大トリアノン宮殿(グラン・トリアノン)を徹底解説 – 見どころ、館内マップ、回り方、所要時間など

ヴェルサイユ宮殿 パリ
大トリアノン宮殿(グラン・トリアノン)

本記事では、ヴェルサイユ宮殿の敷地内にある「大トリアノン宮殿(グラン・トリアノン)」の見どころや回り方を、館内マップを交えながら詳しく解説致します。

大トリアノン宮殿とは

トリアノン宮殿

大トリアノン宮殿は、ルイ14世が愛妾のモンテスパン夫人と密会するために、1670年に建設させた「磁器のトリアノン」と呼ばれる建物が元になっています。

その後、この「磁器のトリアノン」を更に拡張したいと考えたルイ14世は、ジュール・アルドゥアン=マンサールに、建て替えの設計を命じました。

1687年に、大トリアノン宮殿が完成すると、その装飾の美しさから「大理石のトリアノン」などと呼ばれました。以降、この宮殿には、第二帝政の崩壊まで、ルイ14世をはじめとする歴代の君主とその関係者が住み続けました。後に、あのナポレオン1世もこの宮殿を気に入り、妻のマリー・ルイーズと共に何度も滞在しました。

現在、大トリアノン宮殿(グラン・トリアノン)には、ピンクの大理石が美しい「柱の回廊」をはじめ、館内の多くの広間や回廊が見学スポットとして公開されています。かつてナポレオンの妻が寝室として利用していた「皇后の寝室」や、王子たちの大広間「鏡の間」など、見どころが満載です。

営業時間とチケット料金

【大トリアノン宮殿 営業時間・入場料金】
営業時間
  • ・12:00~18:30(4月〜10月)
  • ・12:00~17:30(11月〜3月)
入場料金・12 €〜(無料)※入場チケットの料金は、入場できる範囲によって異なります。

上で記した入場料金は「大トリアノン宮殿(グラン・トリアノン)」と「マリーアントワネットの離宮(プティ・トリアノン)」にのみ入場できるチケットです。チケットは、ヴェルサイユ宮殿の入場がセットになったチケットなど複数種類あります。チケットの料金や種類、オンライン予約方法に関しては、以下の記事にて詳しく解説しております。

館内マップと回り方

大トリアノン宮殿(グラン・トリアノン)は北翼と南翼の2翼で構成され、全15部屋の見学ポイントが存在しています。まずは以下にて、広間と回廊名、館内マップをご確認ください。

大トリアノン宮殿の館内マップ

【南翼】

  • (1)マリア・ルイーザの私室(Empress Marie-Louise’s Boudoir)
  • (2)鏡の間(Mirror Room)
  • (3)皇后の寝室(Empress’s Bedchamber)
  • (4)礼拝堂の間(Chapel Room)
  • (5)領主達の控えの間(Lords’ Room)

【北翼】

  • (6)円形の間(Round Room)
  • (7)皇帝の家族の間(Emperor's Family Drawing Room)
  • (8)ベルギー王妃の寝室(Bedchamber of the Queen of the Belgians)
  • (9)音楽の間(Music Room)
  • (10)ルイ・フィリップの家族の間(Louis-Philippe's Family Drawing Room)
  • (11)孔雀石の間(Malachite Room)
  • (12)皇帝の地図の間(Map Room)
  • (13)涼みの間(Cool Room)
  • (14)コテルの回廊(Cotelle Gallery)
  • (15)庭園の間(Garden Room)

上の館内マップを見て頂くと分かると思いますが、トリアノン宮殿の構造はシンプルです。順路に沿って「(1)のマリア・ルイーザの私室」から「(15)庭園の間」の順で見学して行くだけです。見学完了後は、柱の回廊の東側に面する中庭の出口から退出できます。もし「トリアノン宮殿(グラントリアノン)」から「プティトリアノン」に歩いて行く場合、北翼にある出口から、西側の庭園を通って移動すると便利です。トリアノン宮殿から、プティ・トリアノンまでのルートは、以下の地図を参考にしてください。

マリーアントワネットの離宮へのルートマップ

館内マップの入手方法

大トリアノン宮殿に入場後、チケット売り場の先にある「インフォメーション」で日本語の館内マップを入手する事ができます。解説も豊富ですので、忘れずに入手してください。

トリアノン宮殿 インフォメーションの館内マップ

また、事前に予習をしたい方は、大トリアノン宮殿のHPにて配布されている「大トリアノン宮殿のパンフレット - 英語(PDF)」のダウンロードが可能です。解説は全て英語ですが、地図や写真が豊富に利用されており、かなり参考になると思います。是非、ダウンロードの上でご活用ください。残念ながら、日本語のパンフレットはWEB上では配布されておりません。

大トリアノン宮殿の見どころ

以下より、大トリアノン宮殿(グラン・トリアノン)の中でも、特にお勧めの見学ポイントをピックアップしてご紹介致します。

鏡の間

鏡の間

大トリアノン宮殿の南翼で最も美しいこの部屋は、鏡を使った装飾のすばらしさから「鏡の間」と呼ばれました。王子たちの部屋として使用されたのち、ルイ14世および、ルイ14世の王太子にも使用されました。更にフランス革命後は、ナポレオンの母「マリア・レティツィア」が、次いでナポレオンの2人目の妻「マリー・ルイーズ」が住みました。室内の装飾は、ほぼ当時のままですが、オリジナルの家具のほとんどが、フランス革命時に売却されてしまいました。現在はフランス革命後に、ナポレオンによって新調された家具を見学する事ができます。

皇后の寝室(マリールイーズの部屋)

皇后の寝室(マリールイーズの部屋)

ナポレオンの妻である「ルイーズ」が寝室として利用していた部屋。コリント式の柱と、精巧に彫り込まれた木工細工の装飾が非常に特徴的です。寝室の調度品のほとんどが19世紀当時のものです。

礼拝堂の間(The Chapel Room)

礼拝堂の間(The Chapel Room)

広間名である「礼拝の間」は、トリアノン最初期にここが礼拝を行う場所として利用されていた事に由来しています。

1692年にルイ14世がこの場所に居を構えると、王の控えの間として改造されますが、本来の「礼拝」を行う場としての役割も継承され、奥の扉は祭壇へと繋がっています。

部屋内には数枚の肖像画が飾られ、福音書記者の「聖マルコ」と「聖ルカ」や、フランス王「ルイ15世(画像下)」とその妃の「マリー・レクザンスカ」などが描かれています。

柱の回廊

柱の回廊

大トリアノン宮殿の中で最も有名な場所が、ピンク色の大理石が美しい吹き抜けの回廊です。この柱の回廊は、建築家のフランソワ・マンサールがイタリア様式の回廊を手本に設計し、ルイ14世の発案なども取り入れて建設されました。この回廊によって建物の南翼と北翼を隔てています。

円形の間(The Round Room)

円形の間(The Round Room)

円形の間は、ルイ14世の最初の居室へ続く控えの間として、1688年から1691年まで、わずか3年間だけ利用されました。広間内のコリント式の柱、大理石の床、壁の絵画などは、すべて当時のものです。

音楽の間

音楽の間

ルイ14世の最初の居室の控えの間で、王の夕食が出された部屋でした。家具の木工品は宮殿の中でも最も古いものの一つで、入口の上にある高台の扉では、王の食事中に演奏家が音楽を奏でていました。

ルイ・フィリップの家族の間(Louis-Philippe's Family Room)

ルイ・フィリップの家族の間

ルイ・フィリップ(フランス王)は、2つの部屋を組み合わせて、この広々とした広間を作りました。王と彼の家族は、大トリアノン宮殿を非常に気に入っており、夕刻の家族団欒の場として、この広間で多くの時間を過ごしました。黄色とスタイリッシュな装飾で飾られた部屋内には、ゲームテーブルやソーイングテーブル、ソファーなどが置かれています。

孔雀石の間

孔雀石の間(The Malachite Room)

当時、この広間は大トリアノン宮殿の中でも最も重要な部屋とされており、元は老年のルイ14世の小部屋として使用されたり、皇帝の大サロンとして使用されていました。

部屋内を飾る3枚の絵画「ティアナとニンフたち」「ヒマワリに変身するクリュティエ」「アポロとテティス」は、トリアノン宮殿の中でも傑作に数えられる美術作品です。

また、1811年に設置された家具一式は、ウラル地方の孔雀石で作られており、広間名の由来になっています。家具の素材である孔雀石は、ロシア皇帝「アレクサンドル1世」がナポレオンに贈ったものですが、後年にナポレオンを破り、皇帝から失脚させたのも「アレクサンドル1世」です。

コテルの回廊(The Cotelle Gallery )

コテルの回廊(The Cotelle Gallery )

両側の壁面に24枚の絵画が並ぶこの「コテルの回廊」は、第1次世界大戦後の1920年6月4日に、ハンガリーとの調和条約「トリアノン条約」が行われた場所として知られています。

回廊を飾る24枚の絵画のうち、21枚はパリ出身の「ジャン・コテル」という画家が手掛けており、広間名の由来になっています。絵画には、17世紀当時のヴェルサイユとトリアノンの庭園風景が描かれており、その当時の様子を伺い知る貴重な資料にもなっています。

所要時間の目安

大トリアノン宮殿の観光所要時間は60分~70分ほどです。

さっと見学すれば、所要30分でも十分ですが、ギフトショップなどにも立ち寄って、休憩を挟みつつゆっくりと見学する場合は、所要60分~70分は見ておいたほうが良いと思います。

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