カサ・バトリョを徹底解説 行き方、見どころ、見学コース、所要時間など
本記事では、ガウディの傑作「カサ・バトリョ」の観光情報を徹底解説致します。館内の見どころはもちろん、行き方、所要時間、モデルルート、歴史など、カサ・バトリョを観光する上で役立つ情報が満載です。
カサ・バトリョとは - その歴史と現在
カサ・ミラと同じくグラシア通り沿いで異彩を放つのが、ガウディが手がけた「カサ・バトリョ」 です。ちなみに「カサ」は日本語で「家」や「住宅」という意味なので、カサ・バトリョは「バトリョ邸」という意味になります。
カサ・バトリョが誕生した20世期初頭、財を成したバルセロナのブルジョワジー達は、自身の財力誇示を目的に、豪華な邸宅を競う様に有名建築家に設計させていました。
中でも代表的な建築作品が、ガウディのライバルと言われた「モンタネール」が手がけた「カサ・リュオ・モレラ(リェオ モレラ邸)」や、モンタネールの弟子である「カダファルク」が手がけた「カサ・アマトリェー(アントニ・アマトリェール邸)」です。
この建築ムーブメントに乗って、他の富裕層たちに対抗心を燃やしたのが、繊維業を営む「ジュッゼップ・バトリョ 」という人物でした。
バトリョは、1903年に元々グラシア通り沿いにあった店舗兼住宅の建物を買い取ると、その翌年には、52歳でキャリアの絶頂にあった「ガウディ」と建築の契約を結びます。
当初、依頼主であるバトリョは、元の建物を完全に建て替える事を望んでいました。しかし、ガウディは建物の基礎を残した「改装工事」を提案します。
バトリョも最終的にはガウディの提案を受け入れ、1904年にカサ・バトリョの改装工事はスタートします。建築素材にはモンジュイックで採石された石や、地元ガラス業者の廃材なども用いられ、ガウディがそれまでのキャリアで培った技術や知識が遺憾なく発揮されました。
建物全体のデザインや設計は、ガウディが手掛けましたが、装飾に関しては弟子で若干27歳の「ジュジョール」が主に担当しました。
適材適所の分業制が功を奏したかは分かりませんが、改装工事開始からわずか2年後の1906年、「カサ・バトリョ」は完成を迎えます。
完成当時のカサ・バトリョは、地上階を「店舗」、メインフロアである2階は「バトリョ家の住居」、3階以上は「賃貸」として利用されました。
その後、1934年にバトリョ氏がこの世を去ると、1950年以降「カサ・バトリョ」の所有権は「バトリョ家」から離れ、様々な企業や個人の所有となります。
1990年代に入り、現在のカサ・バトリョのオーナー「ベルナット家(Bernat family)」が建物を所有すると、大々的な修復作業が行われます。1995年には一般公開が開始され、2005年にはユネスコの世界文化遺産に登録されました。
21世紀の現在、カサ・バトリョは年間100万人の来館者を誇るバルセロナ屈指の人気スポットとなっています。館内には、竜をイメージした「中央階段」をはじめ、自然光が美しく輝く「吹き抜け」、「中庭」「屋根裏」「屋上」など、見どころが満載です
カサ・バトリョの基本情報
本項では「営業時間」や「チケット料金」など、カサ・バトリョの基本情報をご紹介します。
営業時間
カサ・バトリョの営業時間は午前9時~20時00分、最終入場は19時15分になります。
上記の時間帯の中で365日間休みなしで営業しています。
また、一部の特別なチケットを購入すると、夜間や早朝の観光客が少ない時間に入場する事も可能です。
チケットの種類と料金
カサ・バトリョのチケットには、「ブルー」「ゴールド」「シルバー」の3つのランクがあり、ランクが高いチケットほど、特別な特典が付与されます。優先入場ができるのは「ゴールド」チケットだけとなります。
チケット料金はオンライン予約時の金額で記しております。現地窓口で購入する場合は、どのチケットも4ユーロ高くなります。€はユーロの通貨単位です。
BLUE - ブルーチケット
優先入場なし、最も安価なチケット。冬場のローシーズンなどは、このチケットでもほぼ並ばずに入場できる事が多いです。スマートフォン型のオーディオガイド(日本語)が付帯します。
【WEB予約時】- 35.00 €(一般)
- 32.00 €(65歳以上)
- 29.00 €(学生)
- 29.00 €(13〜17歳)
- 39.00 €(一般)
- 36.00 €(65歳以上)
- 33.00 €(学生)
- 33.00 €(13〜17歳)
SILVER - シルバーチケット
優先入場なし。BLUEチケットよりも見学可能なエリアが広く、「ガウディドーム」などにも入場できます。また、オーディオガイドとして最新のタブレット(日本語)が付帯します。
【WEB予約時】- 43.00 €(一般)
- 40.00 €(65歳以上)
- 37.00 €(学生)
- 37.00 €(13〜17歳)
- 47.00 €(一般)
- 44.00 €(65歳以上)
- 41.00 €(学生)
- 41.00 €(13〜17歳)
GOLD - ゴールドチケット
GOLDチケット専用のレーンから最優先で入場が可能。ほぼ並ぶ事はありません。「ブルー」や「シルバー」で見学できるエリアはもちろん、「エクスクルーシブラウンジ」や「住居スペースの一部」にも入場できます。
【WEB予約時】- 45.00 €(一般)
- 42.00 €(65歳以上)
- 39.00 €(学生)
- 39.00 €(13〜17歳)
- 49.00 €(一般)
- 46.00 €(65歳以上)
- 43.00 €(学生)
- 43.00 €(13〜17歳)
上記は、最もポピュラーで多くの方が購入するチケット「GENERAL VISIT」の概要と料金になります。「GENERAL VISIT」というチケットの中で、「ブルー」「シルバー」「ゴールド」の3ランクに分かれているイメージです。
チケットの種類や料金に関して、更に知りたい方は、以下の記事の「チケットの種類と料金」にて詳しく解説しておりますので参考にしてください。
チケットの予約・購入方法
カサ・バトリョのチケットは以下の何れかの方法で購入が可能です。
- 公式サイトで予約する(英語)
- GET YOUR GIDEで予約する(日本語)
- 現地のチケットオフィスで購入
上記のうち、①の「公式予約サイト(英語)」か、②の「GET YOUR GIDEのカサバトリョ予約ページ(日本語)」で、チケットをオンライン予約(購入)しておけば、現地でチケット購入する手間を省く事ができます。
カサ・バトリョのチケット予約・購入方法に関しては、以下の記事にて詳細に解説しております。
【参考記事】
カサ・バトリョのロケーションと行き方
「カサ・バトリョ」は、グラシア通りという大通りに面して建っています。サグラダファミリアからだと、徒歩と地下鉄で15分〜20分ほど、「カサ・ミラ」からなら徒歩5分ほどの場所に位置しています。
以下、カサ・バトリョへのアクセス方法をおすすめ順に記載致します。
【地下鉄でのアクセス】
カサ・ミラは地下鉄駅の目の前に位置しています。地下鉄2号線と3号線、4号線が走る「パセジ・ダ・グラシア駅(Passeig de Gràcia)」で降りて徒歩1分ほどです。
地下鉄出口とカサ・バトリョの位置関係は、以下の画像を参考にしてください。
「Passeig de Gràcia(パセチ・デ・グラシア駅)」には、出口が複数ありますが、どの出口から出ても、グラシア通り沿いに出ればすぐにわかると思います。グラシア通り(画像下)は、バルセロナ随一の目抜き通りです。
地下鉄の利用方法や路線図に関しては以下の記事を参考にしてください。
【徒歩でアクセス】
カサ・バトリョは出発地点によっては、徒歩でのアクセスもお勧めです。例えば、カタルーニャ広場周辺からであれば徒歩8分ほど、カサ・ミラからであれば徒歩5分ほどになります。
【タクシーでアクセス】
グエル公園やカサ・ビセンスなどのやや離れた場所からアクセスする場合や、手っ取り早く楽にアクセスしたい方には、タクシーの利用もお勧めです。バルセロナのタクシーは欧州でもかなりリーズナブルな方です。
バルセロナのタクシーは黒と黄色のツートンカラーが目印です。
料金は、曜日や時間帯によっても変動しますが、基本料金「2.2~2.3€」で、以後は1kmごとに「1.4~1.7€」づつ加算されます。
以下はあくまで目安ですが、主要スポットからカサ・バトリョまでの距離と、おおよその料金を記したものになります。タクシー利用時の参考にしてください。
出発場所 | 料金目安 | 距離の目安 |
---|---|---|
サグラダファミリア | 5〜10€ | 約2km |
カタルーニャ音楽堂 | 5〜10€ | 約2km |
カサ・ビセンス | 7〜12€ | 約2.5km |
サン・パウ病院 | 8.5〜13.5€ | 約3.5km |
グエル公園 | 10〜15€ | 約4.9km |
【バスでのアクセス】
バス路線 H10, V15, 7, 22 y 24などでアクセス可能です。
カサ・バトリョと各最寄り駅の位置関係は以下の地図を参考にしてください。赤い●が「カサ・バトリョ」のロケーションになります。
【最寄り駅】- ❶ 地下鉄 の「パセジ・ダ・グラシア駅(Passeig de Gràcia)
- ❷ RENFE の「パセジ・ダ・グラシア駅(Passeig de Gràcia station)
【RENFE近郊線でのアクセス】
RENFEの「パセジ・ダ・グラシア駅(Passeig de Gràcia station)」で降りて徒歩1分ほどです。
入口と入場の流れ
カサ・バトリョの入口(画像下)は、「グラシア通り」沿いにの正面ファサードにあります。
入口はこの一カ所だけなので、観光客は全員ここから入場する形になります。ただし、購入(予約)したチケットのランクによって、入口に到達するまでの入場レーンが分かれています。
向かって左から「ブルーチケットの列」「シルバーチケットの列」「当日券購入者の列」になります。
「GOLD(ゴールド)」のチケットを購入した方は「GOLD PRIORITY」と書かれた看板がある入場レーンから並ばずに入場できます。
正面の入口から館内に入場する際は、入り口の係員に予約書(チケット)を提示します。スマートフォン上で提示しても、プリントアウトしたものを提示しても問題ありません。
「カサ・バトリョ」館内に入場すると、まず「居住者用の階段」がある小エリアに出ます。
この際にかなり運がよければ、ガウディーに扮したガイド(写真下)に遭遇する事ができます。
ガイドツアーに参加すると、このガウディに扮したガイドと共に館内をツアー形式で見学する事ができます。子供連れの方にはお勧めの見学形式ですが、日本語のガイドツアーはありません。
さて、カサ・バトリョの館内に入って最初に目にするこの階段(画像下)は、見学の最後に降りてくる階段になります。
まずは順路に沿って、奥の大きな扉から「玄関ホール」に移動します。
奥の扉から玄関ホールに移動する際にチケットを提示すると、手前のカウンターで「スマートビジュアルガイド」を受け取る事ができます。「ブルー」「シルバー」「ゴールド」のどのチケットにも、スマートビジュアルガイドのレンタル料金が含まれています。
オーディオガイド について
見学前に配布される「オーディオガイド 」は、各見学スポットに割り振られた番号を押すと、日本語の音声解説でダイナミックな映像が流れます。
基本的に年齢を問わず簡単に操作できる仕様になっているので、操作方法は簡単です。
ビジュアルガイドの再生ポイントは全部で14ヶ所、トータルの再生時間は45分ほどです。
現在は、ゴールドとシルバーのチケットを購入(予約)した方には「最新のタブレット型のオーディオガイド」が、ブルーチケットの方には「スマートフォン型のオーディオガイド」が配布されます。
オーディオガイド(スマートフォン)
オーディオガイド(最新タブレット)
Image source: https://www.casabatllo.es/en/experience/
稀に間違えたランクのオーディオガイドを手渡される場合があるのでご注意ください。前回、ゴールドチケットにも関わらず、ブルーのオーディオガイドを渡されました。その場合はチケットを提示して「ゴールド」などと言えば、取り替えてくれます。
カサバトリョの見学コースと所要時間
本項では、カサ・バトリョの「見学コース」と「所要時間」について解説します。
王道の見学コース
カサ・バトリョには明確な見学順路があるので、その順路に沿って行けば、自ずと見どころを全て網羅できます。以下が最も一般的な館内の見学順路になります。
- ↓ 玄関ホールの中央階段
- ↓ 中央サロンとダイニングルーム
- ↓ 裏庭
- ↓ 吹き抜けと階段
- ↓ 屋根裏
- ↓屋上
2021年より上記の主要見学スポットに、「ガウディキューブ(全チケット入場可)」と「ガウディドーム(シルバーとゴールドチケットのみ入場可)」も追加されました。「ガウディキューブ」は、トルコ出身の空間デザイナーの「レフィーク・アナドール」がプロデュースした3分ほどのショーです。壁、天井、床がスクリーンとなり360度で映像と音楽が体感できます。また、「ガウディドーム」は、ドーム内で鑑賞できる3Dプロジェクションマッピングで、ガウディのインスピレーションの源である自然を旅する様に体感できます。
見学時に配られるオーディオガイドの再生ポイントは14箇所ほどありますが、上記6カ所の見学ポイントを巡って行けば、自然と網羅できると思います。館内は少しだけ小部屋が入り組んでますが、進行方向は限定されているので迷う事はないと思います。
基本は館内の至る所にある「VISIT」や見学番号が書かれた星型の案内板(画像下)に従って、1から順番に見学して行ってください。ちなみに各見学ポイントに割り振られている番号は、館内で配布されるスマートビジュアルガイドの再生番号になっています。
見学の所要時間
上でご紹介した見学コースを全て回る場合、観光所要時間の目安は、1時間〜1時間30分ほどになります。
観光時に配布されるオーディオガイドの再生時間が45分になるので、ガイドを聞きながらじっくりと観光したりギフトショップに立ち寄りたい方は、所要1時間30分は見ておいた方が良いと思います。
逆にオーディオガイドを使用しないで、さっと駆け足で観光される場合は所要30分〜45分ほどあれば十分だと思います。
ただし、カサ・バトリョの見学ポイントは、入場時に配布される「スマートビジュアルガイド」の映像を見ながら楽しむ事が前提となっている部分が強いです。
そのため、ビジュアルガイドを再生しないで駆け足見学をすると、カサ・バトリョ見学の魅力は半減します。音声解説を全て聞く必要はないと思いますが、音声映像だけでも各スポットで再生する事をお勧めします。是非時間に余裕を持ってゆっくりと見学ください。
カサ・バトリョ館内の見どころ
本項では、カサ・バトリョ入場後の見どころを見学順路に沿ってご紹介します。
玄関ホールの中央階段
オーディオビジュアルガイドを受け取った後、カサ・バトリョの最初の見どころは、ドラゴンの背骨をイメージしたと言われる「玄関ホールの中央階段」です。この階段は、バトリョ家専用のもので、それ以外の居住者達は、館内に入ってすぐの「居住者用の階段」を利用していました。
階段のデザインは一切の直線を廃し、手すりなどは人間工学に基づいて手に馴染みやすい様に設計されました。
階段横の壁面を注視して見ると、竜のウロコ模様になっているのが分かります。
壁面の模様部分は凹凸がある様に見えますが、全て手書きの平面です。
更に頭上に目を向けると、亀の甲羅をイメージした天窓があります。確かに意識して見ると、亀の甲羅に見えなくもないです。
中央サロンとダイニングルーム
順路に沿って、中央階段を登って行くと、主階のメインエントランス(画像下)に出ます。
右手側、階段の手すりには、海藻が巻きついたかの様な支柱オブジェクトが飾られています。残念ながら、こちらは複製品で、以前まではガラス玉に金属のリボンが巻きついたオリジナルが飾られていました。
主階のメインエントランスより先のエリアは、「バトリョ家」のプライベート空間となっており「中央サロン」や「ダイニングルーム」などがあります。
まず、メインエントランスから扉を一つくぐると、キノコ型の暖炉が特徴的な部屋に出ます。暖炉のくりぬかれたエリア内には、3人まで座れるベンチも完備されています。
カサ・バトリョの装飾は海をイメージした寒色系の部分が多いですが、このプライベートエリアの主階は、暖色系で統一されています。
部屋の窓や扉もガウディ自身がデザインしたもので、その場所にある扉や窓の開口部分にしか合わない一点ものとなっています。素材にはオーク材などが使用されています。
キノコ型の暖炉の部屋を奥に進むと、カサ・バトリョ最大の見どころである「中央サロン」に出ます。中央サロンは、広さ450m2ある主階の中で、最も広いエリアです。
かつて、このサロンには、たくさんのソファーが置かれ、バトリョ家の団らんの場として使用されていました。
中央サロンの空間はいくつかの扉で区切られていますが、見学中は全ての扉が開いているので非常に開放的です。扉上部の色あざやかなステンドグラスが目を引きます。
グラシア通りに面する壁側の大窓からは、柔らかな自然光が差し込みます。窓の素材にはクリスタルなどが使用されています。
柱、ステンドグラス、窓枠に至るまで、ガウディが自然界からインスピレーションを受けた曲線フォルムでデザインされています。窓の取手さえも曲線で造られています。
大窓上部のステンドグラスの装飾は一見単調に見えますが、目を凝らして見ると、詳細な渦巻きやウロコ模様が施されているのが分かります。
大窓から外を眺めると、グラシア通りを行き交う人や、カサ・バトリョの入場を待つ人達を見下ろす事ができます。
天井にも曲線が用いられ、まるでアンモナイトの化石の様です。
中央サロンを堪能したら、順路にそって建物奥に進み、ダイニングルームと裏庭を目指します。途中に細い通路やいくつかの小部屋を通過します。
ついつい見逃してしまいがちですが、凝ったデザインの階段やガウディデザインの椅子なども、さり気なく配置されています。
通路の窓越しには、吹き抜けの景観を望むことができます。
この吹き抜けは、順路に沿って行けば、後でじっくりと見学できるので、この時点ではスルーしてしまってOKです。そのまま最奥部に進んで行くと、中央サロンの丁度真逆側に位置する「ダイニングルーム」にでます。
ダイニングルームはテーブルなども取り除かれているので、特筆して何かがある場所ではありませんが、天井には「ミルククラウン」を象って逆さにした装飾オブジェクトが飾られています。ミルククラウンとは、液体を一滴落とすと、美しい王冠状の形を形成する現象の事です。
また、隣の部屋には、カサ・バトリョのミニチュアが展示されています。
このミニチュアをスマートビジュアルガイドを通して見ると、カサ・バトリョの内部構造を映像で見る事ができます。
ダイニングルーム見学に関しては、スマートビジュアルガイドの映像や、室内に展示されている当時のダイニングルームを撮影した写真(画像下)などを見ながら、かつてバトリョ家が食事をした様子を創造してください。
順路に沿って、ダイニングルームの奥の扉から「裏庭」に進みます。
裏庭
グラシア通りに面する正面ファサードの反対側に位置するのが、この「裏庭」になります。上写真の中央に見えるクリスマスツリーの様なオブジェクト装飾は、時期限定のものなので普段はありません。
裏庭に出て、後を振り返ると、カサ・バトリョの建物の裏側を見る事できます。
裏側ファサードの高さは23.5メートルほど。正面ファサードと比べると装飾的にやや地味に感じますが、うねる様なフォルムは正面ファサードよりも大胆になっています。また、建物の上部には、トレンカディス(粉砕タイル)の装飾がほどこされ、その上には花柄があしらわれています。
トレンカディス(粉砕タイル)の装飾オブジェクトは、裏庭の奥や入口付近にも飾られています。正面ファサードおよび、この裏庭のトレンカディス(粉砕タイル)は、ガウディのパートナーで弟子の「ジュジョール」が手がけました。
▼裏庭奥の粉砕タイル装飾
▼入口横の粉砕タイル装飾
裏庭の見学を終えたら、再びダイニングルームを通って少し通路を戻ります。「VISIT 9-14」の案内板のある所から「吹き抜け」のエリアに出ることができます。
吹き抜けと階段
ダイニングルームから「VISIT」の標識番号に従って見学して行くと、解放的な「吹き抜け」と「階段」があるエリアに出ます。
この階段は、地上階のメインエントランスから屋根裏のエリアまでを結んでおり、階段を降りて行けば、最初にオーディオガイドを受け取った場所まで戻る事ができます。ただし、階段を上って行くのが順路なので、吹き抜けを見学しながら「屋根裏」を目指します。
階段に面して広がる採光豊かな「吹き抜け」は海底をイメージしています。
吹き抜けの壁面には、光を反射する粘土製のタイルが15,000枚も貼られ、各階の明るさが均等になる様に、上階の藍色から下階の水色までグラデーションになっています。
吹き抜け最上部の壁面はかなり濃淡なブルーです。
タイルは下階に行くほど色が薄くなっていきますが、下階側から吹き抜けを見上げると、見事なぐらい同じ色に見えます。
吹き抜けの頂点には天窓が設けられ、自然光が十分に取り入れられる様になっています。
写真だと電灯で照らされていますが、晴れた日中などは自然光だけで十分な明るさがあります。吹き抜けの幅も下に行くほど広くなる様に設計されており、下階にも十分に光りを取り込む工夫が施されています。
吹き抜けと階段を隔てる柵部分のガラス窓には、不規則な表面をした特殊な型ガラスが使用されています。
この型ガラスから壁面をのぞき込むと、揺らぐ海中の様に見えます。
屋根裏
吹き抜けの階段を登り切ると、「屋根裏」に到着します。
屋根裏は、ガウディが元々あった建物をカサ・バトリョとして改装する際に増築した部分の一つで、竜の胸壁をイメージしています。
フロア全体は約60本ほどのカテナリーアーチ(放物線アーチ)の柱によって支えられ、素材には漆喰を塗ったカタルーニャ式レンガが使用されています。
また、壁面に無数の穴をあける事で採光や換気機能をもたらしつつも、外部の暑さや寒さを遮って温度を一定に保つ様に設計されています。そのため、洗濯場(画像下)、収納庫、貯水庫としての機能を備えたスペースとなっています。
当時はこの場所で洗濯が行われ、一つ上の屋上に洗濯物を干すという流れでした。
屋根裏の見学を終えたら、階段を上って「屋上」に移動します。
屋上
カサ・バトリョ見学のハイライトとなるのが、「屋上」の見学です。
カサ・バトリョが制作された20世紀初頭は、屋上にデザイン性の高い装飾を施すという事はほとんどありませんでした。この屋上にもガウディの個性が惜しみなく発揮されており、カラフルな煙突や換気塔が並んでいます。
キノコ型が特徴的な煙突の素材には、セラミックやガラス片がふんだんに使用され、トレンカディス(粉砕タイル)の装飾がほどこされています。煙突の装飾は、ガウディがその色彩能力を高く評価していた弟子の「ジュジョール」が手がけました。
ドラゴンの背中を連想させる装飾も見事です。右側の球根型のオブジェクトの素材にはマジョルカ産のセラミックが使用されています。
キノコ型の煙突は屋上の至る所に配置され、エレベーターも置かれています。
参考までに、屋上からの景観はイマイチです。装飾を中心に楽しんでください。
屋上一角の小部屋には、近代的なアートオブジェクトも展示されています。ちょっと意図は不明でした。
屋上の見学を終えたら、再び階段を降りて「屋根裏」に移動します。
館内 その他の見どころ
屋上の見学後、再び屋根裏に戻って帰路の順路に沿っていくと「カサ・バトリョの模型」や「ホログラム映像」有料の写真撮影スポット」などがあるので、時間のある方は是非楽しんで行ってください。
カサ・バトリョの模型
模型自体はさほど特徴はありませんが、屋根裏の構造マップもあるので、興味のある方はじっくり見学ください。
ホログラム映像
カサ・バトリョに関連したホログラム映像が見学できるコーナーもあります。結構凝っているので面白いです。
有料の写真撮影
屋根裏のホログラム映像コーナーの近くには、有料の写真撮影コーナーがあります。
確か料金は10ユーロほどだったと思います。カサ・バトリョの特徴の一つである色鮮やかな壁面をバックにかなり映える写真を撮影してもらえるので、結構お勧めです。過去にここで記念撮影された方の写真サンプルも展示されています。
以前に購入した際は、撮影から現像までわずか数分だったと思います。写真は撮影場所の近くにあるカウンターで受け取る事ができます。
以上で、カサ・バトリョ館内の主な見どころは終了です。帰りの順路に沿って「吹き抜け」の階段を下っていきます。
階段を降りる際に、ガウディがデザインした住居やエレベータ-の扉も忘れずにチェックしてください。
また、ギフトショップも階段の途中で通過します。ギフトショップの商品に関しては次項で少しだけご紹介します。
ギフトショップ
吹き抜けの階段から、ギフトショップの案内に沿って扉を抜けると、ガウディがデザインしたお洒落なチェアーが迎えてくれます。
グエル公園では実際にガウディデザインの椅子が販売されていましたが、こちらは非売品です。この右手側がギフトショップの入口になっています。
ギフトショップは、そこまで広くありませんが、お洒落なレイアウトでたくさんの商品が販売されています。
まずは、お土産の定番である「マグカップ」や「タンブラー」「マグネット」などからご紹介します。
書籍類も豊富なラインナップが揃っています。
書籍は、カサ・バトリョやガウディ関連が中心で、以前まであった日本語訳のカサ・バトリョの解説本が無くなっていました。きっとあまり売れないんでしょうね。
なんと、キティちゃんとカサ・バトリョのコラボレーションアイテムが販売されていました。これはかなりレアですね。
残念ながら、こちらはクリスマスのサプライズグッズと記載されているので、期間限定の販売だと思います。
別のコーナーにもキティちゃんとのコラボアイテムがありました。こちらは期間限定ではなさそうです。
棚の下段にあるのは、左から「メガネケース」「ノート関連」「Tシャツ」になります。カサ・バトリョの手すりを持っていたり、ファサードの横に立つキティちゃんがシュールで斬新です。これはレアなお土産として喜ばれそうですね。他の場所にも絶対に売っていない商品です。
バラマキにお勧めのマグネットや、マグカップ、スマホケースもあります。
人形も見えますが、特にカサ・バトリョとのコラボ要素はなく、どこでも購入できそうです。
本記事でご紹介するギフトショップの商品は以上です。他にも、色あざやかな粉砕タイル柄のマグカップやTシャツ、煙突型の置物、トラベルセット、電気スタンドカバー、ポストカード、トートバック、エプロンなど、非常に幅広いアイテムが販売されています。ギフトショップは、見ているだけでも非常に楽しめるので、是非足を運んでみてください。
プライベートレジデンス
ゴールドチケットには「プライベートレジデンス」への入場特典が付帯しています。
プライベートレジデンスの入口は非常にわかりにくいですが、ギフトショップの入口の対面側にあります。ギフトショップの前に展示されている木製チェアーを正面にして左手側が入口です。
プライベートレジデンスは、20世紀初期の家具で彩られ、当時の様子が再現されています。入口には係員がいるのでチケットを提示して入場ください。
ゴールドチケットの方は入場に加えて、当時の衣装に着替えて撮影が可能です。男性用と女性用の衣装があるので、カップルの方には良い記念になると思います。せっかくなら是非撮影を楽しんでください。写真はその場で現像して受け取る事ができます。
正面ファサードとモデルニスモ建築
カサ・バトリョは19世紀に建てられた建物をリフォームしたものですが、基礎部分以外はほぼ全て改装されました。この正面ファサードに関しても、窓の位置やフォルムは維持されましたが、それ以外は全て改装されました。
ファサードの全景もご覧ください。
写真だと分かりにくいですが、カサ・バトリョは隣接する建物よりも約10メートルほど高く設計されています。
ガウディは隣接する建物との視覚的な調和を重視し、他の建物に圧迫感を与えない様に屋根に急な勾配を設けました。さらに、先端を丸いフォルムで仕上げる事で、視覚的に連続性がある様に見せ、周囲の建物に違和感なく溶け込ませています。
夜になるとファサードはライトアップされ、日中とはひと味違った景観を楽しむ事ができます。
続いて、ファサードの細部について見ていきます。最下部はモンジュイックの石を素材とし、骨やマスクの様なフォルムが表現されました。
カサ・バトリョはこの部分の柱が骨に見える事や、フォルムがあくびをした口に見える事などから「骨の家」や「あくびの家」などとも呼ばれます。
中央部分には、青を基調とした色彩豊かなセラミックタイルがモザイク状に敷詰められ、光の加減を調整するため、表面には凹凸が施されています。これにより光は美しく反射し、天候や時間帯によって色合いが変化します。
素材のガラスに関しては、地元の業者から不要なものを譲り受けて使用しました。マスクやドクロとも見えるバルコニーの手すりは1枚の鉄で造られています。
そして、最上部の屋根はタイルをふんだんに使用し、まるで竜のウロコの様なフォルムに仕上げられました。絶妙に変化するグラデーションが見事です。左手側の塔の上部には東西南北を指す十字架が飾られています。
カサ・バトリョは、この屋根をはじめとする様々な装飾要素から「聖ゲオルギオス」の竜退治伝説をモチーフにしていると言われています。聖ゲオルギオスは竜を剣で退治し、王女と人々を救ったとされるカタルーニャの守護聖人です。ちなみに、サクラダファミリアの聖堂内にも「聖ゲオルギオス」の像が飾られています。
伝説に基づいて解釈すると、屋根のデザインはドラゴンに埋め込まれた剣を象徴し、骨の形をした柱は犠牲者を現しています。
近隣のモデルニスモ建築見学もおすすめ
冒頭の「カサ・バトリョとは - その歴史と現在」の中でも触れましたが、カサ・バトリョの左隣に建つ三角屋根の邸宅は、カサ・バトリョより数年前の1898年~1900年に建設された「カサ・アマトリェー」です。
建築はカタルーニャ音楽堂を手がけた「モンタネール」の弟子である「ジュゼップ・プッチ・イ・カダファルク」が手がけました。ガウディはカサ・バトリョを設計するにあたり、この邸宅をかなり意識して影響を受けたと言われています。
さらに、カサ・バトリョからわずか数十メートルほどの同じ区画内には、モンタネールが手がけた「カサ・リュオ・モレラ」と言う邸宅もあります。
バトリョ氏はこれらの邸宅に対抗心を燃やして、ガウディに「カサ・バトリョ」の建築を依頼したと言っても過言ではありません。
この2つの建物は、モデルニスモ建築を代表する作品なので、カサ・バトリョ訪問時は外観だけでも見学してみてください。
参考までに、モデルニスモ建築とは、19世紀末から20世紀初頭にカタルーニャ地方で流行した、フランスのアールヌーヴォー様式の流れを汲む、スペイン特有の建築様式です。単に「モデルニスモ」という場合は、建築だけでなく芸術全体をさします。
カサ・バトリョに関する関連・参考サイト
カサ・バトリョ公式ページ(英語)カサ・バトリョの観光情報や歴史はもちろん、チケット予約なども行う事ができます。
カサ・バトリョ facebookカサ・バトリョの公式facebookページになります。言語はスペイン語になりますが、動画や写真などが豊富に掲載されています。
カサ・バトリョ instagramカサ・バトリョの公式インスタグラムならではの美しい写真が満載です。
この記事をシェアする