バチカン美術館 入門編 – 料金、行き方、当日券の買い方、所要時間
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バチカン市国
ローマの中に位置する世界一小さな国「バチカン市国」。そのバチカン市国の中でも特に人気が高い観光スポットが「バチカン美術館」です。本記事ではこの「バチカン美術館」への行き方から、当日券を購入して入場するまでの流れを詳しく解説します。
バチカン美術館とは
歴代教皇がその建設に携わってきたバチカン宮殿には、大小20以上もの美術館があり「バチカン美術館」はその複合施設の総称になります。16世紀初頭に教皇「ユリウス3世」がベルヴェデーレ宮殿の中庭に古代ギリシャ彫刻群を飾った事がコレクションの礎だと言われています。
その後、度重なる戦争や略奪、盗難による被害を被りながらも、美術館は徐々に拡大拡張されていき、現在では、総面積5万㎡、見学可能部屋数1,000以上を誇る世界最大級の美術館となっています。内部は絢爛豪華そのもので、ヴェルサイユ宮殿や世界中の宮殿が色あせて見えるほどの豪華さを誇ります。
まるで迷路の様な美術館内には、ルネサンス以降の歴代教皇が収集したコレクションを中心に、ミケランジェロの最後の審判で有名な「システィーナ礼拝堂」をはじめ、ラファエロが人生の大半を捧げた「ラファエロの間」、イタリア絵画とタペストリーを集めた「ピナコテカ(絵画館)」、古代ギリシャ・ローマ彫刻を展示する「ピオ・クレメンティーノ美術館」など、見どころが満載です。
基本情報
バチカン美術館の見学は有料となります。通常のチケットを購入すれば、全ての見学可能エリアを自由に観光する事ができます。
入場料金
- ・一般入場チケット(Full price ticket):17 €
- ・6歳〜18以下の子供(Reduced ticket):8 €
- ・6歳未満:無料
チケット料金は現地窓口で購入した場合も、オンライン予約した場合も同額です。
営業時間
月曜〜土曜
9:00~18:00(最終入場は16:00)
毎月の最終日曜
9:00~14:00(最終入場は12:30)
夜間見学
19:00~23:00(最終入場は21:30)
※ 4/26~10/25の毎週金曜は通常の入場時間に加えて上記の時間帯で夜間見学が可能となります。
開館延長
9:00~19:00(最終入場は17:00)
※ 4/18~5/4(4/21、4/22、4/26、4/28、5/1、5/3は除く)、11/2の期間に限り開館が上記に延長となります。
休館日
毎週日曜(毎月最終日曜は除く)、1/1、2/11、3/19、4/22、5/1、6/29、8/14、8/15、11/1、12/25、12/26
年間スケジュール
バチカン美術館の年間の営業時間に関する最新情報は、バチカン美術館公式HPで配布されている以下の年間スケジュール表を参考にしてください。

白塗りが通常の営業日、赤塗りの日が休館日、黄色塗りの日が夜間営業日、水色塗りの日が開館延長日、緑色塗りの日が午後休館となります。
日本のカレンダーと違って、日にちと曜日が縦に並んでいます。各アルファベットが示す曜日については以下を参考にしてください。カレンダー表記の順番で記しております。
- L(月曜)
- M(火曜)
- M(水曜)
- G(木曜)
- V(金曜)
- S(土曜)
- D(日曜)
バチカン美術館のロケーション・行き方
ロケーションと最寄駅
バチカン美術館は、ローマ観光の中心地である「テルミニ駅」から西側に5kmほど離れています。最寄駅は地下鉄A線の「Ottaviano(オッタヴィアーノ駅)」になります。

「Ottaviano(オッタヴィアーノ駅)」下車後、バチカン美術館の入口までは徒歩5分〜8分ほどです。
バチカン美術館と地下鉄駅や観光スポットの位置関係は以下の地図を参考にしてください。
❶ バチカン美術館、❷ サン・ピエトロ大聖堂、❸ サン・ピエトロ広場、❹ サンタンジェロ城
❶ Roma Termini(テルミニ駅)、❷ Ottaviano(オッタヴィアーノ駅)、❸ CIPRO{チプロ駅)行き方
ローマ市内中心部から「バチカン美術館」へは、トラムやバスでもアクセス可能ですが、地下鉄A線「Ottaviano(オッタヴィアーノ駅)」で下車後、徒歩でアクセスするのが王道です。
「テルミニ駅」から地下鉄を利用する場合、駅内の床のオレンジ色の円に「A Ottaviano - SanPietro」と案内があるので、この案内に従って行けば、地下鉄A線の改札や乗り場にアクセスできます。B線もあるので乗り間違えない様にしてください。

地下鉄A線「テルミニ駅」から「Battistini(バッティスティーニ駅)」行きの電車に乗って、6駅目の停車駅が「Ottaviano(オッタヴィアーノ駅)」になります。地下鉄A線に関しては、以下の路線図も参考にしてください。

「CIPRO{チプロ駅)」で下りてもバチカン美術館に徒歩でアクセスできますが、オッタヴィアーノ駅で下車した方が、バチカン美術館までは近道です。
駅からのアクセス
「Ottaviano(オッタヴィアーノ駅)」下車後、バチカン美術館までのアクセス方法は以下のグーグルマップと画像マップを参照ください。

駅からバチカン美術館の入口までは、非常に簡単な経路なので迷うことはないと思います。また、サン・ピエトロ大聖堂方面から直接アクセスされる方も、バチカン市国の外壁に沿って、途中の道の至る所にある「MVSEI VATICANI」「MUSEI VATICANI」などと書かれた標識に従って行けば、地図を見なくてもバチカン美術館の並び口付近までアクセスできます。


「MVSEI」や「MUSEI」はイタリア語で博物館や美術館の意味です。また、朝一番で無ければ、駅から人の流れにそって歩いて行けば、自ずとバチカン美術館の入り口まで辿りつけます。
たいていの場合、バチカン美術館の入口から外周にそって、数100mの行列ができています。

下のVR画像も、バチカン美術館の入口から外壁に沿って並ぶ人たちの景観が確認できます。参考にしてください。
当日券を購入して入場する場合は、この行列の最後尾に並んでください。館内入場後に2階でチケットを購入する事ができます。
行列に並びたくない場合は、事前に「バチカン美術館の公式チケット販売サイト」でオンライン予約しておけば、ほぼ並ばずに入場可能です。バチカン美術館のチケット予約方法については、以下の記事にて徹底解説しております。
フィウミチーノ空港から「バチカン美術館」に行く方法
あまり多くはないと思いますが、フィウミチーノ空港からバチカン美術館に直接移動したい方も中にはいると思います。その場合「SIT社」のシャトルバスを利用すると、フィウミチーノ空港から、乗り換えなしで、バチカン美術館近くの「クレシェンツィオ通り」まで乗り換えなしでアクセスできます。
バス下車後、バチカン美術館の入口までは徒歩で17分〜19分ほどです。
SIT社 シャトルバスの基本情報

運行時間 | 【フィウミチーノ空港T3発】
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運行間隔 | 45分間隔運行 ※時間帯によって若干異なります。 |
料金 |
※ 上記料金は1名分の料金になります。 |
チケット購入方法 |
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日本円の料金は為替相場によって若干変動致します。
当日券の買い方と入場方法
バチカン美術館は、事前にチケット予約をしていなくても現地の販売窓口で当日券(17ユーロ)を購入して入場する事ができます。ただし、夏場のピークシーズンなどは下の画像の様に、バチカン美術館の入り口から建物の外壁にそって長さ200mぐらいの長蛇の列(写真下)ができます。


チケットさえ予約していれば、この行列は完全にスキップできますが、何らかの事情で止む無く当日券の列に並ばざるを得ない方もいると思います。
そんな方々は、とにかく行列の最後尾に並んで館内入場をお待ちください。バチカン美術館の入り口が分からなくても、行列の流れが入り口まで導いてくれます。入場チケットは館内に入場後に購入できます。

下の画像はバチカン美術館の入口付近の景観です。

上写真の左奥に見えるのが当日券購入者の列です。ようやく入口前まで辿り着いても、入場が制限され、すぐには入場できません。ある程度、予約者が入場した後に順番に入場して行く形になります。

左側が当日券の入場者です。正面のドアから中に入ってすぐにセキュリティチェックがあります。

問題なくセキュリティチェックを通過したら、正面の階段から2階に上がってください。当日券の購入窓口は2階にあります。1階にある窓口は予約者専用です。

2階への登り口は、日本語で「チケット」と書かれているので、すぐに分かると思います。
2階に上がると、正面右手側に「BUY TICKETS」という看板があります。その先に見えるのが当日券購入の窓口になります。

ここで「ワン アダルト プリーズ」などと言って入場チケット(写真下)を購入します。入場料金は以下になります。
- ・一般入場チケット(Full price ticket):17 €
- ・6歳〜18以下の子供(Reduced ticket):8 €
- ・6歳未満:無料

チケットを購入した後は、チケット予約者との優劣はありません。ここからは全員平等です。「ENTRANCE」の標識にしたがって進み、その先のチケット改札機(写真下)を通過してください。

下画像の様な形で表側を上にして、改札機に入場チケットを読み取らせます。

改札機を通過して、螺旋状のスローブ(写真下)の流れに沿って上っていきます。


スローブを登っり切ったら、いよいよ見学スタートです。ご自身のお好きなコースで館内を見学ください。
混雑を回避して優先入場する方法
バチカン美術館の入場チケットは、当日券の行列に並ばなくても「バチカン美術館の公式チケット販売サイト(英語)」から、日時指定の上で予約入場する事ができます。通常の料金に加えて4ユーロの予約費用は発生しますが、それで1時間〜2時間の行列をスキップできるなら安いものです。
また、英語ページからの予約に抵抗がある方は「GET YOUR GIDE」というバチカン美術館の認定チケット販売業者の「バチカン美術館&システィーナ礼拝堂:優先入場チケット」ページから予約を行えば、7ユーロほどの手数料で、予約完了まで全て日本語で行う事ができます。公式HPでの予約手数料よりも3ユーロだけ高くなりますが、日本語の翻訳代だと思えば安いものです。公式サイトとGET YOUR GIDE経由での予約方法については以下の記事で詳しく解説しておりますので、参考にしてください。
館内施設と設備について
スーツケースなどの大きな荷物について
スーツケースなどの大きな荷物(40x35x15cm以上)や大きなリュックサックは、展示エリアに入場する前に1階の「クロークルーム(CLOAKROOM)」に預ける(無料)必要があります。

クロークルーム(荷物の預けカウンター)は、セキュリティチェックを抜けた後の「エントランスホール」にあります。入口を背にして右手側になります。「Luggage Strage」という案内板が目印です。
クロークルームで荷物を預けると、「引き換え券」の様な物を受け取るので、絶対に無くさない様に大切に保管してください。この引き換え券と交換で預けた荷物を回収する形になります。
また、参考までに、バチカン美術館の荷物のレギュレーションでは、飲食物の持ち込みや、通常サイズの傘の持ち込みなども禁止されています。該当する物がある場合はクロークルームに預ける様にしてください。詳細に関しては、バチカン美術館公式HPの「CLOAKROOM REGULATIONS(英語)」ページをご参照ください。
預けた荷物の受け取り
預けた荷物の受け取り窓口は別の場所になります。順路に沿って観光し、最後の螺旋階段を降りた所、出口に向かって右手側にあります。必ず誰もが通過する場所になりますのでご安心ください。

この窓口で荷物を預けた時に渡された「引き換え券」と交換で荷物を回収します。

荷物を回収せずに外に出てしまうと、再度入場して荷物を受け取るのは非常に面倒なので、必ず螺旋階段を下って、出口付近で荷物を受け取る様にしてください。システィーナ礼拝堂から大聖堂への裏ルートを通った方や、荷物を受け取らずに外に出てしまった場合などは、再びバチカン美術館の入り口で事情を説明して「荷物の引き換え券」を提示の上,、再入場して荷物を回収する必要があります。これはとてつもなく面倒なので、荷物を預けた方は出口付近で必ず受け取る様にしてください。
トイレについて
バチカン美術館内には、入り口と出口付近に1箇所づつ、展示エリア内に5箇所、トータルで7箇所のトイレが設置されています。トイレは広い館内に隈なく散らばっているので、特に心配の必要はないと思います。赤ちゃん用の設備もエントランスホール以外のトイレには設置されています。
美術館内の施設と設備について
バチカン美術館内では作品の展示以外にも、切手の販売や各種郵便サービスを提供している「郵便局」や、バチカン市国に関する本やグッズを取り扱う「ブックショップ」、さらに「カフェ」も数件営業しています。
各施設の位置関係やフロアの詳細に関しては、バチカン美術館公式HPの「館内マップ(PDF)」にてご確認ください。館内マップは観光当日にエントランスホールのインフォーメーションでも入手する事ができますが、事前に観光のシュミレーションをしておくと、当日の観光もスムーズになります。
オーディオガイドについて
バチカン美術館でレンタルできるオーディオガイドは日本語を含む全10か国語に対応しており、約400種類の作品に関するコメントが収録されています。オーディオガイドは、作品の番号を選択して緑色の再生ボタンを押すだけで各作品の解説を聞く事ができます。
オレンジ色のネックストラップが付属しているので首にかけて利用する事ができます。ただし、イヤフォンの付属はありませんので、オーディオガイド に直接耳を当てて聞く形になります。
オーディオガイドのレンタル料金は、オンラインで事前に予約する場合は、チケット料金にプラスで7ユーロ、現地でレンタルする場合は8ユーロになります。
バチカン美術館の見どころ
バチカン美術館は20以上の美術館と、1,000以上の展示室、そしてそれらを結ぶ7km以上の通路や回廊で構成されています。その中でも、特に人気の高い、バチカン美術館の必須見学スポットをピックアップしてご紹介致します。
ピナコテカ(絵画館)

ピナコテカではラファエロなど、最盛期のルネサンスの巨匠たちの作品を中心に、11世紀~16世紀までの絵画とタピスリーが約500点も展示されています。展示は18部屋にも渡っており、ラファエロの「キリストの変容(写真下)」「フォリーニョの聖母」、メロッツォ・ダ・フォルリのフレスコ画「リュートを奏でる天使」など、多くの貴重な作品を目にすることができます。

ピオ・クレメンティーノ美術館

12の展示室から成る「ピオ・クレメンティーノ美術館」には、あのミケランジェロも絶賛したと言われる「ベルヴェデーレのトルソ(写真下)」や「ラオコーン」など、古代ギリシャとローマ時代の彫刻が展示されています。

地図のギャラリー

幅6m、長さ120mの大きさを誇るこの「地図のギャラリー」は、教皇グレゴリウス13世が天文学者「イニャーツィオ・ダンティ」の下絵を元に、1580年から3年かけて造らせた大ギャラリーです。ギャラリーの両側の壁面には、その名の由来でもあるイタリアや教皇領の地図がフレスコ画で40枚も描かれています。
ラファエロの間

1508年に教皇の居室エリアとして制作が開始された「ラファエロの間」は、若干25歳の「ラファエロ」とその弟子達が手掛けた美しい絵画と装飾で埋め尽くされた4つの広間です。
4つの広間は、第1室「コンスタンティヌウスの間(1517~24年)」、第2室「ヘリオドロスの間(1512年~14年)」、第3室「署名の間(1508年~12年)」、第4室「火災の間(1514年~17年)」の4室からなり、中でも、第3室「署名の間」には、ラファエロ渾身の作品である「アテナの学堂」が展示されています。

システィーナ礼拝堂

「システィーナ礼拝堂」は、ルネサンス期のローマ教皇「シクストゥス4世」の命を受けた、フィレンツェの建築家「ジョヴァンニ・デ・ドルチ」が、1475年から1483年にかけて完成させました。
礼拝堂の奥行は40m、幅は約13m、高さは20mもあり、天井や壁面は美しい芸術作品の数々で埋め尽くされています。中でもミケランジェロが描いた祭壇の壁画「最後の審判(写真上)」と、天井画「天地創造(写真下)」は美術史上に残る屈指の名作です。

ここでご紹介したバチカン美術館の見どころはほんの一部です。バチカン美術館の見どころをもっと詳しく知りたい方や、館内地図やモデルコースをお探しの方は、以下の記事にて網羅しておりますので、ぜひ参考にしてください。
所要時間の目安

バチカン美術館は、イタリア美術の膨大なコレクションが20以上の美術館と1,000以上の展示部屋に展示されているため、例え1日あっても全ての展示品を見学する事は難しいです。そのため、通常は「ピナコテカ(絵画館)」「ピオ・クレメンティーノ美術館」「ピーニャの中庭」「地図のギャラリー」「ラファエロの間」「システィーナ礼拝堂」「バチカン図書館」などの人気エリアを3時間~4時間かけて見学する旅行者がほとんどです。
また、本当に時間がない場合は、入口から遠い「システィーナ礼拝堂」や「ラファエロの間」の見学は諦めて、「ピナコテカ(絵画館)」「ピオ・クレメンティーノ美術館」だけに絞って見学すれば、最低1時間30分ぐらいからでも見学は可能だと思います。バチカン美術館のモデルコースや回り方などについては、以下の記事で詳しく解説しております。