オランジュリー美術館を攻略 – 見どころ、作品、行き方、所要時間
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パリ本記事では、モネの睡蓮で有名な「オランジュリー美術館」の観光情報を徹底解説致します。館内の作品やフロアマップはもちろん、行き方、所要時間、歴史など、オランジュリー美術館を見学する上で役立つ情報が満載です。
オランジュリー美術館とは - 歴史と現在
まずは、オランジュリー美術館の現在と歴史についてご紹介します。
オランジュリー美術館とは
オランジュリー美術館は、モネの連作「睡蓮」と、ポール・ギョーム及びジャン・ウォルターが収集した145点の絵画を展示するパリ中心部の美術館です。
常設展示では、印象派画家の作品を中心に、モネ、ルノワール、セザンヌ、ピカソ、ゴーギャン、マティス、ユリトロ、ルソーなど、日本でも名の通った画家達の作品を鑑賞できます。館内の一部では季節によって展示作品が変わる企画展も行われています。
歴史と現在
オランジュリー美術館は、1853年にナポレオン3世が、チュイルリー宮殿の庭園にあった脆弱な植物を越冬させるために建築させた「オランジュリー(温室)」が元になっています。
1871年に、チュイルリー宮殿自体は焼失してしまいますが、残ったオランジュリーは、様々な行事や展覧会を行う多目的会場として利用される様になります。
1918年に第一次世界大戦が終戦すると、その翌日に「クロード・モネ」は政府に自身の生涯をかけた大作「睡蓮(画像右)」の寄贈を申し出ます。モネは当時の大統領である「フランス クレマンソー」と深い親交があったため、大統領宛てに直接書簡をしたため、その意志を伝えました。
この時、睡蓮の展示場所は現在のロダン美術館の建物なども候補に上がりましたが、最終的に「オランジュリー」の建物を整備して、「睡蓮」の展示スペースとする事が決定しました。オランジュリー美術館は、モネの「睡蓮」を展示するためだけに誕生した美術館と言っても過言ではありません。
その後、展示スペースの整備や、モネによる作品の手直しなどもあり、実際に「睡蓮」が公開されるまでに数年を要しました。睡蓮が公開されたのは、モネがこの世を去った数ヶ月後の1927年5月の事でした。
睡蓮の展示スタートから半世紀ほどの間は、オランジュリーの常設展示はこの「睡蓮」のみでした。更に、オルセー美術館やピカソ美術館、グランバレなどの新しい美術館が政府によって前面に押し出されると、オランジュリー美術館は徐々に衰退期を迎えます。
しかし、1977年に入り「ポール・ギョーム」と「ジャン・ウォルター」の蒐集品が、完全にオランジュリー美術館のコレクションに加わると、1978年から1984年にかけて展示スペースの再整備を目的とした大規模な改装工事が行われます。
この改修が完了した1984年以後、オランジュリー美術館の来場者数は徐々に回復し、1998年頃には年間50万人を超えるまでになりました。この流れによって、オランジュリー美術館と睡蓮は再評価され、モネが本来望んでいた自然光の中での「睡蓮」の展示スペースも2000年~2006年にかけて再整備されました。
以来、オランジュリー美術館は、ルーブル、オルセーと肩を並べるまでの人気とは行きませんが、パリの中でも人気の高い美術館の一つとなっています。
オランジュリー美術館の基本情報
本項では、営業時間やチケット料金など、オランジュリー美術館を観光する上で必要な基本情報をご紹介致します。
営業時間と休館日
【営業時間】
9:00 – 18:00(最終入場時間:17:15)
【休館日】
火曜日、 5月1日、7月14日の午前、12月25日
チケット料金とオーディオガイドレンタル
オランジュリー美術館の入場チケットとオーディオガイド料金は以下の通りです。
【オンライン購入】
- ・ 12.5ユーロ - 一般入場
- ・ 10.0ユーロ - 17歳以下
【無料入場について】
毎月第1日曜日は入場料金が無料となります。
【オーディオガイド レンタル】
- ・ 5ユーロ
残念ながら、オーディオガイドは日本語に対応しておりません。
写真撮影について
館内の常設展示作品はモネの「睡蓮」も含めて全て撮影可能です。ただし、季節限定の企画展では一部撮影不可の写真もあります。また、セキュリティチェック付近で写真撮影をすると、かなり厳重に注意されます。
日本語のパンフレット
オランジュリー美術館の入口に入ってすぐのインフォメーションで日本語のパンフレットが配布されています。フロアマップ付きなので忘れずに入手してください。
公式サイトから「英語版のパンフレット」のみ、事前にダウンロード可能です。
オランジュリー美術館の混雑具合とチケット予約の必要性
オランジュリー美術館の混雑具合は、数年前までは非常に緩やかで、予約の必要性もありませんでした。しかし近年は館内リニューアルなどの効果もあり、現在は混雑必須の人気スポットとなっています。
参考までに下画像は、冬場のローシーズンにオランジュリー美術館に並ぶ当日券購入者の行列です。
行列に並びたくない方は「オランジュリー美術館の公式サイト(英語)」や「オランジュリー美術館のチケット(日本語)」などのサイトで、事前にオンライン予約さえしておけば、当日は「予約者専用の入場レーン」から並ばずに入場する事ができるほか、チケット窓口に立ち寄る手間と時間を省略できます。
しかも「Tiqets」というサイトを利用すれば、定価より1ユーロ高いだけの13.5ユーロで日本語ページから簡単に予約できます。当サイト経由で多くの日本人の方が、このサイトを利用しています。
「オランジュリー美術館」以外にも「ルーブル美術館」と「オルセー美術館」は予約必須の人気スポットです。以下の記事にて、各美術館のチケット予約方法を詳しく解説しておりますので、参考にしてください。
オランジュリー美術館のロケーションと行き方
オランジュリー美術館はパリの1区、チュイルリー庭園の西側に位置しています。近場には「ルーブル美術館」や「オルセー美術館」など、芸術関連の観光スポットが多くあるほか、コンコルド広場も徒歩圏内です。
【地下鉄での行き方】
メトロ1、8、12番線の停車駅「コンコルド駅(Concorde)」で下車後、オランジュリー美術館西側の入場口までは徒歩5分(270m)ほどです。
地下鉄の路線図や停車駅については以下の記事にて実用的に見やすく掲載しておりますので参考にしてください。
徒歩での行き方
オランジュリー美術館へは、ルーブル美術館やオルセー美術館など、周辺の観光スポットから徒歩でアクセスされる方も多いと思います。
オランジュリー美術館と近場の観光スポットの位置関係は以下の地図を参照ください。赤いマーカーの場所が「オランジュリー美術館」で、緑の一帯が「チュイルリー庭園」になります。
以下は、周辺観光スポットからオランジュリー美術館までの徒歩での所要時間と距離を記したものです。上の地図と合わせて参考にしてください。
- ❶ コンコルド広場から:徒歩2分(140m)
- ❷ オルセー美術館から:徒歩9分(650m)
- ❸ グラン・バレから:徒歩10分(800m)
- ❹ プティ・バレから:徒歩11分(850m)
- ❺ ルーブル美術館から:徒歩15分(1.2km)
- ❻ パレ・ロワイヤルから:徒歩18分(1.4km)
チュイルリー庭園から入口までのアクセス
オランジュリー美術館は「チュイルリー庭園」内にあるので、アクセス方法に限らず、必ず「チュイルリー庭園」を通って入口にアクセスします。チュイルリー庭園内のオランジュリー美術館の位置は以下の「チュイルリー庭園マップ」にてご確認ください。下の地図は北と南、東と西が逆になっておりますのでご注意ください。
チュイルリー庭園の南西側にオランジュリー美術館の入口はあります。
庭園内に到着したら後はひたすら南西方向を目指して行くだけなので、すぐに分かると思います。まず迷う事はありません。庭園内にも「Musée de l'Orangerie」と書かれた案内標識(画像下)があります。
奥に見えるガラス張りの温室の様な建物が「オランジュリー美術館」です。こちらは建物南側の景観になります。
ルーブル美術館などから徒歩で来る場合は、この南側からアクセスされるかたが多いと思います。逆にオルセー美術館から来る場合は、建物の北側からアクセスする形になると思います。
オランジュリー美術館の入口は長方形の側面にあたる西側になります。入口は、チケット保有の有無やチケットの種類に限らず、この一箇所です。
オランジュリー美術館への入場から見学開始までの流れ
オランジュリー美術館の入口は一箇所だけですが、チケットの有無によって入場レーンが3つに分かれています。そのうち皆さんが利用する可能性があるのは1と2のレーンのいずれかです。
当日にチケットを購入して入場される方は、向かって左側の「1」の「VISITORS WITHOUT TICKET」と書かれた案内板に沿って並んでください。
一方、公式サイトやGET YOUR GIDEなどでオンラインでチケット予約済みの方やパリミュージアムパスをお持ちの方は右側の「2」の「VISITORS WITH TICKET / PASS / CARD PMP」と書かれた案内板に沿って並んでください。チケットをお持ちの方は行列をスキップできます。
ただし、オランジュリー美術館の場合、入場者が少ない時は、チケットの有無に限らず入場レーンが同じになっている事が多いです。
上の写真を撮影したのは冬場のローシーズンだったので、この日も予約なしとありで列がごっちゃになっていました。もちろん、入場者の多いときは、予約者は優先的に入場できます。ごっちゃになるのは来館者が少ない時だけです。
館内に入場すると、まずはセキュリティチェックがあります。
セキュリティチェックを抜けると、左手側に「クロークルーム(コート預け可能)」、右手側にインフォメーションがあります。インフォメーションでは日本語の館内マップが無料で配布されているので入手ください。
下の画像は上の入口付近の写真を別角度から撮影したものです。
順路に沿って細い通路を5メートルほど進むと、進行方向に向かって左側に「チケット売り場」、右手側に「オーディオガイドのレンタルカウンター」があります。下画像は進行方向の逆側から撮影したものです。
当日券を購入される方、もしくはオーディオガイドをレンタルされる方はこの場所で手続きを行ってください。
チケット売り場を左手にして、順路を進んだ奥が展示エリアになっています。後は自由に観光をスタートしてください。
参考までに、展示エリア入口前の通路左手側のショーケースには、睡蓮に関する日本語の説明パネルが展示されています。睡蓮に関して詳しく知りたい方は、見学の前か後でじっくり一読してみてください。
オランジュリー美術館内の見どころと作品紹介
本項では、フロア別の館内マップとおすすめの展示作品を写真と解説付きでご紹介致します。オランジュリー美術館の展示エリアは一部の企画展以外は写真撮影OKです。
0階フロアマップと「睡蓮」
0階(地上階)は、クロード・モネの連作「睡蓮」を展示するために整備されたスペースです。展示室は1〜3までありますが、2と3の部屋は「睡蓮」専用の展示スペースとなっています。
展示室2と3には、それぞれ4点づつ(全8点)の「睡蓮」が壁一面に展示されています。展示室1は企画展として利用される事が多く、季節によって異なる展示が行われています。
睡蓮(1914‐26年) - クロード・モネ作
モネの集大成とも言える連作「睡蓮」は、モネの自宅の水庭に映る「睡蓮」の景観を、異なる時間帯と季節で描いた作品です。モネはこの作品を通して、時間帯や季節によって移ろう光の輝きや反射、雲、葉、広がる空間を見事に調和のとれた構図で表現しています。
まずは、展示室「2」に展示されている睡蓮の最初の4作を、部屋に入って真正面の「緑の反映」から時計回りに「朝」「日没」「雲」の順でご紹介します。
【緑の反映】
【朝】
【日没】
【雲】
続いて、展示室「3」の残りの4作を、部屋に入って真正面の「二本の柳」から時計回りに「明るい朝、柳」「木々の反映」「朝の柳」の順でご紹介します。
【二本の柳】
【明るい朝、柳】
【木々の反映】
【朝の柳】
睡蓮の8枚の絵画は、高さは200cmで全て統一されていますが、長さは600~1700cmまで幅があります。最も長いのが展示室3の「二本の柳」になります。
参考までに、睡蓮の展示室中央にはベンチが設けられています。作者のモネはこの睡蓮が人々の癒しとなる事を強く望んでいました。是非、皆さんもベンチに座りながらじっくりと睡蓮を鑑賞してください。
「睡蓮」の見学後は、再びチケット売り場があるホールまで戻り、階段を利用して地下1階と地下2階にアクセスできます。その他の常設展示作品は地下2階に全て展示されています。
-1階フロアマップとライブラリーショップ・カフェ
-1階は日本の地下1階にあたるフロアです。オランジュリー美術館のフロアの中では最も面積が狭く、ライブラリーショップ・カフェが営業しています。
展示作品はこのフロアにはありませんので、鑑賞前後の休憩やお土産探しの際に利用する場所になります。
このフロアから地下2階に降りると、常設のポール・ギョームとジャン・ウォルターが収集した作品展示エリアに出る事ができます。カフェやライブラリーショップは最後に立ち寄るのが良いと思います。
-2階フロアマップと展示作品
絵画展示のメインフロアである-2階(地下2階)には、ポール・ギョームとジャン・ウォルターが収集した1860年代から1930年代までの印象派の作品が展示されています。
展示作品は、アンドレ・ドランの29点とルノワールの25点の作品を筆頭に、セザンヌ、ピカソ、ゴーギャン、マティス、ユリトロなど、日本でも有名な画家の名作がずらりと並んでいます。
以下より、その中でもお勧めの作品をピックアップしてご紹介します。
風景の中の裸婦(1883年) - ルノワール作
ルノワールは1881年から1882年にかけてのアルジェリア・イタリア旅行の中で、ルネサンスの古典作品に強い影響を受けます。そして、これを切っ掛けに、これまでの印象派的画風からの脱却を模索しはじめます。この「風景の中の裸婦」はそんな転換期にあった頃のルノワールの作品です。
ピアノに寄る娘たち(1892年頃) - ルノワール作
1890年にルノワールが妻の結婚祝いにピアノを贈った時に描かれた作品だと言われています。ルノワールによる、本絵画の別バージョンは少なくとも6種類は存在しています。
長い髪の浴女(1895年) - ルノワール作
柔らかく穏やかな自然風景の中で女性が水浴びをする姿を描いた作品。ルノワールが新しい画風を確立し始めた「真珠色の時代」と呼ばれる時期の作品で、ルノワール特有の鮮やかで明るい肌の色合いが特徴的です。
ピエロ姿のクロード(1909年) - ルノワール作
当時8歳のルノワールの息子「クロード」を描いた作品。ルノワールはこの作品を描く際に、ピエロの様な衣装を着る事を嫌がった息子「クロード」説得のため、列車のおもちゃを買ってあげる事を約束しました。
ポール・ギヨームの肖像(1915年) - モディリアーニ作
モディリアーニのパトロンであった画商「ポール・ギョーム」の23才の頃の姿を描いた肖像画。作品の左下には「ノーヴォ・ピロータ(新しい案内人)」と書かれています。ギョームの肖像画は複数ありますが、このモディリアーニのものが最も有名です。
若い見習い(1918年) - モディリアーニ作
モディリアーニが南フランスに滞在していた時に描いた作品。モディリアーニは、セザンヌの作品を大いに評価しており、この肖像画はセザンヌ作品に登場する人物のポーズを再現しています。
大きな浴女(1921年) - パブロ・ピカソ作
ピカソがキュビズムから古典主義に回帰していた頃の作品。この絵画を1927年に購入した画商ポール・ギヨームはピカソを若い無名の頃から評価していました。
三姉妹(1917年) - アンリ・マティス作
この三姉妹の肖像画は、マティスの最高傑作の1つと言われています。向かって右側の読書に夢中の女性以外は、こちらに視線を向けています。
ソファーの女たちあるいは長椅子(1921年) - アンリ・マティス作
マティスが1916年以降に頻繁に滞在していたニースのホテルの一室を描いた作品。わずかに開くドアが狭い空間に開放感を与えています。
婚礼(1904‐05年) - アンリ・ルソー作
素朴派と言われるルソーの作品が世に出た時、批評家たちはこぞって彼の作品を酷評しました。しかし、ピカソやゴーギャンなど、最先端を行く画家達はその才能を認めていました。また、ルソーの子供の様に無垢な性格は、多くの芸術家たちに愛されました。作中では花嫁が宙に浮く様に描かれているのが特徴的です。後列の右から2番目はルソー本人だと言われています。
ジュニエ爺さんの二輪馬車(1908年) - アンリ・ルソー作
金銭に執着しなかったルソーは生涯お金に縁がありませんでした。この作品も、店のつけを払うため、近所の八百屋の主人「ジュニエ爺さん」の家族を描いたものです。また、帽子をかぶっているのはルソー本人だと言われています。
人形を持つ子供(1906年) - アンリ・ルソー作
作中では、大人ともとれる巨漢の子どもがアンバランスな姿で描かれています。 足の下部が草の中に消えていくのが特徴的です。
風景(1901年) - ポール・ゴーギャン作
作中の風景は、マルキーズ諸島にあるヒバ・オア島だと言われています。背景には白い家が木陰に隠れ、絵の中央では、3人の子供が宣教師の様な黒服の男の後ろを歩いています。
ソアルルカンとピエロ(1924年) - アンドレ・ドラン作
ドランが第一次世界対戦から帰還後に描いた作品で、イタリア劇場の2人の道化師が描かれています。何処か2人ともうつろな表情をしています。
大きい帽子を被ったポール・ギョーム婦人の肖像(1928-29年) - アンドレ・ドラン作
画商ポール・ギョームの妻「ドメニカ」の肖像画。ドメニカはギョームの亡き後、その意志に沿ってギョームのコレクションを美術館に寄贈しました。
マドモアゼル・シャネルの肖像(1923年) - マリー・ローランサン作
あのシャネルの創設者であるココ・シャネルの肖像画です。理由は諸説ありますが、シャネルはこの肖像画を認めず、マリー・ローランサンからの購入を拒否しました。ローランサンはこれに激怒して、シャネルの事を百姓娘と批判しました。
侍者(1927-28年頃) - シャイム・スーティン作
何かに怯える様な表情が特徴的な聖歌隊の子供を描いた作品。子供の表情は、スーティンの不安定な精神状態を投影していると言われています。スーティンはルーヴル美術館を頻繁に訪れ、ギュスターヴ・クールベ(1819-1877)、レンブラント(1606-1669)などの絵画を絶賛しました。
牛のばら肉と小牛の頭(1925年頃) - シャイム・スーティン作
ぶら下がった牛肉がキャンバスの大部分を占めるインパクト大の作品。赤と黄色の色使いが印象的で、牛肉の横に描かれているのは小牛の頭です。1925年のシャイム・スーティンは何かに取り憑かれるかの様に、10枚もの牛肉をテーマとした作品を描いています。
村落(1925年頃) - シャイム・スーティン作
南仏のカーニュ・シュル・メールという都市から8kmほど離れた場所にある村落を描いた作品。スーティンは人物画以外にも、複数の風景画を描いていますが、この村落は際立って歪みの激しい作品です。
赤いズボンのオダリスク(1924-25年頃) - アンリ・マティス作
背景の大きな花をモチーフにした2つのパネルが空間を閉じ、絵画の平面性を強調しています。モデルが身につけている白いチュニック、赤いムーアのズボン、ジュエリーなどは、オリエンタルな雰囲気が漂います。
サン・クロワ大聖堂(1913年) - モーリス・ユトリロ作
パリ南部のオルレアンのシンボル「サン・クロワ大聖堂」を描いた作品。この大聖堂は、あのジャンヌ・ダルクが礼拝したと言われている場所です。オランジュリーにはこれと似た構図の「ノートルダム大聖堂(ユリトロ作)」という作品も展示されています。
ベルノ商店(194年) - モーリス・ユトリロ作
本作は、パリのモンマルトルの丘の上にあるモンセニス通りを歩く人々を描いています。 1912年に完成したサクレ・クール寺院の鐘楼が右側に見えます。
林檎とビスケット(1879-80年) - ポール・セザンヌ作
セザンヌは数多くの静止物をモチーフにしていますが、その中でも、この「林檎とビスケット」は傑作と言われる作品の一つです。死後にオランジュリーにこの作品を寄贈した「ドメニカ・ウォルター」は、1952年に莫大な金額を投じてこの作品を手に入れました。
オランジュリー美術館の所要時間
オランジュリー美術館の所要時間は60分~90分ほどです。
オランジュリー美術館の展示作品数は約150点ほどです。館内は地上階と2つの地下階の合計3フロアで構成されていますが、展示があるのは地上階と地下2階の2フロアのみです。
所要90分もあれば、1階の「睡蓮」に30分、地下2階のポール・ギョームとジャン・ウォルターのコレクションに60分かけてじっくりと見学できます。
ただし、所要90分というのはかなり余裕を持った時間配分です。実際に「睡蓮」の見学などは、10分ぐらいで終えてしまう方も結構多いです。そういった方は、トータルの見学所要50分~60分もあれば十分だと思います。もし、時間が大幅に余った場合は、次の観光地を目指すのも良いですが、併設のカフェやギフトショップにも立ち寄ってみてください。
オランジュリー美術館に関するまとめ
オランジュリー美術館についての概要をまとめると以下の様な形です。
- ・オランジュリー美術館は宮殿の庭園内にあった「温室」の建物を改装した美術館。
- ・オランジュリー美術館はモネの「睡蓮」を展示するために整備された美術館。
- ・常設展示作品はモネの連作「睡蓮」と「ポール・ギョーム」の蒐集品146点がメイン。
- ・常設展示では、ルノワール、セザンヌ、ピカソ、ゴーギャン、マティス、ユリトロなど、有名画家の名作が多数展示されている。
- ・常設展示と平行して、季節で展示が異なる企画展も開催されている
- ・展示フロアは地上階と地下2階の2フロアのみなので、所要1時間で隅々まで見学可能。
- ・混雑は比較的緩やか。予約は必須ではないが、予約をしておくと観光開始までスムーズ。
オランジュリー美術館の関連サイト
オランジュリー美術館 公式サイト(英語)オランジュリー美術館の観光情報や展示作品を確認できます。
公式チケットサイト(英語)オランジュリー美術館の公式チケット予約サイト。
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この記事への質問と回答一覧
7月1日に行ってきました。
今だけかもしれませんが、地下の展示室、他のアーティストの名前の展示室の一番奥の壁に、何とモネのルーアン大聖堂連作が3枚も展示されています。多分普段はオルセーにある物だと思います。大睡蓮目的で行かれる方も、ぜひお見逃しの無いように。
はじめまして。どの記事もとてもわかりやすく参考にさせていただいてます。
パリミュージアムパスを使用して、オランジュリー美術館に行きます。
公式より無料の時間枠の予約をしました。
その後に予約の日時変更は可能でしょうか?重ねての予約などは大丈夫なのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
オランジュリー美術館の予約で日時変更はできないので、別途で無料枠を再度予約する形になります。
この場合、予約が重複となりますが、入場に支障はありません。
ただし、その分だけ他の方の予約枠が減ってしまうので、あまりお勧めは致しかねる方法ではあります。