【サクレ・クール寺院】行き方・ドームの上り方・見どころまで徹底解説

パリ
サクレ・クール寺院

1875年から39年の歳月をかけて建設された「サクレ・クール寺院」は、普仏戦争やその翌年に起きた内乱による戦死者や被害者を追悼するために建設されました。サクレ・クールは「聖なる心(心臓)」を意味し、ビザンチン様式とロマネスク様式が混ざった造りが非常に特徴的な寺院です。

建築は、ノートルダム大聖堂の修復も手がけた「ポール・アバディ」が担当し、国民の寄付によって4000万フランもの建設費用が集まりました。

現在、サクレ・クール寺院内は無料で聖堂内部を見学できるほか、有料でドームの上からパノラマビューを堪能する事できます。

本記事では、このパリ郊外の人気スポット「サクレ・クール寺院」への行き方や営業時間などの基本情報はもちろん、ケーブルカーを利用したアクセス方法やドームへの登り方、見どころまで徹底解説致します。

営業時間・入場料金

サクレ・クール寺院の外観

サクレ・クール寺院の見どころは、主要観光エリアである寺院部分の見学と、モンマルトルを一望できるドーム部分の見学の2つがあります。2つの施設はともに寺院付属の施設ですが、それぞれ営業時間と料金が異なります。

サクレ・クール寺院の基本情報

営業時間6時~22時30分
入場料金無料

ドームの基本情報

営業時間
  • ・8時30分〜20時00分(5月〜9月)
  • ・9時00分〜17時00分(10月~4月)
入場料金6ユーロ※ ドームに上るには300段の階段を上る必要があります。

サクレ・クール寺院への行き方

サクレ・クール寺院とモンマルトルの街並み

サクレ・クール寺院はパリの北側18区、モンマルトルという高台の地区に位置しています。

シャンゼリゼ通りやルーブル美術館など、パリの中心部からは3km~4kmほど離れています。

サクレ・クール寺院までは、健脚で体育会系の方なら、パリ中心部から歩いて行けなくもないですが、メトロ2番線の「アンヴェール駅(Anvers)」か、メトロ12番線の「アベス駅(Abbesses)」で降りて、駅からは徒歩かケーブルカーでアクセスするのが一般的です。

【メトロ2番線を利用した場合】

アンヴェール駅(Anvers)で下車後、サクレ・クール寺院までは徒歩5分(800m)ほど。

▼ メトロ2番線 路線図メトロ Line2▲クリックするとPDFの路線図が別ウインドウで開きます。
  • ポルト ドーフィヌ(Porte Dauphine)
  • ヴィクトル ユゴー(Victor Hugo)
  • シャルル ド ゴール エトワール(Charles de Gaulle Étoile)
  • テルヌ(Ternes)
  • クールセル(Courcelles)
  • モンソー(Monceau)
  • ヴィリエ(Villiers)
  • ローム(Rome)
  • プラス ド クリシー(Place de Clichy)
  • ブランシュ(Blanche)
  • ピガール(Pigalle)
  • アンヴェール(Anvers)
  • バルベス・ロシュシュアール(Barbès Rochechouart)
  • ラ シャペル(La Chapelle)
  • スターリングラド(Stalingrad)
  • ジョレス(Jaurès)
  • コロネル ファビヤン(Colonel Fabien)
  • ベルヴィル(Belleville)
  • クロンヌ(Couronnes)
  • メニルモンタン(Ménilmontant)
  • ペール ラシェーズ(ペーPère Lachaise)
  • フィリップ オーギュスト(Philippe Auguste)
  • アレキサンドル デュマ(Alexandre Dumas)
  • アヴロン(Avron)
  • ナシオン(Nation)

【メトロ12番線を利用した場合】

アベス駅(Abbesses)で下車後、サクレ・クール寺院までは徒歩5分(800m)ほどです。

▼ メトロ12番線 路線図メトロ Line12▲クリックするとPDFの路線図が別ウインドウで開きます。
  • フロン・ポピュレール(Front Populaire)
  • ポルト ド ラ シャペル(Porte de la Chapelle)
  • マルクス ドルモワ(Marx Dormoy)
  • マルカデ・ポワソニエ(Marcadet Poissonniers)
  • ジュル ジョフラン(Jules Joffrin)
  • ラマルク コランクール(Lamarck Caulaincourt)
  • アベス(Abbesses)
  • ピガール(Pigalle)
  • サン ジョルジュ(Saint-Georges)
  • ノートルダム・ド・ロレット(Notre-Dame de-Lorette)
  • トリニテ デスティエンヌ・ドルヴ(Trinité d'Estienne d'Orves)
  • サン ラザール(Saint-Lazare)
  • マドレーヌ(Madeleine)
  • コンコルド(Concorde)
  • アサンブレ ナシオナル(Assemblée Nationale)
  • ソルフェリーノ(Solférino)
  • リュー デュ バック(Rue du Bac)
  • セーヴル バビロヌ(Sèvres Babylone)
  • レンヌ(Rennes)
  • ノートルダム・デ・シャン(Notre-Dame des-Champs)
  • モンパルナス ビアンヴニュ(Montparnasse Bienvenüe)
  • ファルギエール(Falguière)
  • パストゥール(Pasteur)
  • ヴォロンテール(Volontaires)
  • ヴォージラール(Vaugirard)
  • コンヴァンシオン(Convention)
  • ポルト ド ベルサイユ(Porte de Versailles
  • コランタン セルトン(Corentin Celton)
  • メリー ディシー(Mairie d'Issy)

以下はモンマルトル周辺の地図になります。サクレ・クール寺院と地下鉄駅、ケーブルカー乗り場の位置関係などを確認ください。

サクレ・クール寺院、 アンヴェール駅(Anvers)、 アベス駅(Abbesses)、 ケーブルカー乗り場、 ケーブルカー降り場

「アベス駅」と「アンヴェール駅」のどちらで降りても、サクレ・クール寺院まではほぼ同距離ですが、ケーブルカーを利用して高台に上がりたい方は「アンヴェール駅」で降りた方が、ケーブルカー乗り場までは若干ですが近いです。

ケーブルカーの利用方法

モンマルトルのケーブルカー

サクレ・クール寺院は、地下鉄2番線の「アベス駅」や、地下鉄12番線の「アンヴェール駅」から徒歩8分ほどですが、寺院が高台にあるため、結構急な坂道や階段を上る必要があります。

急こう配な道を上るのが苦手な方は「ケーブルカー」の利用がおすすめです。ケーブルカー乗り場と駅やサクレ・クール寺院の位置関係は以下の地図を参考にしてください。

モンマルトル地区周辺マップ

ケーブルカーのチケット

モンマルトルのケーブルカーは、地下鉄やRERと同じパリの交通公団「RATP」によって運行されております。そのため、チケットは全て共通で、1回券は1.90€になります。地下鉄でアクセスしてくる際は、地下鉄駅でケーブルカー乗車分のチケットも一緒購入しておくと手間が省けます。

チケットの購入方法

ケーブルカーのチケットは、空港や地下鉄に設置してある自動券売機や窓口などで購入する事ができますが、ケーブルカー乗り場に設置してある窓口や自動券売機(写真下)でも購入可能です。ただし、窓口で買おうとすると自動券売機で買ってくれと言われる場合が多いです。

ケーブルカー乗り場の改札と自動券売機

自動券売機の操作方法については、別記事の「自動券売機でのチケット購入方法(タッチモニター式タイプ)」を参考にしてください。

下の写真は、丘の上にあるサクレ・クール寺院側のケーブルカー乗り場です。こちらは無人駅になりますが自動券売機は設置してあります。

ケーブルカー乗り場の改札と自動券売機

ケーブルカーの乗り方

ケーブルカーの乗り方も地下鉄と同様です。乗車チケット購入後、下の画像の様に乗車チケットを自動券売機のチケット挿入口に挿入します。チケットを挿入すると、レバーのロックが解除されて改札を通れる様になります。

メトロ 自動改札機の操作説明

改札を抜けたら、右側の登る人用の乗車口に並びます。左側は降りてくる人用の降車口になります。あとはケーブルカーの到着を待って乗車するだけです。サクレ・クール寺院がある丘の上までは直通です。

サクレ・クール寺院の見どころ

サクレ・クール寺院の外観

サクレ・クール寺院は、1870年の普仏戦争や翌年のパリコミューンの内乱による戦死者や被害者を追悼するために建設された寺院です。

【ブロンズの騎馬像】

サクレ・クール寺院の正面には2体の騎馬像が飾られています。むかって左手側が「ルイ9世像」、向かって右側が「ジャンヌ・ダルク象」になります。

サクレ・クール寺院 ルイ9世像

▲ ルイ9世の騎馬像

サクレ・クール寺院 ジャンヌ・ダルク象

▲ ジャンヌ・ダルクの騎馬象

また、正面ファサードの中央上部には、キリスト像(写真下)も飾られています。

正面ファサード上部のキリスト像
サクレ・クール寺院の鐘楼

【鐘楼】
サクレクール寺院の裏側に建つ高さ約85mの鐘楼にある鐘は、1895年にサヴォワ地方で鋳造(ちゅうぞう)されたものです。別名「サヴォワ」と呼ばれるこの鐘の重さは18トンもあり、現存する鐘の中では世界最大級の大きさを誇ります。

【ブロンズ扉の彫刻】

正面入り口の3つのブロンズ扉の上には、最後の晩餐をはじめとするキリストの生涯を描いた彫刻が彫り込まれています。

サクレ・クール寺院 入口扉上の彫刻

▲ イエスの死を確認するために槍を刺すローマ兵の姿が描かれています。

サクレ・クール寺院 入口扉上の彫刻

最後の晩餐のレリーフでは、五つのパンと二匹の魚で五千人を救う場面が描かれています。

サクレ・クール寺院 入口扉上の彫刻

▲ イエスの復活を信じないトマスに、傷を触らせるキリスト

教会内部の景観と見どころ

サクレ・クール寺院の内部は、高さ83m、幅50m、奥行き100mの大きさを誇り、内部はステンドグラスやモザイク画によって飾られています。

サクレ・クール寺院内部の景観

1903年から1920年の間に取り付けられたステンドグラスの窓は、1944年の爆撃によって破壊され、1946年に交換されたものです。

サクレ・クール寺院内部の景観

聖堂内は非常に薄暗い感じで、曇りの日はさらに薄暗くなります。

サクレ・クール寺院内部の景観

教会内部の一番の見どころは、中央ドームの475m2の丸天井部に描かれた「キリストのモザイク画(写真下)」です。

サクレ・クール寺院 キリストのモザイク画

キリストの復活を表現したこのモザイク画の中央には、白い衣服をまとい両手を広げるイエス・キリストの姿が描かれ、胸の中央では黄金の心臓が輝いています。更にキリストを囲む様に、聖母マリアや聖ミカエル、ジャンヌダルクなどの姿も描かれています。本作は、19世紀を代表するパリの有名画家「リュック・オリビエ・メルソン」が手がけたものです。

サクレ・クール寺院内部の景観

▼中央祭壇

サクレ・クール寺院の中央祭壇

中央祭壇には小さなマリア像が飾られています。

▼入口上部のパイプオルガン

入口上部のパイプオルガン

このオルガンはフランスのオルガン職人「アリスティド・カヴァイエ=コル」によって1898年に造られたものです。アリスティドは、本教会をはじめ、同じくパリの「ノートルダム大聖堂」や「サン=シュルピス教会」など、50年以上に渡り国内外のオルガン製作を手がけています。

サクレ・クール寺院内部は、それなりに広いですが、どことなく簡素でそこまで大きなインパクトはありません、あくまでも個人的な意見ですが、サクレ・クール寺院は内部よりもドームの上からの景観や外観の白亜の美しさの方が魅力的だと思います。

ドームの登り方とパノラマビュー

サクレ・クール寺院のドームの高さは83mもあるだけでなく、海抜130mの小高い丘に建っているため、ドームの高さ以上に高い位置からモンマルトル地区やパリ市内を一望する事ができます。

ドームに登ってパノラマビューを堪能するには、正面の教会入り口とは別の入り口からチケットを購入して入場します。

ドームのチケット売り場と入り口は、サクレ・クール寺院を正面にして左手側の側面に入り口があります。

ドームの登り口

寺院に向かって左手側面側に回ると、下写真の様な階段と入り口があります。

ドームの登り口

上の側面入り口から入場してすぐ左手に「DOME」と書かれた青い看板(写真下)があります。この看板が指すところから階段を下ると、正面にドーム入場用の改札機械、右手側にチケット売り場があります。

ドームの登り口

チケットを購入したら、そのまま改札機を通って、後はひたすら300段の螺旋階段を上ってドーム頂上を目指すのみです。

300段の階段は結構きついですが、登り切った後には、素晴らしい景観(写真下)が皆さんを迎えてくれます。

サクレクール寺院のドームは、セーヌ川の200メートル以上も高い場所に位置しており、周囲の田園地帯を50キロにわたって見渡す事ができます。 1889年に建てられたエッフェル塔に次いで、パリで2番目の高台にあるビューポイントです。

所要時間の目安

サクレ・クール寺院の外観

所要時間は、寺院内だけなら30分もあれば十分ですが、ドームに上がる場合はトータルで所要60分~70分は見ておいた方が無難です。

ただし、日中はドームに登るために行列ができている場合もあるので、行列に並ぶ時間やパリ中心地からの移動時間を考慮すると、2時間ぐらいをみておけば間違いありません。

おすすめの訪問時間

サクレ・クール寺院の訪問時間は、夕焼けが美しい日没前後の時間帯か、混雑を避けられる朝一番の訪問がおすすめです。

まとめ

サクレ・クール寺院の外観

サクレ・クール寺院があるモンマルトル地区は、都会的なパリとは一味違ったのどかな街で、パリから簡単にアクセスできるにも関わらず景観の雰囲気はガラリと変わります。

また、モンマルトルには、サクレ・クール寺院以外にも「ジュテームの壁」や「ムーランルージュ」など多くの見どころが存在しています。フランスの家庭料理が食べられるアットホームなレストランも多数あります。

そして、ピカソやルノワール、ユリトロをはじめとする多くの有名画家たちがその景観を愛したほど、街並みの美しさにも定評があります。是非、パリ訪問時はモンマルトルまで足を運び、ゆっくりと半日ぐらいかけて、サクレ・クール寺院とモンマルトルを探索してみてください。