ピカソ美術館を徹底解説 – チケット料金、行き方、作品、所要時間など【バルセロナ】
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バルセロナ本記事では、バルセロナ中心部に位置する「ピカソ美術館」のチケット料金や行き方、営業時間などの基本情報はもちろん、展示作品から館内マップまで幅広く解説致します。

ピカソ美術館は、ピカソの幼少期から学生時代、更に青の時代と呼ばれる時期までの作品がメインに展示されている美術館です。
館内には、ピカソが15歳の時に手がけた「初聖体拝領」や、その翌年に描いた「科学と慈愛」など、ピカソ生誕の地「スペイン」ならではの貴重な作品が数多く展示されています。
常設展と企画展について
ピカソ美術館には大きく2種類の見学エリアがあります。一つは基本的に展示内容が変わらない「常設展示」、もう一つは季節によって展示内容が変わる「企画展示」の2種類です。ピカソ美術館の見学のメインは「常設展示」になりますので、余程特殊な目的がある方以外は常設展は必ず見学するようにしてください。というか常設展を見学しないとピカソ美術館に来た意味がなくなってしまいます。
ただし、企画展では通常は別の国の美術館に展示されているピカソ作品が期間限定で鑑賞できます。有名作品が展示されている場合もあるので、そういった機会を見逃したくない方は展示内容を事前にチェックする様にしてください。
参考までに私の2020年訪問時は「徳島県立近代美術館」が所蔵するピカソ作品「ドラ・マールの肖像(画像下)」などが企画展にて展示されていました。

ピカソ美術館の基本情報
営業時間・休館日・その他
営業時間 |
※ 最終入場は営業時間の30分前までになります。 |
---|---|
休館日 | 1月1日、5月1日、6月24日、12月25日 |
公式サイト | http://www.museupicasso.bcn.cat/en |
チケットの料金と種類
ピカソ美術館には、常設展示(Collection)と、常設展示+企画展(Collection + Temporary exhibitions)に入場できるチケットがありますが、共に一般の入場料金は12€です。どうせなら、常設展と企画展がセットになったチケットを購入した方がお得です。
常設展示 / 常設展示 + 企画展
- ・12ユーロ(一般大人)
- ・7ユーロ(25歳未満、65歳以上の方)
企画展のみ
- ・6.5ユーロ(一般大人)
- ・4.5ユーロ(25歳未満、65歳以上の方)
ピカソ美術館の無料入場
ピカソ美術館は、毎週木曜日と毎月第1日曜日の18時~21時30分に無料入場日を設けております。この時間内であれば、チケット購入なしで無料で入場する事ができます。
更に、2月12日、9月17日、24日の3日間は終日無料入場が可能です。
ただし、無料入場の日時は非常に混雑するのでご注意ください。
オーディオガイドについて
ピカソ美術館では、日本語を含む、全10ヶ国語に対応した「オーディオガイド」を7€でレンタルする事ができます。オーディオガイドはオンライン予約でも当日に現地でレンタルする事も可能です。
オーディオガイドのレンタルカウンターは、クロークルームと同じ建物内にあります。まずは以下の地図にて位置をご確認ください。

下写真の手前のカウンターがオーディオガイドの受け取りカウンターになります。オンライン予約時にオーディオガイドも予約した方は、印刷したPDFファイルのチケットを提示して「ジャパニーズ」と言えばレンタルできます。

コインロッカーについて
ピカソ美術館にはコインロッカーも完備されています。ロッカーを利用するには1€硬貨、もしくは50セント硬貨が2枚必要となります。紙幣は使用できませんので、リュックなどを持ち込む予定の方は、硬貨を準備の上で、ピカソ美術館を訪問ください。コインロッカーの場所は上のオーディオガイドの項内掲載の地図でご確認ください。
トイレについて
館内には、男女兼用のトイレが1カ所、男女別のトイレがそれぞれ1カ所づつあります。ただし、トイレがあるのは地上階のみで、見学エリアとなる2階にはありませんのでご注意ください。
入場チケットの予約・購入方法
ピカソ美術館のチケットは以下の何れかの方法で予約・購入が可能です。
- ① ピカソ美術館の公式サイトで事前予約する
- ② 当日にチケットオフィスで購入する
ピカソ美術館は、ピカソの世界的な知名度の高さもあり、美術館の規模の割には、中々の人気スポットとなっています。必須ではないと思いますが、確実に入場したい方は予約がお勧めです。事前に「ピカソ美術館の公式サイト(英語)」で、チケット予約さえしておけば、当日にチケットオフィスに立ち寄る手間と時間を節約できます。また、当日にチケット完売という事態も回避できます。
私が訪問した際も、冬場のローシーズンにも関わらず、正午頃には既に当日のチケットが完売し、チケットオフィスはクローズとなっておりました。下の画像はチケットオフィスがクローズして「Tickets sold out(チケット売り切れ)」の看板が出ている時の様子です。

ロケーションと行き方
ピカソ美術館は、バルセロナの中でも古き良き町並みが残るゴシック地区(旧市街)と呼ばれるエリアに位置しています。
徒歩圏内には「カテドラル」「グエル邸」「カタルーニャ音楽堂」「コロンブスの塔」などの人気観光スポットがあります。まずは以下のグーグルマップで、ピカソ美術館周辺の位置関係を把握ください。赤い印のついた場所が「ピカソ美術館」になります。
ピカソ美術館への行き方
バルセロナ市内からピカソ美術館へのアクセスは「地下鉄」の「L4線」を利用するのが一般的です。地下鉄L4線の「Jaume I」駅で降りて、ピカソ美術館の入口までは徒歩3分(270m)ほどです。
地下鉄L4線の路線図は以下を参考にしてください。地下鉄の乗り換えの起点として利用頻度の高い「Passeig de Gràcia(パセチ・デ・グラシア駅)」から、わずか2駅目です。
地下鉄 L4線の路線図
- TrinitatNova(トリニタット・ノヴァ)
- ViaJúlia(ヴィラ・ジュリア)
- Llucmajor(リュクマジョル)
- Maragall(マラガユ)
- Guinardó/Hospitalde SantPau(ギナルド/オスピタル・デ・サント・パウ)
- Alfons X(アルフォンス)
- Joanic(ジョアニック)
- Verdaguer(ヴェルダゲル)
- Girona(ジロナ)
- Passeig de Gràcia(パセチ・デ・グラシア)
- Urquinaona(ウルキナオナ)
- Jaume I(ジャウマI)
- Barceloneta(バルセロネタ)
- Ciutadella Vila Olímpica(シウタデリャ/ヴィラ・オリンピカ)
- Bogatell(ボガテユ)
- Llacuna(リャクーナ)
- Poblenou(ポブレノウ)
- Selva del Mar(TMB)(セルヴァ・デ・マル)
- El Maresme/Fòrum(エル・マレスメ/フォルム)
- Besòs Mar(ベソス・マル)
- Besòs(ベソス)
- La Pau(ラ・パウ)
入口と入場の流れ
バルセロナの観光地の中でも、ピカソ美術館の入口は非常にわかりにくいです。入口は「ムンカダ通り(画像下)」という細い路地に面しています。

このムンカダ通りに面して、入り口の様な場所が4つあります。まずは以下のピカソ美術館の入り口付近にあるマップをご覧ください。

ピカソ美術館の建物に沿って、入り口の様な扉が4か所ありますが、一般の方は、建物に向かって左から3番目の扉「入口①」から入場します。入口の扉の左手側にある「Entradas Tickets ↑ 」という看板が目印です。

ただし、朝一番で訪問する場合、予約者の方が一般入場の混雑に巻き込まれない様に、係員の案内によって、団体・グループ用専用の入口である「入口②」から優先的に入場させてくれる事があります。

入場のルールは、頻繁に変わるので、当日の係員の案内に従ってください。通常は「入口①」から入場するのが基本です。
一般入場の方(当日券購入者の方)は、「入口①」から入場して、その左手のチケットオフィス(画像下)でチケットを購入してから、各見学エリアの入口に向かってください。

ピカソ美術館の敷地内に入場後、チケット予約者の方は予約時にダウンロードしたチケットを、当日券を購入された方は入場チケットを準備の上、企画展か常設展のいずれかの入口より入場して見学をスタートします。企画展と常設展は入口が異なりますので、以下の地図にて入口をご確認ください。

常設展のみの入場チケットを購入された方以外は「企画展」の入口から入場するのが順路になっています。ほとんどの方も「企画展」の入口(画像下)から入場して見学をスタートしていきます。

入口には係員がいるので、予約者の方は予約後に入手したチケットを、それ以外の方は当日に購入したチケットを係員に提示の上、奥の階段から見学エリアに入場します。後は、順路にそって絵画を鑑賞していくだけです。
企画展と常設展の展示エリアは館内でつながっているので、「常設展エリアへの案内板(画像下)」に沿って行けば、そのままの流れで常設展も見学する事ができます。

ピカソ美術館 おすすめ作品
ピカソ美術館 常設展の展示室は約20ほどあり、順路に沿って見学していくと、1890年のピカソの学生時代の作品から晩年までを見学できる様になっています。本項では、年を通してほぼ展示内容が変わらない「常設展」に展示されている、おすすめ鑑賞作品を年代別にご紹介致します。
1892~1899年 - 学生時代
ピカソの絵の才能に気がついた父は、ピカソを美術学校に入学させました。この時代のピカソは、大きな個性こそありませんが、非凡な才能が垣間見える優れた作品を残しています。
山の風景(マラガ 1896年)

父の肖像(1896年)

初聖体拝領(バルセロナ 1896年)

自画像(バルセロナ 1896年)

科学と慈愛(バルセロナ 1897年)

1899~1900年 - バルセロナの前衛運動~最初のパリ訪問記ー
19世紀末のバルセロナでは、カタルーニャ社会の伝統的な価値から脱する「モデルニスモ」と呼ばれる芸術運動が流行していました。ピカソもこのモデルニスモに強い影響を受け、学生時代の作風に見られた様な写実的な描写は影をひそめていきました。この時代のピカソは、バルや売春宿など、ナイトライフをテーマとした作品を多く残しています。さらに、初のパリ訪問を通して、次々と新たな作品テーマを見出していきました。
かつらをつけた自画像(バルセロナ 1900年)

マルゴット- 待ち合わせ(1901年)

ラ・ナナ(パリ 1901年)

抱擁(パリ 1900年)

静物画(パリ 1901年)

見本市会場 - Fairground Stall(パリ 1900年)

1901~1906年 - 青の時代とバラ色の時代
1901~1904年は、ピカソの親友「カルラス・カサジェマス」を自殺で失ったり、自身の収入面も安定しなかったりと、ピカソにとっては暗い時期で「青の時代」と呼ばれています。作風も、失望、孤独、悲哀などをテーマーとしたものが多く、この時代のピカソの作品は、青色がキャンバスを埋め尽くしました。
しかし、1904年頃から、パリのモンマルトルにアトリエを構えると、環境や人間関係にも大きな変化が見られます。その影響は作風にも大きく反映され、バラ色を基調とした曲芸師や道化師をモデルとした作品を多く描く様になります。この1904年~1906年までの時代を「バラ色の時代」と呼びます。
青いグラス(パリ 1902~1903年)

セバスティア・ジュニェ・サンスの肖像(バルセロナ 1903年)

バルセロナの屋上(バルセロナ 1903年)

Female nude - 女性のヌード(バルセロナ 1903年)

ベネテッタ・ビアンコの肖像 - カナルス夫人(パリ 1905年)

1907~1917年 - ピカソとキュビズム
化学やカメラなどの発展により、現実をありのまま描写する事の価値に、芸術家たちが疑問を持ち始めたこの時代、ピカソも絵画に独自の世界観を表現しようと模索し始めます。この時に生まれたのが、ピカソの代名詞とも言える絵画技法「キュビズム」です。キュビズムを端的に説明すると、対象を色んな視点から見て、ひとつの角度に収める芸術様式です。
腰かけた男(バルセロナ 1917年)

果物皿をもった人物(バルセロナ 1917年)

コロンブス大通り(バルセロナ 1917年)

ブランキータ・スアレス(バルセロナ 1917年)

1917~1953年 - 古典主義からピカソ主義へ
第一次世界大戦などで世界が疲弊していたこの時代、芸術も革新的なものよりも、古き良き古典的なものに回帰する傾向にありました。ピカソも抽象的なキュビズム的作風から、古典的で分かりやすい作風に方向転換していきます。
マンティーリャをつけた女(バルセロナ 1917年)

アルルカン(バルセロナ 1917年)

ひだえりと帽子を付けたジャウマ・サバルテスの肖像(ロワイヤン 1939年)

牧神の顔(1947年)

フクロウ(1957年)

1954~1957年 - 名画の再解釈
この時代のピカソは、巨匠と呼ばれる画家の作品にインスピレーションを求める様になります。その中でも代表的なのが、ベラスケスの名画「ラス・メニーナス」を題材とした連作で、1957年の8月から12月にかけて44枚もの連作を制作しました。さらに、その連作の合間の気分転換として、自身の好んだ題材の絵画も描いていきました。
ラス・メニーナス - 女官たち(カンヌ 1957年)

ラス・メニーナス(カンヌ 1957年)

ラス・メニーナス(カンヌ 1957年)

ラス・メニーナス(カンヌ 1957年)

ラス・メニーナス - べラスケスを除いた図(カンヌ 1957年)

ラス・メニーナス - マルガリータ・マリア王女(カンヌ 1957年)

ラス・メニーナス - マルガリータ王女(カンヌ 1957年)

イサベル・デ・ペラスコ、マリア・ハルボラ、ニコラシート・ペルトゥサト(カンヌ 1957年)

ジャクリーヌの肖像(カンヌ 1957年)

ピアノ(カンヌ 1957年)

作業中の画家(リポラン 1965年)

所要時間
ピカソ美術館の見学所要時間は約1時間ほどが目安です。
上記は「常設展(Collection)」と「企画展(Temporary exhibitions)」の両方を、オーディオガイドの解説なしで見学した場合の所要時間目安になります。
実際の所要時間は皆さんの見学ペースにもよりますが、常設展だけであれば45分ほどあれば、十分にゆっくりと見学可能だと思います。
ただし、日本語のオーディオガイドを聞きながら見学される方は、常設展だけでも最低1時間ぐらいは見ておいた方がよいと思います。
季節によって展示内容が変わる「企画展」に関しては、展示内容にもよりますが、15分~20分あれば十分に網羅できる見学ボリュームです。
まとめ
ピカソ美術館には、超がつくほどの有名作品はありませんが、ピカソの若き日から晩年までの作風の変移を、絵画を通じて詳細に知る事ができます。
ロケーション的にも非常にアクセスしやすい場所にありますので、「グエル邸」や「カタルーニャ音楽堂」などを見学される方は、是非同日の観光コースに組み込んでみてください。展示作品数も多く見応えは十分です。
注意点としては、ピカソ美術館は非常に人気スポットなので、「公式サイト」などから事前にチケットをオンライン予約の上で訪問ください。
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