サグラダファミリア 生誕・受難・栄光のファサード、内部、ステンドグラスを徹底解説
本記事では、サグラダファミリアのファサードや彫刻、ステンドグラスなどの見どころについて徹底解説致します。

サグラダファミリア観光は事前のチケット予約がお勧めです。チケットの予約方法については、以下の記事にて詳しく解説しております。
サグラダファミリアの全体像と完成イメージ
サグラダファミリアの見どころを詳しく解説する前に、まずはサグラダファミリア大聖堂の全体像についてご説明致します。サグラダファミリアを知る上で、全体像を把握していた方が、内容も理解しやすいと思います。
サグラダファミリアは、大きく3つのファサード「生誕のファサード」「受難のファサード」「栄光のファサード」と「18本の塔」で構成されています。
18本の塔は、大きく「イエスの塔」「マリアの塔」「複音史家の塔」「12使徒の塔」の4グループに分類する事ができます。まずは以下のサグラダファミリアの3つのファサードと18本の塔の配置図をご覧ください。12使徒の塔は、3つのファサードにそれぞれ4本づつ配置され、それ以外の6本の塔は全て聖堂の中央に配置されています。

各塔は、イエス・キリスト、聖母マリア、4人の複音史家、12使徒を表現しています。
① イエス、② マリア、③ 聖ルカ、④ 聖マルコ、⑤ 聖ヨハネ、⑥ 聖マタイ、⑦ マタイ、⑧ ユダ、⑨ シモン、⑩ ベルナベ、⑪ 小ヤコブ、⑫ バルトロマイ、⑬ トマス、⑭ フィリポ、⑮ 大ヤコブ、⑯ パウロ、⑰ ペトロ、⑱ アンデレ
2020年現在、18本の塔のうち完成しているのは、生誕のファサードと受難のファサードの8本のみになります。サグラダファミリアの完成は2026年を予定しておりますが、一般公開されているサグラダファミリアの完成動画にて、非常にリアルなサグラダファミリア完成イメージを視聴する事ができます。
2026年の完成に向けて順調に工事が進んでいた「サグラダファミリア」ですが、コロナ下で観光収入が減少し、完成の見通しが立たなくなりました。
サグラダファミリアの工事責任者は、明言こそ避けておりますが、2026年の完成は難しくなったと正式にコメントしております。
こちらはサグラダファミリアの生誕のファサードに展示されている完成模型です。

サグラダファミリアの完成イメージと全体像が見えたところで、次項より、サグラダファミリアの見どころについて、豊富な写真素材を交えながら詳しく解説していきます。
生誕のファサードの見どころ

生誕のファサードは、サグラダファミリア北東側のファサードです。1894年に建設が着工され、ガウディがこの世を去った7年後の1932年に、一部の彫刻を除いて工事が完了しました。
ガウディ本人が、細部に至るまで設計し、彼が完成に近い状態まで見る事ができた唯一の部分が、この生誕のファサードです。
このファサードは、主に4本の鐘楼(塔)と、聖家族に捧げられた3つの門「望徳の門」「愛徳の門」「信仰の門」で構成され、ファサード壁面の彫刻には。キリストの誕生から青年期までの成長が、喜びや生気に満ちたシーンで表現されています。
愛徳の門(慈悲の門)の彫刻
愛徳の門(翻訳によっては慈悲の門)は、生誕のファサードの中央に位置する最も大きな門で、イエス・キリストに捧げられています。

愛徳の門は、救世主イエスの誕生を祝福する彫刻群で飾られているのが特徴です。各彫刻では。イエスの誕生にまつわる様々なエピソードや、それに関連した登場人物たちが表現されています。

壁面は隙間がないほどの彫刻で埋め尽くされています。
①聖母マリアの戴冠
ガウディの友人の息子で彫刻家の「ジュアン・マタマラ」が手掛けた作品。神がマリアの献身的な愛に対して戴冠を行う姿が表現されています。向かって左がマリアの婚約者でイエスの養父の「聖ヨセフ」です。

②受胎告知
スペインの彫刻家「ジャウマ・ブスケッツ」が手掛けた作品。大天使ガブリエルがマリアに身ごもった事を伝える姿が表現されています。受胎告知はダヴィンチをはじめ多くの芸術家のモチーフにされています。

③楽器を弾く天使、④合唱する子どもたち
生誕のファサードの彫刻の多くは1936年のスペイン内戦で破損しましたが、日本の彫刻家「外尾悦郎」さんによって多くが修復されました。この2体も外尾さんが手掛けたものです。

⑤イエスの生誕
この彫刻「イエスの生誕」では、イエスの誕生に喜ぶ養父「ヨセフ」と、赤子のイエスを抱きかかえる「聖母マリア」の姿が表現されています。

⑥東方三賢人の礼拝
エルサレムでイエスが誕生した際に、東方で星を見た三賢人が、その星を追って、エルサレムの「ヘロデ王」を訪れるという聖書の一場面を表現しています。

⑦羊飼い達の礼拝
ベツレヘムの町の郊外で、夜通し羊の番をしていた羊飼いたちに、天使がキリストの誕生を告げた一場面を表現しています。

イエスを象徴するアナグラム

愛徳の門の上部にはイエス・キリストを象徴する文字「JHS」の彫刻が彫り込まれています。「JHS」は、JESUS HOMINUM SALVATOR(救いの人イエス)略称です。
希望の門の彫刻
生誕のファサードに向かって左側に位置する「希望の門」は、イエスの養父「ヨセフ」に捧げられた門です。ファサードを飾る彫刻では「聖家族のエジプト逃避」を始めとする聖家族の生涯の様々な場面が表現されています。参考までに聖家族とは、幼児イエス・聖母マリア・聖ヨセフの三人家族の事です。

①聖マリアとヨセフの婚姻式
イエスの母「マリア」と養父「ヨセフ」の婚姻式を表現した彫刻で、中央に立つのは司祭様です。

②聖アンナ、③イエスとヨセフ、④聖ヨアキム
この3グループの彫刻では、傷ついたハトを手に養父のヨセフに何かを訴えかける幼子イエスの姿を中心に、その姿を見守るイエスの祖母「アンナ」と祖父「ヨアキム」の姿が表現されています。

⑤聖家族のエジプト逃避
聖書では、ヨセフが夢の中で、ヘロデ王の嬰児虐殺を予言し、ヨセフ、イエス、マリアの聖家族はエジプトに難を逃れたとされています。この彫刻はその聖家族の逃避を表現したものです。

⑥ローマ兵による嬰児虐殺
ヘロデ王の命令による、ローマ兵の嬰児虐殺の場面を表現した彫刻。望遠の写真でも分かりにくいですが、ローマ兵の足の指は6本になっています。これはローマ兵の非人間性を強調するための表現です。

ロザリオと大工道具
こちらは希望の門にあるロザリオと大工道具の彫刻です。ガウディは、生誕のファサードの至る所に、聖なる物と日常品の彫刻を組み合わせて配置しています。

ヨセフを象徴するアナグラム
希望の門上部のヨセフを象徴するアナグラム彫刻では、ヨセフを象徴する、ブドウの房、ユリ、大工道具などが組み合わされています。

信仰の門の彫刻
生誕のファサードに向かって右側に位置する「信仰の門」は「聖母マリア」に捧げられた門です。ファサードを飾る彫刻では、イエスの幼少期から青年期、更に聖母マリアを主題にした場面が表現されています。

①シメオンに抱かれるイエス
救世主イエスが、司祭のシメオンの腕に抱かれる場面を表現した彫刻。

②洗礼者ヨハネ、③イエス、④聖ザカリヤ
説教を唱える中央の「イエス」と、その話に聞き入る従兄弟の「ヨハネ(左側)」、書物を片手に持つヨハネの父「聖ザカリヤ(右側)」の姿が表現されています。

⑤聖マリアのイザベル訪問
イエスを身ごもった聖マリアが、ヨハネを身ごもった従姉妹イザベルを訪ねるシーンが表現されています。

⑥ヨセフとマリア
聖地エルサレムにて、イエスが説教を唱える姿に感嘆するヨハネとマリアの姿が表現されています。

⑦大工のイエス
ガウディの親友でもあった彫刻家「ロレンソ・マタマラ」が手掛けた作品。イエスがイスラエルの都市ナザレに暮らしていた時に、大工である父ヨセフを手伝う姿が表現されています。

イエスの心臓
信仰の門の扉上部付近に飾られている「イエスの心臓」を表す彫刻は、写真ではわかりにくいですが、イバラに覆われ、棘(トゲ)が刺さり血が流れています。更にその血をハチが吸っているという非常に痛々しい作品です。

マリアを象徴するアナグラム
信仰の門上部のマリアを象徴するアナグラムでは、マリアの頭文字である「M」に、聖母を現す星が組み合わせれています。

3つのブロンズ扉
生誕のファサードの3つの門「望徳の門」「愛徳の門」「信仰の門」には、それぞれにテーマの異なる「ブロンズの扉」があります。これらの扉は全て日本人彫刻家「横尾氏」が手がけもので、各扉はそれぞれ「愛」「希望」「信仰」を象徴する植物の彫刻で飾られています。
ブロンズの扉(愛徳の門)
愛徳の門の扉は、愛を象徴する「ツタ」の彫刻で埋め尽くされています。日中は扉が空いているので気がつかないと思いますが、扉の赤みを帯びた部分は、ヨセフの「J」と、マリアの「M」を象っています。

何故ツタが愛の象徴かと言いますと「ツタは周りの植物によって支えられており、自然界で最も愛を表現している」という考えに基づいているそうです。

ツタの装飾部分を凝視してみると、チョウやテントウ虫、トンボやトカゲなど、随所に昆虫や生物の彫刻が彫り込まれているのが分かります。

ツタの葉の中には正にこれ以上にない愛の象徴「ハートマーク」があります。

ブロンズの門(希望の門)
希望の門を飾るブロンズ扉は、希望の象徴として、葦(アシ)と百合の花の彫刻で飾られています。

アシは、倒れても水に流されても、根から再生する性質を持っており、正に希望の象徴に相応しい植物です。
ブロンズの門(信仰の門)
信仰の門を飾るブロンズ扉は、信仰の象徴として「野バラ」の彫刻で飾られています。トゲのない野バラは、豊かで汚れない信仰心を表現しています。

生誕のファサード その他の彫刻群
ラッパの天使像

3つの門を隔てる2つ柱の上部には「ラッパの天使像」の彫刻が置かれています。この彫刻は挿絵画家の天使像をモデルにガウディ が製作したものです。天使がラッパを吹いて「イエス」の誕生を祝福する姿が表現されています。
カメの彫刻

ラッパの天使像が置かれている柱の基部では「カメの彫刻」が柱を支えています。カメの彫刻は海ガメ(画像上)と陸ガメの2つがあり、それぞれ変わらぬもの「不変」の象徴として置かれています。ガウディはサグラダファミリアの彫刻で一番最初にこの「カメの彫刻」を手がけました。そこには「神は急がない、我々もゆっくり休まず教会を造って行こう」というガウディのメッセージがこめられているそうです。
カメレオンの彫刻

生誕のファサードの両端には、体の色を自由自在に変化する「変化の象徴」として「カメレオンの彫刻」が飾られています。「不変」の象徴であるカメの彫刻とは、対をなしています。
雪の彫刻

生誕のファサードには、随所に雪を表現した彫刻も飾られています。これはイエスが生誕したクリスマスの季節を表現したものです。
受難のファサードの見どころ

1954年に工事が着工された「受難のファサード」は、サグラダファミリア南西側のファサードです。ガウディは、生誕のファサードを隙間のないほどの彫刻で埋め尽くしましたが、この受難のファサードの装飾は敢えてシンプルに抑え、イエスの最後の三日間の苦悩と苦しみを一層際立たせるデザインを考案しました。
ガウディは生前に、遺言書の様な手紙を残し「受難のファサードのスケッチを一点だけ描くので、それを参考に仕事を引き継いで欲しい」と記していたそうです。
そしてガウディの死後、受難のファサードは、ガウディのスケッチにかなり忠実なものに仕上がりました。
しかし、細部の彫刻に関しては、彫刻家「ジュゼップ・マリア・スビラックス」が、ガウディのスケッチを元に現代風にアレンジを加えました。スピラックスの作風は、ガウディが好んだ有機的で柔らかい作風とは、全く対照的な角ばった抽象的なものでした。そのため、当時はガウディの構想と違うなど、批判の声も多くありましたが、現在はその優れたデザイン性が高く評価されています。
これは余談ですが、スビラックスはサグラダファミリアの建設が中断されていた時に、建設継続中止を訴えた1人でした。そのため、受難のファサードの制作依頼が来た時は心底驚いたそうです。
受難のファサードの彫刻
受難のファサードの彫刻は、キリストの苦悩と悲しみがテーマとなっており、最後の晩餐からキリストの十字架磔刑までの場面が12の彫刻群で表現されています。更にその遙か上には復活を遂げた「キリストの昇天」の彫刻も飾られています。
彫刻家の「スビラックス」は、ガウディの意図を最大限に汲み取りながらも、細部の作風に関してはガウディに囚われず、角張った縦長のフォルムで人物を表現し、自身の作風で仕上げました。

① 最後の晩餐、② キリストの捕縛、③ ユダの裏切り、④ 鞭打ちの刑、⑤ ペテロの否認、⑥ この人を見よ(エッケ・ホモ )、⑦ ピラトの判決、⑧ 3人のマリアとキレネのシモン、⑨ 聖ベロニカと複音史家、⑩ 馬上のロンギヌス、⑪ 賭けに興じる兵士たち、⑫ 十字架磔刑、⑬ キリストの埋葬と降架、⑭ キリストの昇天
ガイドブックや解説によっては「③ ユダの裏切り」と「④ 鞭打ちの刑」、「⑥ この人を見よ」と「⑦ ピラトの裁判」をそれぞれ1組の彫刻に数えていたり、彫刻のタイトルもまちまちです。本記事では、受難のファサードにあった説明ボード(画像下)に準じて番号やタイトルをふっております。

それでは、①〜⑭の彫刻を順番にご紹介していきます。
① 最後の晩餐
キリストを語る上で最も有名な場面の一つである「最後の晩餐」が表現されています。最後の晩餐は、イエスが処刑前夜の晩餐で発した「この中に裏切り者がいる」というセリフに対して、弟子たちの動揺や反応を描いたものです。一番左側がイエスで、一番右側で不安そうな顔をしているのが「ユダ」です。

② キリストの捕縛、③ユダの裏切り(接吻)
左側の彫刻「キリストの捕縛」では、兵士たちに連行されそうになる「イエス」を弟子の一人「ペドロ」が阻止しようとし、その混乱の中で大司祭の息子「マルコ」の耳が切り落とされてしまう場面が表現されています。兵士の右手には切り落とされた「耳の彫刻」も置かれています。

右側の彫刻「ユダの裏切り(接吻)」では、ユダがイエスに接吻する事で兵士たちに、誰が「イエス」であるかを知らせる裏切りの場面が表現されています。右手側のユダの足元には裏切りを示す蛇の彫刻もあります。
また、イエスの左手側にある正方形の「魔法陣」と呼ばれるパネルでは、数字を縦横斜めどの方向で足しても、キリストが亡くなった年齢「33」になる様になっています。

④ 鞭打ちの刑
受難のファサードのエントラスを飾る高さ5メートルの彫刻「鞭打ちの刑」は、1987年に制作された作品です。イエスを縛る縄の彫刻のリアルさや、柱の土台部分にある鞭の彫刻など、「スビラックス」のこだわりが細部に渡り見える作品です。彫刻の素材には古代ローマで使用されていた「トラバーチン」という素材が使用されています。

この「鞭打ちの刑」のはるか上部には「十字架磔刑」と「キリストの昇天」の彫像も配置されています。この3つの彫像を同じ直線上に配置する事で、鞭打ち、磔刑、昇天の物語を縦軸で表現しています。
⑤ ペテロの否認
イエスの12使徒の一人「ペテロ」が、イエスの事を三度「知らない」と答えた場面を表現しています。3人の女性はペテロを問いただしているのではなく、ペトロが三度知らないと答えた「回数」の象徴として置かれています。臆病な自身の心とイエスに対する裏切りに苦悩するペトロの表情が非常にリアルです。

⑥ この人を見よ(エッケ・ホモ )、⑦ ピラトの判決
鞭を打たれてイバラの冠を被せられたイエスを罵倒し騒ぎ立てる群衆に向けて、ローマ帝国のユダヤ属州総督「ピラト」が「この人を見よ」という言葉を発した瞬間が表現されています。

その右側の彫刻「ピラトの判決」では、イエスに対する十字架刑の判決が、自分に責任がない事を示してピラトが手を洗う姿が表現されています。
⑧ 3人のマリアとキレネのシモン
イエスが、十字架を担いでゴルゴタの丘を登る途中に力尽きたため、変わりにその十字架を担いだとされるキレネの「シモン」と、イエスを助けたとされる3人のマリア「クレオファスのマリア」「聖母マリア」「マグダラのマリア」の姿が表現されています。

⑨ 聖ベロニカと複音史家
ゴルゴダの丘に向かう最中でイエスは再び力尽きて倒れてしまいます。この時、エルサレムの女性の一人「ベロニカ」が差し出した布(ベール)で、イエスが顔の血痕を拭うと、その布にイエスの顔が浮かび上がったという奇跡の場面が表現されています。中央の布を持つ女性の彫刻が「ベロニカ」で、一番左側は伝道者「複音史家」の彫刻になります。複音史家の顔は、作者の「スビラックス」がガウディに似せて造っています。

イエスの顔が浮かび上がった「布」は、キリストの聖遺物として、バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂に納められているという事になっています。
⑩ 馬上のロンギヌス
十字架に架けられたイエスの生死を確認するため、脇腹を槍で刺したとされる、ローマ帝国の百卒長「ロンギヌス」の馬上姿が表現されています。

ロンギヌスが使用した「槍」は、キリストの聖遺物としてバチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂に納められているという事になっています。
⑪ 賭けに興じる兵士たち
十字架に架けられたイエスの衣服を賭けてサイコロゲームに興じるローマ軍兵士たちの姿が表現されています。

⑫ 十字架磔刑
十字架に磔にされ命を落とした「イエス」の姿が表現されています。顔を手で覆うのが「⑧ 3人のマリアとキレネのシモン」の彫刻にも登場した「クレオファスのマリア」で、その下で膝をついてしゃがみ込んでいるのが「マクダラのマリア」です。一番左側の彫刻は「クレオファスのマリア」を慰めるイエスの使途の一人「ヨハネ」です。

イエスの左足付近には死を象徴する「骸骨」の彫刻も置かれています。ちなみに「ゴルゴダ」はアラム語でガイコツを意味する言葉です。また、イエスの像に腰巻きがないのは、かなり挑戦的な作風で、信仰心の強い人達がデモが起こすほど大きな反発がありました。
⑬ キリストの埋葬と降架(墓)
受難のファサードの最後を飾る彫刻がこの「キリストの埋葬と降架(墓)」で、キリストが埋葬される場面が表現されています。女性の上にある丸型の彫刻は、キリストの復活を暗示する「イースター・エッグ」と呼ばれるものです。イースター・エッグは、イエスの復活を祝う「イースター(復活祭)」のシンボルとされる鶏卵です。

作品の右側は、キリストを埋葬したと言われる「ニコデモ」の彫刻です。更に左側はイエスの遺体を引き取ったとされる「アリマタヤのヨセフ」です。
⑭ キリストの昇天
受難のファサードの遙か上部、4本の鐘塔のうち「バルトロマイ」と「トマス」の2本の塔を結ぶ橋の上に飾られている彫刻が「キリストの昇天」です。

重さ2トンもあるこの巨大像はキリストが復活し昇天した姿を表現しています。

福音の扉
受難のファサードには、生誕のファサード同様に3つのブロンズの扉「福音の扉(中央)」、「ゲッセマネの扉(左)」、「いばらの冠の扉(右)」があります。その中央を飾る「福音の扉」は3つの中で最も大きく、高さ6メートルを誇ります。扉の正面に置かれているのは、キリストの「鞭打ちの刑」の像です。

扉には、イエスの最後の2日間にまつわる福音書の物語がぎっしりと記されています。

栄光のファサードについて

3つのファサードの中で、唯一完成していないのがこの「栄光のファサード」です。このファサードでは、イエス・キリストの栄光と人類の永遠の生への道がテーマーになっています。
2020年現在、一般観光客の入場口となっている「生誕のファサード」はあくまでもサグラダファミリア側面側の入口で、正面のメイン入口はこちらの「栄光のファサード」になります。
将来的には、この栄光のファサードが最も規模の大きいファサードとなり、15本の柱と7つの扉が建設される予定です。他にも、火と水のモニュメントや、ファサード前の広いデッキ、入口と地上を結ぶ高さ5メートルの階段など、非常に壮大な構想となっています。
スペイン市民戦争で、ガウディが残した模型や資料は破壊されてしまいましたが、現在は残された作業メモなどを頼りに完成に向けて建設が進んでいます。
と思いたいですが、下の2015年撮影時と、上の2020年撮影時の写真を比べてみると、全く工事は進行していない様です。恐らくサグラダファミリアで一番最後に完成する部分になると思います。

聖堂内部とステンドグラス
最初に大聖堂に入ると、自然光で美しく輝くステンドグラスの数々に目をうばわれます。この聖堂内部は、ガウディが1922年に作成した設計図案に基づいて建設されており、自然界の森を表現しています。確かにまるで森に木漏れ日が指すかの様な幻想的な世界が広がっています。

大聖堂内部の総面積は4,500㎡、中央身廊と左右に2つづつの側廊を持つ5廊式で構成され、教会の形状は、十字の中心がやや上方にある「ラテン十字型」の形状をしています。ちなみに縦と横の長さが等しい形状の場合はギリシャ十字型と言います。
5つの身廊
初代設計主任であった「ビリャール」は、3廊式のラテン十字型の教会を構想していましたが、ガウディが設計主任になると、3廊式から5廊式に拡張した新たな設計を行いました。
中央身廊の幅は15メートル、床からヴォールト(アーチを平行に押し出した形状の天井)までの高さは教会の5つの身廊幅と同じ45メートルに設定されています。

側廊の上部には聖歌隊席が設けられています。

通常、聖歌隊席は、教会後陣の前方あたりに設けられる事が多いですが、サグラダファミリアでは信者との一体感を出すために、側廊側に聖歌隊席が設けているそうです。参考までに聖歌隊とは、礼拝やミサで賛美歌や聖歌を歌う合唱団の様なものです。
樹木の様な柱
ガウディは自然界の摂理に従った研究を行い、天井に近づくほど内側にカーブを描く「樹木の様な柱」を、自らが死去する2年前の1924年に考案しました。

先が枝分かれした柱は自然界にある木々の幹にインスピレーションを受けて設計されたものです。これはデザイン的な面だけでなく、天井の荷重を分散させるという機能的な役割も果たしています。

サグラダファミリアの聖堂は全部で36本の柱で支えられており、それぞれの柱が支える重さによって「斑岩」「玄武岩」「花崗岩」「モンジュイック産の石」の4つの素材を使用しています。各柱の配置や本数などは、聖堂内の説明ボード(画像下)で確認する事ができます。

最も太い柱は、ラテン十字の交差部分を支える4本の斑岩素材の柱で、直径は2.1メートルあります。

この4本の柱上部の交差部には楕円形の光源が飾られています。

これらは福音史家を象徴するテトラモルフォで、左から福音史家の「マルコ(獅子)」「マタイ(天使)」「ルカ(牡牛)」「ヨハネ(鷲)」を現しています。
翼廊
教会の縦の回廊(身廊)と交差して十字型を形成する横長の部分を翼廊と言います。翼廊の左右の端では「生誕のファサード」と「受難のファサード」の内側を見ることができます。

写真左側の「生誕のファサード」は全体的に丸みを帯びているのに対して、反対側の「受難のファサード」は全体的にパーツが角ばっているのが対照的です。
生誕のファサード側には、サグラダファミリアの創設者とも言える「ブカベリャ」が信仰する「ヨセフ」の像が、生誕のファサード側には「聖母マリア」の像が飾られています。

生誕のファサード側と受難のファサード側を結ぶ(東西を結ぶ)翼廊の長さは60メートルあり、生誕側のイエスの「誕生」から「死」、そして「復活」までの「イエス・キリストの道」を表現しています。下の聖堂内地図の黄色の部分が「キリストの道(翼廊)」です。

この翼廊の中央部分は教会内部で最も天井が高く、60メートルの高さがあります。そして、その真上にはサグラダファミリア最大の塔となる、高さ172.5メートルの「イエスの塔」が建設中です。上の図で言うと①の部分にあたります。
中央祭壇(聖壇)と後陣
続いて、教会の後陣部分、教会で最も重要な中心核となるのが中央祭壇(聖壇)です。

中央祭壇の上部には祭壇を覆う様に大きな天蓋が吊されています。この天蓋は、ガウディが以前にマヨルカ大聖堂の改修プロジェクトで制作した天涯が元になっています。

天蓋からは、高さ1.9mのキリストの磔刑像が吊されています。この像は実際の人のポーズを元にして形作られました。更にその真下には中央祭壇が置かれ、中央祭壇に向かって右下の白い綿の様な部分には、生まれたばかりの「キリスト」が横たわっています。

中央祭壇の右手側の通路から後陣に向かって歩いて行くと、祭壇側に「地下礼拝堂」が見える窓があります。

この礼拝堂には、初代建築主任「ビリャール」と、2代目建築主任「ガウディ」の遺体が眠っています。
地下礼拝堂は受難のファサード側、チケット売場の左手側に入口があります。地下礼拝堂の入口は有料エリアの外になるので、ミサ以外の時間は無料で入場する事ができます。
聖堂内の最奥部には、後陣の半円形の外周に沿って7つの小聖堂があります。これらは全て「聖ヨセフ」に捧げられた聖堂になります。

ステンドグラス
サグラダファミリア大聖堂内の神秘的な景観を造り出している源が色鮮やかに輝くステンドグラスです。


通常、教会のステンドグラスは、暖色系と寒色系が1つのステンドグラス内に混合していますが、サグラダファミリアでは、暖色と寒色のステンドグラスを明確に分けています。

また、ステンドグラスには宗教画を用いず、曲線と直線を中心とした抽象的なフォルムだけでデザインされています。

これらのステンドグラスは、バルセロナの画家でありガラス職人の「ジュアン・ビラ・イ・グラウ」が全て手がけました。

自然光がステンドグラスを通して床さえも美しく照らします。

ステンドグラスはサグラダファミリア大聖堂内の至る所に飾られています。
【生誕のファサードのステンドグラス】


回廊と聖具室
大聖堂内から受難のファサード側に出る手前には、「聖具室」へと続く長い回廊があります。この回廊の一部ではガウディが生前に作った作品や聖具などが通路に沿って展示されています。
展示が行われている回廊の入口は、受難のファサードのエレベーター乗り場を背にして、反対側の奥になります。

展示品をいくつか紹介します。まずこちらは地下礼拝堂用の「可動式説教壇」のレプリカで1943年に制作されました。説教壇とは聖職者が信者に向けて説教を行う壇上の事です。

こちらも1943年に制作されたレプリカで、地下礼拝堂のミサなどで使用される椅子と祈祷台になります。

この地下礼拝堂のキャンドルスタンドは、主にイースター(復活祭)の際に使用されていたそうです。

ガウディが「コロニア・グエル教会」用に制作した椅子も展示されています。

この椅子は、ガウディの支援者「グエル」運営の織物工場で使用されていた「鉄」と「木材」が材料になっており、背もたれは後年になってから追加されました。
回廊の奥は「聖具室」に繋がっています。聖具室内では、ガラス越しにガウディが制作した貴重な聖具を見学する事ができます。

恐らくこちらは、信者が神父に懺悔や告白をする「告解部屋」とその扉だと思われます。この告解部屋はガウディが1897年に制作したオリジナルで、スペインの市民戦争で一度は深刻なダメージを受けましたが、後年に修復されました。
下の写真はこの聖具室の外観になります。

聖堂内部 その他の見どころ
聖ゲオルギオスの彫像
大聖堂のメインエントランスとなる「栄光のファサード側(建設中)」の上部には、大聖堂を見渡すかの様に「聖ゲオルギオス(聖ジョルディ)の彫像」が飾られています。

聖ゲオルギオスは、竜殺しで有名なカタルーニャ地方の守護聖人です。この彫像は、受難のファサードを手がけた「スビラックス」の作品です。

栄光のファサードのブロンズ扉
上でご紹介した「聖ゲオルギオスの彫像」の真下あたりには、栄光のファサード完成後に取り付けられる「ブロンズの扉」が展示されています。

この扉には世界中のあらゆる言語が記述されており、中にはスラムダンクとバガボンドで有名な漫画家「井上雄彦」さんの文字「われらの父」も刻まれています。

鏡のテーブル
聖堂内、栄光のファサード側の「ブロンズ扉」前方付近には、いつも人だかりが出来ている「鏡のテーブル」があります。

鏡を覗き込むと、聖堂のヴォールト天井部分が綺麗に写し出されています。

この天井の景観自体は、わざわざ鏡越しに見なくても、上を見上げれば同じ景観が見えますが、自撮りする際に鏡を利用すると便利です。
螺旋階段
サグラダファミリアの大聖堂内には4か所の螺旋階段があります。下画像は聖堂の最奥部の後陣にある螺旋階段です。

観光客は利用できませんが、各螺旋階段は聖堂の聖歌隊席から側廊上部の通路、地下礼拝堂までを一つに結んでいます。

サグラダファミリア 18本の塔
上画像は、サグラダファミリア内に展示されている完成イメージのパネル写真で、生誕のファサード側からサグラダファミリアを見たアングルになっています。各塔の配置イメージを把握する上での参考にしてください。また、本記事の冒頭でご紹介した以下の塔の配置図も参考にしてください。

① イエス、② マリア、③ 聖ルカ、④ 聖マルコ、⑤ 聖ヨハネ、⑥ 聖マタイ、⑦ マタイ、⑧ ユダ、⑨ シモン、⑩ ベルナベ、⑪ 小ヤコブ、⑫ バルトロマイ、⑬ トマス、⑭ フィリポ、⑮ 大ヤコブ、⑯ パウロ、⑰ ペトロ、⑱ アンデレ
以下より各塔の概要を説明していきます。
イエスの塔(建設中)

サグラダファミリアの全ての中心であり、最も太く高い塔がこの「イエスの塔」です。残念ながら、ガウディが生前に残したイエスの塔に関する資料は、スペイン内戦で多くを紛失してしまったため、現在ガウディのわずかに残るスケッチを元にこの塔の建設が進んでいます。
完成すれば、高さは172.5メートルになり、ヨーロッパで最も高い宗教建築物となります。ガウディはイエスの塔の高さを定めるにあたり、バルセロナで最も高いモンジュイックの山よりも1mだけ低くしました。これは人間界の建造物が、神が造った自然界の高さを越えてはならないと言う考えに基づいています。
最終的には塔の最頂部には全長15メートルの十字架が置かれる予定です。現在、バルセロナではイエスの塔、つまりサグラダファミリアへの敬意として、172.5メートルの高さを超える建物を建てる事は禁止されています。
イエスの塔の建築工法について
イエスの塔の建設にあたり、大きな技術的問題をクリアする必要がありました。イエスの塔は、現在完成している聖堂の高さ80メートルの屋上に土台を築いて建設します。これは地上に土台を築いて建物を建設する事とは訳が違います。重い素材を使用すれば屋根から下の聖堂がくずれてしまい、重量を軽くして薄い素材を使用すると、地震や強風に耐える事ができなくなります。
この問題をクリアするため、サグラダファミリアの建設チームは世界中から石を集めて、強度や重量をテストしたそうです。最終的には、ステンレスの棒でたくさんの軽い石を密着させて塔の壁を組み上げる工法が採用されました。これにより、薄くて強固な壁を造る事が可能になりました。この工法の場合、壁を組み上げる際に1mmのズレも許されないそうです。気の遠くなる様な予算と作業が必要となるため、潤沢な予算があるサグラダファミリアだからこそ成し得る工法ではないでしょうか。
イエスの塔の内部装飾ついて
イエスの塔の内部装飾を任されているのが、日本人彫刻家「外尾悦郎」氏です。外尾氏は、塔内部の装飾を神の恵みである「水」「土」「空気」「光」、つまり森羅万象で表現しようと考えています。
横尾氏は当初、様々なオブジェクトで内部を飾る事で「森羅万象」を表現しようとしましたが、生前のガウディの資料からのヒントによって、森羅万象を「グラデーション」で表現する事を決めたそうです。
これは、自然界は天然のグラデーションで彩られており、常に自然をお手本にしたガウディなら、色の境目がないグラデーションで表現するだろうという考えに基づいています。また、境目のないグラデーションは、人間は貧富や身分による差はなく(境がなく)全て平等であるという想いもこめられています。正に神の前で全ての人間は平等であると説いた「イエス・キリスト」の塔に相応しいテーマーだと思います。
実際に「コロニアグエル教会」の地下から、新たに莫大なガウディの資料6000点が発見された際に、グラデーションに関する研究資料も多数見つかっています。
マリアの塔(建設中)

イエスの塔を後方で支える様に教会後陣にそびえるのが高さ130メートルの「マリアの塔」です。サグラファミリアの塔では、イエスの塔の次に太く、福音史家の塔に次ぐ高さを誇ります。最終的には塔の最頂部に「暁の星」とよばれる星型のオブジェクトが配置される予定です。
福音史家の塔(建設中)

「イエスの塔」を囲む様に建つ4本の福音史家の塔は、福音史家の4人「聖ルカ」「聖マルコ」「聖ヨハネ」「聖マタイ」を表しています。素材には光によって色合いが微妙に変化する軽量の「チタン」が使用されています。各塔の高さは等しく135メートルで統一され、サグラダファミリアの中では「イエスの塔」に次ぐ高さを誇ります。塔の最頂部には、福音史家の各人物を象徴するオブジェクトが配置されます。参考までに福音史家とは、新約聖書の福音書を書いたとされる4人の伝道者です。
2020年の訪問時には、福音史家の上部を飾る彫刻(画像下)が展示されていました。

それぞれ左から「マルコ(獅子)」「ヨハネ(鷲)」「ルカ(牡牛)」「マタイ(天使)」の塔を飾る予定です。
12使徒の塔(一部建設中)
生誕、受難、栄光のファサードに、それぞれ4本づつ配置されるのが「12使徒の塔」で、既に8本まで完成しています。各塔の高さは均等ではなく、最大のもので120メートル、低いもので98メートルに設計されています。
全ての12使徒の塔上部には「ピナクル」と呼ばれる高さ25メートルのシンボルが置かれています。先端の飾りは、ミトラと呼ばれる司教冠を象徴する黄金の十字架で、その下部は各使徒の頭文字のオブジェクトで飾られています。装飾素材には、ヴェネチアのムラーノ島産のガラスモザイクが使用されています。

鐘楼(塔)の模様の境目にはラテン語で「聖なるかな」を意味する「Sanctus」の文字が刻まれています。

生誕のファサードの鐘楼
生誕のファサード上部にある4本の鐘楼(塔)は既に完成済みで、キリストの12使徒のうち向かって左から「ベルナベ」「シモン」「ユダ」「マタイ」の名前が付けられています。

生誕のファサードの鐘楼(塔)の中央には、イトスギをモチーフにした「生命の樹」というオブジェクトが飾られています。このオブジェクトでは永遠の生命や天と地の結び付きを表現しています。

生命の樹の表面には、雪花石膏(せっかせっこう)で制作された21体の白いハトのオブジェクトが配置され、上部には、ギリシャ文字で神を表す「タウ」をかたどった赤い十字架が飾られています。
これにより、「神(タウ)」「イエス・キリスト(十字架)」「キリスト教(聖霊を表すハト)」の三位一体を表現しているそうです。
受難のファサードの鐘楼
受難のファサードも生誕のファサード同様、上部には12使徒を表す4本の鐘楼が建っています。

左からそれぞれ「小ヤコブ」「バルトロマイ」「トマス」「フィリポ」と名付けられています。塔と塔を結ぶ橋の部分には、キリストの復活を示す「キリストの昇天」の彫刻がおかれています。
栄光のファサードの鐘楼(建設中)

今現在、塔の影も形もないのがこの栄光のファサード側になります。下画像は博物館に展示されている栄光のファサードの模型になります。完成すれば12使徒のうち、左から「アンデレ」「ペトロ」「パウロ」に捧げる塔が建ちます。

ただし、ファサード正面に暮らす住民の立ち退き問題もあるため、サグラダファミリアの中では完成が最も遅くなる部分の一つだと思います。
本項で掲載している塔のアップ写真などは、塔に入場して登る事で撮影可能です。塔に登るには、サグラダファミリア大聖堂と塔の入場がセットになった「SAGRADA FAMÍLIA WITH TOWERS」というチケットの予約・購入が必要となります。塔の予約や登り方などについては、以下の別記事にて詳しく解説しております。
博物館
サグラダファミリアの全ての入場チケットには、博物館の入場が含まれております。博物館では、ガウディの生前のスケッチや写真、模型、関連資料などが展示されています。
博物館の入口は、サグラダファミリアの生誕ファサードと受難のファサード側の両方にありますが、受難のファサード側の入り口から入場するのが順路になっています。入口近くの「Museu」と書かれた看板が目印になります。

博物館に入場する際は、特にチケット確認などはありません。入場すると、ガウディのパネルが我々を迎えてくれます。

順路に沿って進むと、サグラダファミリアの歴史が写真とパネルで年代順に紹介されているエリアに出ます。

写真パネルの展示エリアを抜けると、サグラダファミリアの模型などが展示されているエリアに出ます。

塔の先端や装飾パーツの模型なども数多く展示されています。

このガウディがデザインした塔の鐘は、細長い管の形状をしているのが特徴的です。

模型の制作現場も、ガラス越しに見る事ができます。訪問タイミングによっては、実際に作業をしている姿を見ることができます。

右奥には現在建設中の「イエスの塔」や「福音史家の塔」の模型も見えます。栄光のファサードの建設に取り掛かるのは、これらの塔が完成してからになりそうですね。
その栄光のファサードの模型も展示されています。

受難のファサードの模型もあります。

こちらのガウディの顔模型は、受難のファサードの彫刻を手がけた「スビラックス」の作品です。受難のファサードの彫刻同様に、角張ったフォルムが特徴的です。

塔や壁面に使用されている装飾パーツの説明エリアもあります。ベンチもあるので休憩場所としてもお勧めです。

これは「逆さ吊り実験」と呼ばれるガウディの有名な実験技法を再現したものです。

この技法は、紐に重りをつけて逆さに吊るす事で、その形状が構造的に安定するかどうかを確認するために用いられました。
ガウディは、逆さ吊り実験で形造られたフォルムを撮影し、写真で逆さに見る事で、フレーム構造のデザインに役立てました。この実験で生み出される一つ一つのアーチは「フニクラ(カテナリーアーチ)」と呼ばれ、物理的学的に安定した構造である事が証明されています。
下画像は、ガウディが「コロニア・グエル教会」の建設の際に、実際に逆さ吊り実験を用いた時の写真です。ガウディはこの実験だけで十年の歳月を費やしました。

2010年11月、ローマ法王「ベネディクト16世」をサグラダファミリア大聖堂に招いた時の写真パネルも展示されていました。

この時のミサによって、サグラダファミリアは正式にキリスト教会に認定されました。
出口付近のパネルには、サグラダファミリアの歴代建築家の名前が年代順に並んでいます。

参考までに、ガウディがサグラダファミリアの2代目建築主任に就任したのは、1883年になります。
サグラダファミリアの建築の歴史については以下の別記事にて詳しく解説しております。
博物館を出ると、生誕のファサード側にあるギフトショップ付近に出ます。
ギフトショップのグッズ紹介
サグラダファミリアは生誕のファサードと受難のファサードの両方に出口がありますが、生誕側の出口は「ギフトショップ」を必ず通過する構造になっています。
以下より、おすすめのサグラダファミリアグッズをご紹介していきます。
まずはこちら、サグラダファミリアのステンドグラス模様をあしらったグッズ各種です。マグカップや食器、トートバックから眼鏡ケースまでそろっています。デザイン的にもおしゃれ雑貨という感じでお土産としても喜ばれそうです。

サグラダファミリア大聖堂や塔のイラストが入ったマグカップは、陶器からガラスまで、いろんな素材のタイプがあります。

サグラダファミリアやガウディの解説本も種類豊富です。日本語の解説本も多く、しっかりとした翻訳のものも結構あるのでお勧めです。

定番のポストカードもラインナップは豊富です。

鐘楼の先端部分を象ったオーナメントは70ユーロとかなり高額なグッズです。

ガウディお得意の破砕タイルのモザイク模様をあしらった商品も各種揃っています。

文房具からコースター、折り畳み傘、グエル公園のトカゲのオブジェクトまであるので、サグラダファミリアグッズというよりはガウディグッズに近い感じです。

中にはサグラダファミリアのイラストが入ったショールなども販売されています。メモ帳、ノート、マグカップは異なるデザインのものがギフトショップの至る所にあります。

サグラダファミリアの置物も、高級そうな素材からすぐに壊れそうなものまでバリエーション豊かです。

サグラダファミリアに限らず、バルセロナの観光スポットのショップでは扇子がかなりの確率でおかれていました。

棚の中の商品は、植物や昆虫、果物など、ガウディが装飾のテーマーとして扱っているものをあしらったグッズ各種です。