メディチ家礼拝堂 観光ナビ – 見どころ、チケット購入方法、営業時間、所要時間

本記事では、フィレンツェの穴場的観光スポット「メディチ家礼拝堂」の営業時間やチケット料金などの基本情報はもちろん、チケット購入方法や見どころ、入口の詳細まで、豊富な写真を交えて詳しく解説します。これからメディチ家礼拝堂を観光する上で役立つ情報が満載です。
メディチ家礼拝堂とは
サン・ロレンツォ教会と隣接して西側に建つ八角形の建物が「メディチ家礼拝堂」です。この礼拝堂は、初代トスカーナ大公「コジモ1世」、2代目「フランチェスコ1世」、3代目「フェルディナンド1世」など、初代から6代目までのトスカーナ大公までがまつられている霊廟です。
建物は初代の「コジモ1世」が着想していましたが、建設が着工されたのは1602年、第3代トスカーナ大公「フェルディナンド1世」の時代でした。
建設担当者を選ぶにあたってはコンクールが開かれ、メディチ家のお抱え建築家として名を馳せていた「ベルナルド・ブオンタレンティ」のプランを押しのけて、「マッテオ・ニジェッティ」のプランが採用されました。その後、ニジェッティは1650年まで設計責任者を務めましたが、最終的にこの礼拝堂が完成したのは1962年の事でした。
メディチ家礼拝堂は、主にバロック様式の「君主の礼拝堂」と「新聖具室」の2つの建物で構成されています。この礼拝堂と新聖具室を総称して「メディチ家礼拝堂」と呼ぶのが一般的です。
メディチ家礼拝堂の基本情報(営業時間・休館日・入場料金)
「メディチ家礼拝堂」の営業時間・休館日・入場料金は以下のとおりです。
営業時間
- 8:15-18:50
※チケットオフィスは閉館時間の40分ぐらい前にクローズします。
休館日
毎週火曜、1/1、5/1、12/25
入場料金
- 9ユーロ(窓口購入)
- 12ユーロ(オンライン購入)
メディチ家礼拝堂 チケット購入方法
「メディチ家礼拝堂」のチケット購入は「現地窓口」や「公式販売サイト」などで可能です。また、若干の手数料は払えば「日本語ページのサイト」からも手軽に予約する事ができます。以下各購入方法の概要になります。
公式販売ページで購入する(英語ページ)
料金:12ユーロ
「メディチ家礼拝堂」のチケットをオンライン購入(予約)する場合の正規ルートは、ウフィツィ美術館のチケットなども購入できる「B-ticket」というサイトからの購入になります。窓口での正規料金に+3ユーロの予約手数料が発生しますが、当日券購入列に並ぶ必要はなく、指定時間にスムーズに入場する事ができます。購入ページの言語は英語となるため、英語ページに抵抗がない方であれば、一押しの購入方法です。チケット購入後のキャンセルはできませんので、日程を確定の上でご利用ください。
GET YOUR GIDEで購入する(日本語ページ)
料金:14.0ユーロ
「GET YOUR GIDE(日本語)」というサイトの「フィレンツェ:メディチ家礼拝堂の予約入場券ページ」からも、入場日時を指定の上で、オンラインチケット予約(購入)が可能です。公式販売サイトよりも2ユーロだけ高くなりますが、日本語ページから購入できる点や、24時間前まで無料キャンセルできる点などのメリットがあり、このサイト経由でチケット購入される方も非常に多いです。もちろん、公式販売サイトで購入した場合と同様に予約者専用レーンから優先入場できます。年配の方や英語ページに抵抗のある方などにお勧めの購入方法です。
現地の販売窓口で購入する(英語・イタリア語)
料金:9ユーロ
訪問当日に現地の販売窓口でチケット購入する事も可能です。料金的にはこの方法が最もリーズナブルですが、時期によっては上の写真の様に行列が出来ている事があります。ただし、「ウフィツィ美術館」や「ドゥオーモ関連施設」に比べれば、混雑は遙かに緩やかなので、当日に入場制限がかかる程の混雑はないと思います。当日の訪問タイミングが読めない方などは、当日に現地購入でも問題ないかと思います。
「メディチ家礼拝堂のチケット」を事前にオンライン購入(予約)しておけば、当日券購入窓口に並ばずに、スムーズに見学を開始できるのでお勧めです。
メディチ家礼拝堂以外も事前チケット購入(予約)がお勧め
上のチケット購入方法でご紹介した「GET YOUR GIDE」を利用すれば、他のフィレンツェの人気スポット「ウフィツィ美術館」や「アカデミア美術館」などの事前チケット購入(予約)も可能です。
■ ウフィツィ美術館
公式販売ページよりも数ユーロだけ割高になりますが、「GET YOUR GIDE」を利用すれば、フィレンツェの最混雑スポットの一つである「ウフィツィ美術館」のチケットも日本語ページから予約可能です。しかも公式サイトで予約した場合はキャンセル不可ですが、GET YOUR GIDE経由であれば24時間前までキャンセル無料となります。
■ アカデミア美術館
フィレンツェの美術館では「ウフィツィ美術館」に次ぐ人気を誇る「アカデミア美術館」のチケットも日本ページから予約が可能です。料金的にも公式サイトより3.5ユーロだけ高いにも関わらず24時間前までならキャンセル無料となっています。「アカデミア美術館」のチケットも購入経路に関係なく、公式販売サイトで予約した場合も、GET YOUR GIDEで予約した場合も、現地での本チケット受け取りが必要です。
メディチ家礼拝堂のロケーション・行き方・入口
メディチ家礼拝堂はS・M・ノヴェッラ駅の東側約600メートルほどの場所、サン・ロレンツォ教会の西側に隣接して建っています。

主要スポットから「メディチ家礼拝堂」にアクセスする場合「S・M・ノヴェッラ駅」からは徒歩で8分ほど、ドゥオーモからは、徒歩3分~4分ほどです。アカデミア美術館に行く場合も、メディチ家礼拝堂からなら徒歩5~6分ほどになります。
メディチ家礼拝堂のロケーションに関しては、以下のグーグルマップも参考にしてください。
メディチ家礼拝堂の入口
「メディチ家礼拝堂」は「サン・ロレンツォ教会」の一部ですが、入口や営業時間が異なるので、別施設と認識した方が混乱しないと思います。「メディチ家礼拝堂」の入口は、通りの様な「マドンナ・デッリ・アルドブランディニ広場」に面しています。

礼拝堂の外観は、一見すると小さなホテルかショップに見えますが、入口に「CAPPELE MEDICEE」と書かれているのが目印です。
入口前は「予約者用の優先入場レーン(PRE-BOOKED ENTRANCE)」と「当日券購入者用のレーン(MAIN ENTRANCE)」に分かれています。
公式サイトや「GET YOUR GIDE」で入場予約済みの方は向かって左手側の優先入場レーンより入場可能です。当日券購入の方は右手側のレーンより入場します。上写真は冬場の朝早い時間帯だったので行列はできていませんでしたが、夏場などは行列ができている事があります。
建物内に入場後すぐにセキュリティチェックがあります。
メディチ家礼拝堂の場合、入口前が混んでなくても、建物内で混雑している事があります。当日券購入者の方は、セキュリティチェック通過後のすぐ右手側にチケット売り場あるので、そこでチケット購入が可能です。
予約済みの方は、左側のレーンから窓口には立ち寄らずに、そのまま奥に進んで見学を開始ください。
メディチ家礼拝堂の見どころ
入り口付近でセキュリティチェックを受けて見学スペースに入ると、まずは絵画や聖遺物が展示されているエリアに出ます。


この場所は礼拝堂でもありお墓でもあるため、メインの礼拝堂に行く途中には死者をまつるエリアもあります。

展示エリアや墓標などを見学しながら、通路に沿って進んで行くと2階へと続く階段があります。階段を登ると「君主の礼拝堂」です。

君主の礼拝堂
1644年建設の「君主の礼拝堂」は、外観のシンプルさからは想像が付かないほど内部の装飾は華やかです。部屋の床や壁面には、数百種類の色大理石が惜しみなく使用されています。

八角形の礼拝堂の壁面には6つの墓碑があり、コジモ1世からコジモ3世まで、6人の歴代トスカーナ公が埋葬されています。下画像は、第5代トスカーナ大公「フェルディナンド2世」の墓碑です。

墓碑の上部には縦長の半楕円形のスペース(壁龕)がありますが、ここには大公像が飾られる予定でした。しかし、財政的な理由などもあり実際に飾られたのは「フェルディナンド1世」と「コジモ2世」の墓碑のみでした。下画像はピエトロ・タッカ作の「コジモ2世(17世紀)」の大公像です。
こちらは、ピエトロ・タッカとフェルディナンド・タッカ作の「フェルディナンド1世(17世紀)」の大公像です。
壁の基部(下部)には、トスカーナ大公国の16の紋章が飾られています。この紋章の制作にあたっては決して腐らないように、大理石、輝石、ラピスラズリ、サンゴ、真珠、アラバスターなどの素材が使用されました。当時の技術ではこれらを加工するだけでかなりの年月を要しました。そのためにわざわざ専門の「貴石加工所」を設立したほどです。実際、この貴石加工所は何世紀にも渡りこの礼拝堂の装飾を手掛けました。

下画像は「シエナ」の紋章になります。

そして、この礼拝堂一番の見どころは、高さ59メートルの八角形の天井に描かれたフレスコ画です。
この天井画は「旧約聖書」と「新約聖書」がテーマになっており、1828年に新古典主義の代表的な画家「ピエトロ・ベンヴェヌーティ」が手掛けました。

光が差し込む中心部に最も近い八角形部分には、四福音書記者の「マルコ」「マタイ」「ルカ」「ヨハネ」と、四人の預言者が描かれています。
新聖具室
新聖具室は、教皇レオ10世の命令により1520年にミケランジェロが設計した彫刻と建築のバランスが見事に取れた正方形の部屋です。
部屋内に飾られている彫刻群まではミケランジェロがほぼ完成させましたが、その当時のフィレンツェは動乱期にあったため、聖具室全体を完成せずして、ミケランジェロはローマに居を移しました。
その後、コジモ1世の命により、最終的に聖具室を完成させたのは「ジョルジョ・バザーリ」と「バルトロメオ・アンマンナーティ」の二人でした。
この「新聖具室」は「君主の礼拝堂」から廊下(写真下)を歩いてアクセスする事ができます。

新聖具室に入ると、すぐ右手側にはミケランジェロ作の「聖母子像」が飾られています。
「聖母子像」の両側には、聖書に登場する双子の聖人「聖コスマス(写真左)」と「聖ダミアヌス」の像が置かれています。
聖コスマスと聖ダミアヌスは、医学の守護聖人 として知られ、伝承によれば、無償で医療を施したことから「無償医療の象徴」となりました。メディチ家(Medici=医者の意)とも縁が深く、メディチ家の庇護のもとで信仰の対象となり、この霊廟においても重要な役割を担っています。これらの像の下には「ロレンツォ・デ・メディチ(豪華王)」とその弟の「ジュリーアーノ」が埋葬されています。
聖母像を背にして正面に目を向けると、向き合う様に儀礼用の祭壇が置かれています。この祭壇もミケランジェロが設計を手掛けたもので、左右には大理石の燭台が飾られています。向かって左側の燭台はミケランジェロの弟子が手掛け、右側は、後年の18世紀に別の芸術家が手掛けたものです。

そして、部屋の左右には向き合う様に2つの霊廟があります。この霊廟は共にミケランジェロが手掛けたもので、それぞれ3体の彫刻で装飾されています。

霊廟の一つは、ヌムール公「ジュリアーノ・デ・メディチのもので、霊廟の上部には「行動」と名付けられた鎧姿の「ジュリアーノ・デ・メディチ 」の像が飾られています。
この像は、彼の実際の肖像とは異なり、理想化された英雄の姿として表現されています。像は軽く体を前に乗り出し、手には指揮杖を握っており、決断力や統率者としての資質を表現しています。その姿勢は、次で紹介する「ロレンツォ・デ・メディチ像』とは対照的で、即座に行動を起こす戦士の精神を体現しています。
ジュリアーノ・デ・メディチの像を挟む様に、棺の上に横たわっているのは「夜(写真内左下)」と「昼(写真内右下)」と名付けられた2体の像です。
これらの像は時間の流れを象徴し、生命のサイクルや宇宙の調和を示す重要な要素となっています。
棺の左側に配置された「夜」の像は、女性の姿で表現されています。目を閉じ体は重く横たわり、まるで深い眠りについているかのようです。
その表情には静けさと安らぎが漂い、夜の静寂を象徴しています。また、フクロウの像が、夜の象徴、更に知恵や神秘の力を持つ存在として、そばに置かれています。
棺の右側に位置する「昼」の像は、男性の力強い裸体で表現されています。彼は目覚めたばかりのように身体をひねり、ぼんやりとした表情を浮かべています。
ジュリアーノの霊廟の向かいには、豪華王の孫でウルビーノ公の「ロレンツォ・デ・メディチ」の霊廟があります。
この霊廟は、対面に位置するジュリアーノ・デ・メディチの霊廟と並び、メディチ家の権勢と美学を象徴する作品として知られています。
霊廟上部を飾るのは「思索」と名付けられた「ロレンツォ・デ・メディチ」の像です。
ロレンツォは肘を膝に置き、顎に手を当てて深く思いを巡らせるポーズをとっています。彼の兜をかぶった威厳ある姿勢は、戦士としての側面も示唆しつつ、憂いと知性を兼ね備えた人物像を象徴しています。
棺の上に横たわるのは「黄昏」と「曙」と名付けられた像です。「黄昏」は、壮年期から老年へと向かう移ろいゆく時を表現しています。力強くも疲れを感じさせる筋肉の描写が、終わりゆく一日の静けさと感傷的な雰囲気を際立たせています。
表情は落ち着きと倦怠を帯び、人生の黄昏を迎えた者の内省を象徴しているようです。
「曙」は、新たな一日と希望を象徴しています。目覚めの瞬間を迎えつつあるかのように、緩やかに体をひねりながら動きを見せる姿 が特徴的です。
未だ眠気を残したような表情と、滑らかで優雅な身体の曲線が、夜明けの到来を繊細に表現しています。この彫像は、未来への期待と生命の始まりを暗示しているとも言えます。
ギフトショップ
館内の一角には、規模は小さいですが「ギフトショップ」も併設しています。
メディチ家礼拝堂 観光所要時間の目安
メディチ家礼拝堂観光の所要時間目安は35分〜45分ほどです。
上記は本記事内の「メディチ家礼拝堂の見どころ」で紹介しているスポットを、ある程度ノンビリと一通り見学した場合の所要時間目安です。また、メディチ家礼拝堂はそこまで人気スポットではないので、混雑具合を過度に気にする必要はありません。ただし可能であればのレベルですが、土日の12時〜14時ごろの訪問は避けた方がベターです。とは言え、仮に入場待ちがあっても、せいぜい30分ほどだと思います。他の観光スポットとの兼ね合いでタイミングの良い時間に訪問ください。
フィレンツェカードをお持ちの方は、直接入口から入場して係員にカードを提示すると、チケット代わりとなるレシートの様な紙切れを発券してくれます。
まとめ
メディチ家礼拝堂はコンパクトで見学しやすい観光スポットです。混雑具合も、内部の見応えから考えると緩やかな方なので、短時間でさらっと見学する事ができます。
ロケーション的にも、ドゥオーモ広場からアカデミア美術館に行く途中にあるので、アカデミア美術館に行かれる方は、さらっとでも立ち寄る事をお勧めします。フィレンツェカードをお持ちの方は立ち寄らない手はないと思います。
この記事をシェアする