ヴェッキオ宮殿 観光ナビ – 見どころ、行き方、入口、入場料金、事前予約、所要時間

(2019年10月20日 公開) (2019-10-24 最終更新) ヴェッキオ宮殿の外観と5百人広間

本記事では、現在も市庁舎として稼働しているフィレンツェの人気スポット「ヴェッキオ宮殿」の見どころから観光情報まで詳しく解説致します。

ヴェッキオ宮殿とは - 歴史とその役割

ヴェッキオ宮殿の外観
ヴェッキオ宮殿とネプチューン像

ヴェッキオ宮殿は元々「行政長官」を迎え入れるための宮殿兼要塞として1293年に建設が計画されました。工事はドゥオーモの設計も行った「カンビオ」が担当し、着工されたのは計画スタートから6年後の1299年の事でした。1314年頃には、高さ94メートルの塔を含む建物の中核部分が完成しました。

この宮殿は、時代と共に名称とその役割が異なるのが特長で、完成当初は「プリオリ宮殿」と呼ばれていました。しかし、15世紀には「シニョーリア宮殿」と呼ばれる様になりました。「シニョーリア」はイタリア語で「政庁舎」を意味しており、この宮殿がかつてフィレンツの政治の中枢であった事がうかがえます。

その後、宮殿がメディチ家当主でトスカーナ大公の「コジモ1世」の住居となっていた時代は「ドゥカーレ宮殿」と呼ばれていましたが、16世紀中頃にコジモ1世が宮廷をアルノ川南側の「ピッティ宮殿」に移した事で、現在の呼び名である「ヴェッキオ宮殿」と呼ばれる様になりました。「ヴェッキオ」はイタリア語で古いを意味しており、ヴェッキオ宮殿には「古い宮殿」という意味があります。

ヴェッキオ宮殿は、メディチ家の衰退や時代の変化と共にその役割を大きく変え、1865年から1870年までは国会議事堂、1872年頃から市庁舎として使用される様になりました。

ヴェッキオ宮殿の外観

現在もヴェッキオ宮殿は、市庁舎としての役割を担う一方で、宮殿の一部を観光客のための見学スポットとして解放しております。

ヴェッキオ宮殿の見どころ

ヴェッキオ宮殿 博物館エリアの展示室

ヴェッキオ宮殿内で見学できるエリアは建物全体からするとほんの一部になりますが、見どころは非常に多く、十分な見学ボリュームがあります。

ヴェッキオ宮殿の見学エリアは大きく「博物館(美術館)」「アルフォルノの塔」「遺跡(Archeological site)」「城壁最上部の通路(Battlements)」の4つに分類されています。

本項では、最もポピュラーな「12.5ユーロ」の入場チケットで見学できる「博物館(美術館)」の見どころを中心にご紹介します。

ダビデ像とフィレンツェ行政区の紋章

ミケランジェロ作 ダヴィデ像のレプリカ

内部の見どころをご紹介する前に、ヴェッキオ宮殿入口の両側に飾れている二体の彫像をご紹介します、入口に向かって左側が、ミケランジェロ作「ダビデ像(写真上)」のレプリカになります。

ダビデ像の本物は「アカデミア美術館」に展示されていますが、このレプリカも見た目のインパクトとクオリティは中々のものです。

そして、入口を挟んで右側の像がバッチョ・バンディネッリ作の「ヘラクレス像」になります。

バンディネッリ作 ヘラクレス

視線を建物の上部に向けると、時計の下付近のアーチ部分に、フィレンツェの街の9つの行政区の紋章がフレスコ画で描かれています。

フィレンツェの街の9つの行政区の紋章

第1の中庭

ダビデ像が立つ「ヴェッキオ宮殿」の入り口から入場して少し奥に進むと、ミケランジェロが装飾を手掛けた美しい「第1の中庭」があります。中庭の中央には「アンドレア・デル・ヴェロッキオ」作の「イルカを抱く少年(天使)」が飾られ、その周りを列柱回廊が囲んでいます。列柱奥のフレスコ画や金箔が施された美しい壁面は、後年にヴァザーリがトスカーナ公「フランチェスコ1世」の命で装飾したものです。

この「第1の中庭」以降の見学スポットは2階になります。

百合の間

ヴェッキオ宮殿 百合の間

博物館の見学スペースである2階に上がって最初に目にするのがこの「百合の間」です。百合の間は、2人の兄弟彫刻家「ベネデット・ダ・マイアーノ」と「ジュリアーノ・ダ・マイアーノ」が設計と制作を手掛けた部屋です。木組みの天井には青の地に金の百合の紋章が描かれています。

ヴェッキオ宮殿 百合の間の天井装飾

更にこの部屋で見逃せない美術品がドナテッロ作のブロンズ彫刻「ユーディットとフォロフェルヌス像」です。15世紀に制作されたこの像は、かつてシニョーリア広場置かれていましたが、19世紀にこの場所に移動しました。

ヴェッキオ宮殿 ドナテッロ作 ユーディットとフォロフェルヌス像

百合の間の窓からは、ドゥオーモの景観を望むこともできます。

ヴェッキオ宮殿 百合の間から見るドゥオーモ

謁見の間

ヴェッキオ宮殿 謁見の間

謁見の間も、百合の間と同様に「マイアーノ兄弟」が設計と制作を手掛けた部屋です。フィレンツェの紋章が刻まれた金箔張りの八角形の天井(写真下)は必見です。

ヴェッキオ宮殿 謁見の間 金箔張りの天井ヴェッキオ宮殿 謁見の間

ジリの間(Sala dei Gigli)

ヴェッキオ宮殿 サーラ・ディ・ギーリ(Sala dei Gigli)

ジリの間は1514年に、フィレンツェの人気画家ドメニコ・ギルランダイオが装飾を担当した部屋です。部屋の名前は壁面の青い部分に施された多年草「イチハツ」の装飾模様に由来しています。天井の装飾や壁に描かれたフレスコ画が非常に美しい部屋です。

ヴェッキオ宮殿 サーラ・ディ・ギーリ(Sala dei Gigli)

地図の間

ヴェッキオ宮殿 地図の間

地図の間はコジモ一世の命で、ヴァザーリが手掛けた部屋です。部屋の中央には巨大な地球儀がおかれ、壁面には隙間なくびっしりと地図が飾られています。まるで、バチカン美術館の地図のギャラリーの縮小版といった雰囲気です。

ヴェッキオ宮殿 地図の間

エレオノーラの礼拝堂

ヴェッキオ宮殿 エレオノーラの礼拝堂

「エレオノーラの礼拝堂」は、マニエリスム期の代表的な画家「ブロンズィーノ」の美しいフレスコ画で飾られた個人礼拝堂です。上写真中央の大きな絵はブロンズィーノ作「十字架降下(ピエタ)」です。エレオノーラ礼拝堂の名は、トスカーナ大公コジモ1世の妃「エレオノーラ・ディ・トレド」の名前に因んで名づけられたものです。

ヴェッキオ宮殿 エレオノーラの礼拝堂

こちらの天井画も同じく「ブロンズィーノ」の作品「ライオンと聖ヒエロニムス」です。

五百人広間

五百人広間

ヴェッキオ宮殿の最大の見どころが「クロナカ」の設計によって1495年に造られた「五百人広間」です。その名のとおり、定員500人の議会を開催するための大広間で、フィレンツェが共和制だった時代には500人の市民会議が開かれていました。部屋は長さ53m、幅23mの広さがあります。

広間の天井は、メディチ家を称える天井画で豪華に飾られています。この天井画は、コジモ1世の戴冠の絵を中心にフィレンツェンの歴史を48枚のパネルで表現しています。

五百人広間の天井画

また、壁の両側にはヴァザーリの絵画「シエナ攻略」と「ピサ攻略」が、それぞれ連作として3枚づつ飾られています。広間の壇上に向かって右手側が「シエナの攻略」の連作3枚です。

ヴァザーリ作の絵画 シエナの攻略ヴァザーリ作の絵画 シエナの攻略ヴァザーリ作の絵画 シエナの攻略

シエナの戦いの真ん中の絵の下付近には、ミケランジェロの「勝利像」も飾られています。この像は元々、教皇ユリウス2世の墓碑のために制作されたものです。

ミケランジェロの「勝利像」

そして、壇上に向かって左側に並ぶ3枚が「ピサ攻略」です。

ヴァザーリ作の絵画 ピサ攻略

元々この両側の絵は、ダヴィンチとミケランジェロの絵で飾られる予定でした。しかし、ダヴィンチが制作段階で失敗をおかして作業を中断すると、それに呼応する様にミケランジェロも作業を中断してしまいました。結局2人の作品は作業途中のままとなり、現在のヴァザーリ作のシエナの戦いとピサの戦いは、そのダヴィンチとミケランジェロの絵の上に描かれたものです。

レオ10世の間

レオ10世の間

五百人の間から階段を上ると「レオ10世の間」に出ます。この部屋の壁と天井には、レオ10世の生涯にまつわる絵画が飾られています。その絵画の間にある円形の部分には「レオ10世」や「豪華王ロレンツォ」の胸像などが置かれています。

フランチェスコ1世の書斎

この小さな書斎は、ジョルジョ・ヴァザーリが設計し、装飾や絵画に関しては「マニエリスム」の画家たちが手掛けました。マニエリスムは、絵画「長い首の聖母」で有名な画家「パルジャミーノ」などに代表される美術様式で、人体を極端な比率で描くのが特徴の一つです。そのため、部屋内の絵画に目を向けてみると、極端に首の長い人物が何人も描かれています。

アルフォルノの塔からの景観

アルフォルノの塔

一般の入場チケットではなく、塔の入場がセットになったチケットを購入すると、高さ94メートルの「アルフォルノの塔」に上って、フィレンツェ市内を一望する事ができます。

かつてこのアルフォルノの塔の見張台に置かれている鐘は、議会の招集や、火災、外敵の侵入などを知らせる重要な役割を担っていました。

ヴェッキオ宮殿の基本情報

ヴェッキオ宮殿の外観

営業時間

博物館(美術館)/ 遺跡

  • 09:00~23:00(4-9月)
  • 09:00~19:00(10-3月)

毎週木曜日は通年「9時~14時」までとなります。

塔 / 城壁最上部の通路

  • 09:00~21:00(4-9月)毎週木曜日は「9時~14時」までとなります。
  • 09:00~17:00(10-3月)毎週木曜日は「10時~14時」までとなります。

入場料金

入場料金は、見学可能エリアの範囲によって異なります。基本的には「博物館」部分だけの見学で見応え十分なので、無理にセットチケットを購入する必要はないと思います。ただし、クーポラもジョットの鐘楼にも登らない方は「博物館 + 城壁最上部の通路 + 塔」のセットチケットを購入して塔に登るのは悪くない選択肢だと思います。

博物館(美術館)のみ

12,50ユーロ

博物館 + 遺跡 + 城壁最上部の通路 + 塔

19,50ユーロ

博物館 + 城壁最上部の通路 + 塔

17,50ユーロ

博物館 + 遺跡

16,00ユーロ

ロケーションと行き方

ヴェッキオ宮殿はドゥオーモ広場から南側約500メートルほどの場所、シニョーリア広場の南東側に面して建っています。ドゥオーモがある広場からは、ほぼ一直線です。

フィレンツェ中心部の地図

主要スポットから「ヴェッキオ宮殿」にアクセスする場合「S・M・ノヴェッラ駅」からは徒歩で15分ほど、ドゥオーモからは、徒歩6分~8分ほどです。ウフィツィ美術館に行く場合も、ヴェッキオ宮殿からなら徒歩1~2分ほどになります。

ヴェッキオ宮殿のロケーションに関しては、以下のグーグルマップも参考にしてください。

ヴェッキオ宮殿の入口

ヴェッキオ宮殿の入口は、シニョーリア広場の南東側に面しています。入口両側のダビデ像とヘラクレス像が目印です。

ヴェッキオ宮殿の入口ヴェッキオ宮殿の入口

ヴェッキオ宮殿 観光所要時間の目安

ヴェッキオ宮殿 博物館エリアの展示室

ヴェッキオ宮殿の所要時間の目安は1時間ほどです。

上記は本記事内の「ヴェッキオ宮殿の見どころ」で紹介しているスポットを、ある程度ノンビリと一通り見学した場合の所要時間目安です。

所要時間に関しては、ご自身のペースや気分次第で短くも長くもできますので、随時ご調整ください。また、「アルフォルノの塔」にも登る場合は、トータルで1時間20分〜1時間40分ぐらいの所要時間を見ておいた方が良いと思います。

おすすめの訪問時間

ヴェッキオ宮殿のメイン展示エリアである「博物館」は、4〜9月の間は、夜の23時まで営業しています。この期間中は、19時以降に「ヴェッキオ宮殿」を訪問すれば、混雑を回避できるのはもちろん、限られた観光時間を有効に利用する事ができます。

日本語サイトから事前予約で混雑回避

GET YOUR GIDE ヴェッキオ宮殿のチケット予約ページ

ヴェッキオ宮殿は見所の多い人気スポットです。夜や朝一番の入場であれば当日券の購入で十分ですが、タイミングによっては入場制限がかかって、チケット購入まで1時間近く待つ事もあります。

日中に訪れる方で絶対に並びたくない方は、事前にチケットを予約しておくと混雑を回避する事ができます。

予約サイトでおすすめなのが、ヴェッキオ宮殿の認定販売サイトになっているGET YOUR GIDEです。このサイトの「フィレンツェ:ヴェッキオ宮殿入場チケットと音声ガイド」ページを経由すれば日本語で予約できます。もちろんツアーではなく自由に見学できます。

手数料は上乗せされますが、日本語で予約できて、混雑の緩やかな専用の窓口でチケットを受け取る事ができます。並ばずに計画的に観光したい方は、このサイト経由でチケットを予約しておく事をお勧めします。24時間前までキャンセル無料です。

  • フィレンツェ:ヴェッキオ宮殿入場チケットと音声ガイドヴェッキオ宮殿のチケットを事前予約。当日は専用の窓口からほぼ並ばずにチケットを発券できます。セットで付いてくる音声ガイドの言語は英語になりますが、ご自身のペースで好きなだけ自由に見学できます。オプションで塔の登頂もセットになったチケット予約も可能です。

GET YOUR GIDE予約時の当日のチケット受け取りについて

GET YOUR GIDE でチケットを予約した場合は、予約完了後にダウンロードできるバウチャーをプリントアウトか、スマートフォン上で提示の上で本チケットを受け取る形になります。受け取り窓口は、フィレンツェカードなどと同じ、混雑が緩やかな「info point」と書かれた優先窓口(写真下)になります。

GET YOUR GIDE ヴェッキオ宮殿のチケット受け取り窓口

当日券の購入方法とフィレンツェカードの利用方法

ヴェッキオ宮殿のチケットは、シニョーリア広場から宮殿の建物に入った奥の窓口で購入する事ができます。

ヴェッキオ宮殿 チケット売り場の入口

2階の見学エリアに入る前に必ずチケットオフィスに立ち寄る様にしてください。フィレンツェカード保有者や、GET YOUR GIDE予約者の方も同様です。

チケットオフィスの窓口は「当日券購入者」と「フィレンツェカード保有者」で分かれています。

ヴェッキオ宮殿 チケット売り場の窓口

当日券を購入して入場する方は、向かって右側の当日券購入者の列に並んで入場チケットを購入してください。

向かって左側は「フィレンツェカード保有者」やツアー客用の窓口で、混雑が緩やかです。フィレンツェカード保有者はカードを提示すると、レシートの様な薄紙のチケット(写真下)を発券してくれます。これが入場チケットになります。

ヴェッキオ宮殿 フィレンツェカード保有者用の入場チケット

ヴェッキオ宮殿は、チケットを提示を求められる箇所が複数あるので、常にチケットは提示できる状態にしておいてください。

まとめ

ヴェッキオ宮殿は、ガイドブックなどではやや扱いが小さめですが、非常に見どころの多い観光スポットです。また、付属の「アルフォルノの塔」からは、ジョットの鐘楼やクーポラに引けを取らない絶景を望む事ができます。

ウフィツィ美術館からも徒歩1分~2分と好立地なので、是非「ウフィツィ美術館」とセットでこの「ヴェッキオ宮殿」も観光スケジュールに組み込んでみてください。館内は広くて本当に楽しめるお勧めスポットです。