ルーブル美術館 レオナルド・ダ・ヴィンチ展の作品と見学ガイド
本記事では、2019年10月24日~2020年2月24日まで期間限定で開催されていた「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」の展示作品などを紹介しております。
レオナルド・ダ・ヴィンチ展とは
レオナルド・ダ・ヴィンチ展とは、彼の没後500年を記念して、パリのルーブル美術館で2019年10月24日~2020年2月24日まで間だけ期間限定で開催されていた、レオナルド・ダ・ヴィンチと彼に関連した作品を集めた企画展です。
ルーブル美術館が既に所有しているダ・ヴィンチ作品はもちろん、ロンドンのナショナルギャラリー、ロシアのエルミタージュ美術館、アラブのルーヴル・アブダビ美術館、バチカン美術館など、世界中の美術館が所蔵しているダ・ヴィンチ作品を同じ場所で鑑賞する事ができる夢の様な企画展です。
通常はルーブル美術館の常設展で見る事ができるダ・ヴィンチ作品の数点も、ダ・ヴィンチ展の中に展示されているため、期間中にダ・ヴィンチ作品を鑑賞したい場合は、ルーブル美術館の通常チケット予約ではなく、ダ・ヴィンチ展の企画展のチケット予約が必要となります。企画展のチケットがあれば、ダ・ヴィンチ展だけでなく、通常の展示(常設展)も含めた全てのゾーンを見学する事ができます。
ダ・ヴィンチ展の景観と展示作品
ダ・ヴィンチ展の展示エリアに入ると、絵画だけではなく、ダ・ヴィンチに関する資料、下絵や素描、レリーフ、彫像なども展示されています。
こちらは下絵というよりも、既に作品として仕上がっている感じです。ドラゴンの様な生き物が2匹描かれています。
この頭蓋骨の素描画は見た事がある方も多いのではないでしょうか。こちらも当然ダ・ヴィンチ直筆のオリジナルです。
ダ・ヴィンチ展では、ダ・ヴィンチの作品に混じって他の画家の作品も展示されています。下画像はイタリア画家「アレッソ・バルドヴィネッティ」の「聖母子(1464年)」という作品です。
こちらは、アンドレア・デル・ヴェロッキオ作「トビアスと天使(1470〜75年)」になります。
ダ・ヴィンチ展では、通常の美術館と同様に複数の展示スペースに分かれています。各展示スペースには上手く分散される形で、ダ・ヴィンチの有名作品が展示されています。以下よりダ・ヴィンチ展で展示されているダ・ヴィンチの作品をご紹介いたします。
ブノワの聖母
レオナルド・ダ・ヴィンチ作(1478年)ブノワの聖母は、通常ロシアのサンクトペテルブルク エルミタージュ美術館に展示されている作品です。
聖ヒエロニムス
レオナルド・ダ・ヴィンチ作(1480年)聖ヒエロニムスは、バチカン市国内 バチカン美術館所蔵の作品です。
音楽家の肖像
レオナルド・ダ・ヴィンチ作(1483〜90年)音楽家の肖像は、イタリア・ミラノのアンブロジアーナ図書館が所蔵しているダ・ヴィンチ作品です。ダ・ヴィンチには珍しく油彩画で男性を描いているのが特徴です。
ラ・ベル・フェロニエール
レオナルド・ダ・ヴィンチ作(1490〜97年)ラ・ベル・フェロニエールの肖像は、かつてはフランス王室の所蔵でしたが、現在はルーブル美術館の所蔵となっています。普段は常設展内で見る事ができますが、ダ・ヴィンチ展期間中は、ダ・ヴィンチ展内のみで鑑賞可能となっています。
岩窟の聖母
レオナルド・ダ・ヴィンチ作(1483〜1486年)ダ・ヴィンチが生涯に2つ描いた「岩窟の聖母」のうちの一つで、通常時はルーブル美術館の常設展示エリアで見学する事ができます。参考までに、もう一つの岩窟の聖母はロンドンのナショナル・ギャラリーが所蔵しています。
最後の晩餐
レオナルド・ダ・ヴィンチ作(1497〜1498年)こちらは残念ながら、レオナルドの弟子が手掛けた「最後の晩餐」模写作品になります。本物の最後の晩餐は、イタリア ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会に隣接する食堂の壁に描かれています。オリジナルは壁画なので、他の場所に持ち運ぶ事は今後も難しいと思います。本物を見たい方はイタリア ミラノの現地に足を運ぶほかありません。最後の晩餐のオリジナルの見学・予約方法に関しては、以下の別記事にて紹介しております。
糸車の聖母(ランズタウンの聖母)
レオナルド・ダ・ヴィンチ作(1499〜1507年)糸車の聖母は、アメリカの個人所蔵の作品で、別名ランズダウンの聖母とも呼ばれます。同作者による同じ構図の作品「バクルーの聖母」もダ・ヴィンチ展にて展示されていました。
通常時のバクルーの聖母はスコットランド国立美術館に展示されています。
ほつれ髪の女
レオナルド・ダ・ヴィンチ作(1500〜1510年)こちらは、イタリア パルマ国立美術館所蔵のダ・ヴィンチ作品「ほつれ髪の女」です。
洗礼者聖ヨハネ
レオナルド・ダ・ヴィンチ作(1513〜1516年)この「洗礼者聖ヨハネ」もルーブル所蔵で、ダ・ヴィンチの最晩年の作品になります。
聖アンナと聖母子
レオナルド・ダ・ヴィンチ作(1503〜1519年)「聖アンナと聖母子」はフィレンツェのサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会の祭壇に飾るために描かれた作品です。作品の所蔵はルーブル美術館になります。
1498年頃にダ・ヴィンチが描いたカルトンと呼ばれる下絵もダ・ヴィンチ展に展示されていました。
ドローイングという線画で描く絵画手法によって、木炭と白黒のチョークで描かれています。通常この下絵は、ロンドンのナショナルギャラリーに展示されています。
サルバトール・ムンディ(救世主)
レオナルド・ダ・ヴィンチ作(1505〜1515年)救世主は、ローブをまとい水晶を手に持つイエス・キリストの肖像画を描いた作品です。サルバトール・ムンディとはラテン語で「救世主」を意味しています。この作品の所蔵は、明らかになっていませんでしたが、2017年12月にアブダビの文化観光局が本作を所蔵している事が分かりました。
残念ながら今回ダ・ヴィンチ展に展示されていたのはオリジナルではなく、ダ・ヴィンチの弟子の模写作品のみでした。
本物は、2017年からルーブル・アブダビに展示される予定でしたが、展示は無期限で延期となっています。
以上が、ダ・ヴィンチ展で鑑賞できるレオナルド・ダ・ヴィンチの主要作品11点になります。既にお気づきかと思いますが「モナ・リザ」に関しては、ダ・ヴィンチ展内ではなく、通常どおりルーブル美術館の常設展示エリアに展示されています。ダ・ヴィンチ展見学後にゆっくりと見学ください。ただし混雑は必須です。
ダ・ヴィンチ展の見学後は「モナ・リザ」鑑賞
レオナルド・ダ・ヴィンチ展の見学エリアを順路に沿って見学した後は、入場時と同じ場所からダ・ヴィンチ展の外に出ます。再びナポレオンホールに戻ってくるので、後は時間が許す限りルーブル美術館の通常展示(常設展)を堪能してください。
本記事の途中でも触れましたが、ルーブル美術館所蔵のダ・ヴィンチ作品の中では「モナ・リザ」が唯一、通常の展示エリア内に展示されています。モナ・リザを鑑賞するにはナポレオンホールの南側(ダ・ヴィンチ展を出て左手側)に面する「DENON(ドゥノン翼)」から入場してください。チケットはダ・ヴィンチ展入場時に使用したチケットをドゥノン翼の入口で再び提示して入場します。
注意点としては、ダ・ヴィンチ展開催中のルーブル美術館の混雑は尋常ではないため、最混雑エリアの「DENON(ドゥノン翼)」は入場制限がかかっている場合があります。その際は、「RICHELIEU(リシュリュー翼)」か「SULLY(シュリー翼)」から入場の上で、展示エリア内から「DENON(ドゥノン翼)」を目指す形になります。そういった意味で、ダ・ヴィンチ展は朝一番で見学するのがお勧めです。
レオナルド・ダ・ヴィンチ展の入口と見学開始までの流れ
「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」を予約した方は、ガラスのピラミッド中央口に新規で設けられた「ダ・ヴィンチ展予約者専用の列」から入場する形になります。ルーブル入口付近でも、多くの方がこの事を知らずに大混乱を招いていました。
ガラスのピラミッド中央口をご存知ない方は、以下のルーブル美術館の各入口を記した地図を参考にしてください。ルーブル美術館には複数の入場口が存在しています。
そして、下の写真がピラミッド中央口にある「ダ・ヴィンチ展予約者専用」の入口になります。
レオナルド・ダ・ヴィンチ展予約者専用の入口は左右に2つあり、予約時間によって別れています。ダ・ヴィンチ展予約者の方は、ご自身の予約時間を確認の上、上画像の左右のいずれかの入口から入場する形になります。通常の入場予約者よりも、入場の優先度が高く非常にスムーズに入場する事ができます。
位置的には、ピラミッドに向かって一番左側に「通常チケット予約者」の入口、そのやや右側に「ダ・ヴィンチ展予約者」の入口、一番右側に「当日券購入者(予約なし)」の入口が並ぶ形になります。
また、各列の並び口には看板があるので、この看板を目印にすれば並び間違う事はないと思います。
向かって一番左側の緑の看板「Visitors with tickets for a specific time slot」と書かれているのが通常予約者、真ん中の「EXPOSITION LEONARD DE VINCI」と書かれているのがレオナルド・ダ・ヴィンチ展予約者、右側の「Visitors without tickets」と書かれているのが「当日券購入者(予約なし)」の並び口にある看板になります。ダ・ヴィンチ予約者の方は真ん中の「EXPOSITION LEONARD DE VINCI」の看板がある並び口から入場する様にしてください。
ダ・ヴィンチ展を予約した方の入口はこのガラスのピラミッド中央口だけになります。間違って左側の通常予約者の列や、ピラミッド中央口以外の入口に並ばない様にご注意ください。ダ・ヴィンチ展予約者の方はどの入り口よりも最優先の最短で入場する事ができます。
さて、ダ・ヴィンチ展予約者専用入り口からルーブル館内に入場すると、通常の入場者と変わらずルーブル美術館 地下2階の「ナポレオンホール」に出ます。
ナポレオンホールには、観光マップが貰えるインフォーメーションをはじめ、チケット売場や券売機、売店、クロークなどの施設が集まっている言わばルーブル美術館観光の起点となるホールです。
ダ・ヴィンチ展の見学開始口も、このナポレオンホール東側の「シュリー翼(SULLY)」の脇に設置されています。ダ・ヴィンチ展を予約済みの方は、この入口で予約書を提示の上で見学を開始してください。
ダ・ヴィンチ展の見学開始口から少し進んだ右手側で「ダ・ヴィンチ展のパンフレット(無料)」を入手する事ができます。
パンフレットは赤と紺色の2種類があり、赤が英語、紺色がフランス語での解説になります。残念ながら日本語のパンフレットはありません。
パンフレットを入手後、正面にオーディオガイドレンタルのカウンターが見えてきます。展示スペースの入口もこの先にあります。
オーディオガイドをレンタルする場合は、カウンターに向かって左手側に設置してある自動券売機(写真下)でチケット(5ユーロ)を購入してから、正面のカウンターでオーディオガイドを受け取る形になります。
注意点としては、ここでレンタルするオーディオガイドは「ダ・ヴィンチ展」のみの解説が収録されたオーディオガイドになります。しかも英語とフランス語のみの対応なので、日本人の方は基本的にスルーして良いと思います。奥の見学スペースに進んでください。
展示スペースへの入口は、正面のカウンターの右手側にあります。
所要時間と混雑具合
レオナルド・ダ・ヴィンチ展の見学所要時間は30分〜45分ぐらいが目安となります。
見学エリアは、ルーブル美術館全体からするとほんの一部なので、さっと歩いて回るだけなら30分以内でも見学可能だと思います。ただし、世界中に散らばっているダ・ヴィンチの作品を一箇所で見れる機会は非常に貴重です。どうせなら1時間ぐらいかけてゆっくりと鑑賞してください。
また、ダ・ヴィンチ展の見学は時間指定の予約制だけあって、混雑はそこまで激しくはありません。比較的ゆっくりと見学する事が可能です。むしろ通常の展示エリアのモナ・リザ周辺の方が圧倒的に混雑しています。
まとめ
ダ・ヴィンチ展開催中は、ダ・ヴィンチ展の見学を含む入場チケットを予約した方が、同じ料金で「常設展(普段の展示作品)」と「ダ・ヴィンチ展」の両方の展示作品を鑑賞する事ができるのでお得です。
「モナ・リザ」に関してはダ・ヴィンチ展内ではなく、常設展示エリアに通常どおり展示されています。そのため、モナ・リザさえ鑑賞できればダ・ヴィンチ展に興味なしという方もいるかも知れません。しかし、ダ・ヴィンチ展予約者は、通常の予約者よりも最優先の専用レーンから館内に入場する事できるため、とりあえず期間中はダ・ヴィンチ展の予約を行わない手はありません。
ダ・ヴィンチ展の予約を含む、ルーブル美術館の予約方法に関しては、以下の別記事にて詳しく解説しておりますので、良ければ参考にしてください。
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