。

しかし、13世紀に行われた改修工事によって、ドームの頂点が完全に覆われ、それ以降はこの床部分を太陽光が照らす事はなくなりました。

洗礼堂内の見どころは以上です。かつては、ドナテッロ作のが木製彫刻「マグダラのマリア」もこの洗礼堂内に置かれていましたが、1966年の洪水で被害を受けたため、現在はドゥオーモ付属美術館に展示されています。

所要時間の目安

サン・ジョヴァンニ洗礼堂の観光に必要な所要時間は20分~30分ほどです。
大きな見所は内部だと天井画、外観だと建物の東側にある「天国の門」ぐらいなので、人によっては10分もあれば所要時間は十分かもしれません。

ただ、ドゥオーモ広場の中では最古の建造物と言われており、歴史的には非常に貴重な建物なので、軽く見るだけでも是非内部と外観の両方を見学する事をおすすめします。