ヴァザーリの回廊 予約と訪問レポート – 集合場所から見学の流れを徹底解説

フィレンツェ イタリア

2025年2月にヴァザーリの回廊を公式サイトから予約の上で訪問してきました。

本記事では、公式サイトでの予約体験、集合場所、見学の流れなどを写真付きで詳しくご紹介します。これから訪問される方の参考になれば幸いです。

因みに、ヴァザーリの回廊見学にはパスポート持参が必須となります。訪問予定の方は必ずご持参ください。

ヴァザーリの回廊を公式サイトから予約して訪問

ヴァザーリの回廊

ヴァザーリの回廊の見学は、事前予約が必須となっています。見学情報は以下の通りです。

ヴァザーリの回廊 見学情報
開館日
  • 火曜〜日曜

毎週月曜、1月1日、12月25日は休館。

開館時間
  • 10時15分〜16時35分

上記はヴァザーリの回廊の見学開始時間。最終は16時35分見学開始。

ウフィツィ美術館には回廊予約時間の2時間前までに要入場。

2025年7月4日〜12月26日の毎週金曜は「19:00〜23:00」で夜間特別開館あり。

入場料金

【ウフィツィ美術館+ヴァザーリの回廊】

  • 大人:43 €(47 €)
  • 18歳未満:無料(要予約料4 €)

( )内はオンライン予約手数料を含んだ金額です。

ヴァザーリの回廊単独チケットは販売なし。

【夜間特別開館チケット】

  • 大人:20 €

夜間入場時の見学はヴァザーリの回廊のみ。

現時点ではオンライン枠は未開放。今後再開の可能性あり。

集合場所

ウフィツィ美術館 1階(日本の2階)D19室が集合地点。

夜間特別開館時は、ウフィツィ広場インフォポイント横の入口に集合。

所要時間

約45分

ヴァザーリの回廊のみの見学時間

重要事項
  • 事前予約は必須
  • パスポート提示が必要
  • 「無料開放日」と重なる場合も事前予約がなければ入場不可

筆者は訪問前の20日ほど前に「ウフィツィ美術館の公式予約ページ」から事前予約の上で訪問しました。

予約手順の簡単な流れに関しては、このあと紹介しますが、英語やイタリア語での予約に不安がある方は、日本語ページからも予約が可能です。

GetYourGuideで日本語予約ページを確認する

GetYourGuide経由での予約は、手数料がかかり公式より割高にはなりますが、日本語で完結できる安心感は大きなメリットです。

「公式サイト」で予約した場合も「GET YOUR GIDE」で予約した場合も「ウフィツィ美術館」と「ヴァザーリの回廊」の見学がセットになっています。予約時に指定する時間は「ヴァザーリの回廊」の見学開始時間のみとなり、ウフィツィ美術館には、その予約時間の2時間前迄に入場する流れになります。

前回訪問時は「ヴァザーリの回廊」の見学開始時間を「10時35分」で予約の上で訪問しました。その際のタイムスケジュールは以下の通りです。

  1. 9:00までにウフィツィ美術館へ入場して館内を見学
  2. 10:20頃にヴァザーリの回廊の集合場所へ移動
  3. 10:35からヴァザーリの回廊の見学を開始
  4. 11:20ごろピッティ宮殿の庭園で解散

因みにヴァザーリの回廊の入口は「ウフィツィ美術館」の中にありますので、館内見学の流れで移動できます。再入場する必要はありません。また解散はピッティ宮殿の庭園になり、美術館には戻って来ません。

入場から解散までの流れは、次章以降で順番に解説していきますが、ここでは次に、「公式ページでの予約手順」を簡単に解説します。

公式予約サイトでのヴァザーリの回廊の予約手順

ウフィツィ美術館の公式予約ページ

ここからは、筆者が実際に予約したときの手順をご紹介します。

まずはウフィツィ美術館の公式予約ページにアクセスします。

サイトにアクセスすると、上から「Gli Uffizi(ウフィツィ美術館)」「Corridoio Vasariano(ヴァザーリの回廊)」の順で予約可能なチケットが並んでいます。

ウフィツィ美術館の公式予約ページ - チケット種類の選択

Corridoio Vasariano」内にある「Buy online」ボタンをタップして選択します。

ウフィツィ美術館の公式予約ページ - チケット種類の選択

ページが切り替わり、上から「ウフィツィ美術館のチケット」「ウフィツィ美術館 + ヴァザーリの回廊のチケット」の選択項目が並んでいます。

ウフィツィ美術館の公式チケット予約サイト「CoopCulture」

ここでは「ウフィツィ美術館 + ヴァザーリの回廊のチケット」を予約する例で解説しますので、下側(VASARI CORRIDOR側)の「DETAILSボタン」をタップして、予約を進めて行きます。

ページが切り替わったら「予約日」「予約時間」「予約枚数」の順で選択していきます。

「予約日」の選択項目

予約日の選択カレンダー -「CoopCulture」の「THE UFFIZI - ENTRANCE TICKETS」ページ

「予約時間」の選択項目

予約時間の選択項目 -「CoopCulture」の「THE UFFIZI - ENTRANCE TICKETS」ページ

予約時間の選択項目は予約日を選択した後に表示されます。

「予約時間」を選択したら、その下の項目から「予約枚数」を年齢などに応じて選択します。

予約枚数の選択項目 -「CoopCulture」の「THE UFFIZI - ENTRANCE TICKETS」ページ

枚数の選択が完了したら、ページ下部の「CHECKOUT」ボタンをタップします。

チケット枚数の選択ページのCHECKOUTボタン - ウフィツィ美術館の公式チケット予約サイト「CoopCulture」

これより後の予約の流れは、別記事内の「ウフィツィ美術館の予約記事内の予約内容の確認と訪問者情報の入力」を参考にしてください。リンク先では「ウフィツィ美術館」の単体チケットを予約する流れで解説していますが「アカウント登録」や「お支払い情報の入力」などの手順に違いはなく、手順に沿っていけば予約を完了できます。

予約が完了すると、登録したメールアドレス宛に「入場チケット(予約書)」がPDFファイルで添付されてきます。

ウフィツィ美術館の入場チケット(予約書)

当日は、この予約書をプリントアウト、またはスマートフォンの画面で提示して入場できます。

まずはウフィツィ美術館に入場

今回のヴァザーリの回廊の予約時間は「10時35分」です。回廊の入口はウフィツィ美術館内にありますので、まずは通常見学と同様に、予約者レーンに並んで入場します。

ウフィツィ美術館内のセキュリティチェック

公式サイトには「ヴァザーリの回廊見学は予約時間の2時間前迄に美術館に入場する」と記載されています。2時間前迄となっているので、早く入館する分には問題ないという解釈で「朝一番の8時15分」に入館しました。

ウフィツィ美術館の入場の流れを詳しく知りたい方は「予約者入口から館内へ入場 - ウフィツィ美術館 チケット予約・購入方法を徹底解説内」の記事を参考にしてください。

セキュリティチェックを抜けて「8時30分」には、最初の見学エリアである3階に到着!

ウフィツィ美術館内の3階見学エリア

今回のヴァザーリの回廊の予約時間は「10時35分」なので、10分前に集合場所に到着する事を想定すると、約2時間ぐらいは館内を自由に見学できます。

ヴァザーリの回廊の集合場所と見学開始まで

この日は、1時間ほどで館内の主要作品の見学を終えたので、少し早いですが「ヴァザーリの回廊」の待ち合わせ場所(ツアー開始場所)に移動する事にしました。

「待ち合わせ場所」は、一番最初の見学フロアから一つ下の階に降りた「2階 D19室」にあります。

ウフィツィ美術館の館内図 - ヴァザーリの回廊の集合場所

上図だと1階となっていますが、日本式で言うと2階になります。イタリアでは地上階は0階になります。

集合場所へのアクセス経路は簡単です。3階から2階に降りて順路に沿って歩いていくと、必ず「展示室15(Room of the Dynasties)」を通過します。

ウフィツィ美術館の館内図 - ヴァザーリの回廊の集合場所

この展示室に入って、すぐ右手の部屋が「D19室」、つまり「ヴァザーリの回廊」の集合場所です。

ヴァザーリの回廊 集合場所の入口

右手の「フランチェスコ・デ・メディチの肖像画」が目印です。

「D19室」の奥に進むとミートポイントとなる案内板があります。

ヴァザーリの回廊のミートポイント

この場所に予約時間の5分〜10分前に到着していればOKです。前回、当サイトが、この場所に到着したのは、予約時間の1時間も前でしたので誰もいません。だいたい15分ぐらい前になると人が集まりはじめます。

参考までに、2階で必見の「カラヴァッジョの部屋(画像下)」は、出口近くの「展示室 E4」にあるので、奥の出口近くの展示室まで見学してから、待ち合わせ場所に戻ってくるのがお勧めです。

ウフィツィ美術館の「展示室 E4 カラヴァッジョの部屋」

全ての展示室を見学して、出口付近まで行くと「ヴァザーリの回廊を見学する方はUターンして戻ってね的な案内板」があります。

ウフィツィ美術館 出口付近のヴァザーリの回廊に関する案内板

「ヴァザーリの回廊」を見学する方は間違っても、見学の勢いで退館しない様にご注意ください。

さて、見学開始時間の10分ぐらい前になると、参加者名簿を持ったスタッフが「ミートポイント」にやってきます。

ヴァザーリの回廊の入口で参加者チェックをするスタッフ

このタイミングで「予約書」と「パスポート」による氏名の照合が行われます。くれぐれもパスポートはお忘れなく。また、予約書と氏名が一致しないと見学エリアに入れない可能性がありますので、予約時の入力間違いにもご注意ください。

受付が完了したら、奥に進んで、いよいよ「ヴァザーリの回廊」の見学スタートです。見学時は常にスタッフ2名が同行します。

見学開始!ヴァザーリの回廊の見学レポート

ヴァザーリの回廊の見学は、この部屋からスタートします。

ウフィツィ美術館の館内図 - ヴァザーリの回廊の集合場所

回廊見学に関する注意事項が全員に配られるので一読します。注意事項は一般的な内容なので、回廊でバク転したり、飲食したりしなければ問題ないです。

まずは、先頭のスタッフの後について階段をおります。

ヴァザーリの回廊へと続く階段

最初の長い回廊に出ます。かつてはここに肖像画が並んでいましたが、現在は一つもありません。

ヴァザーリの回廊

丁度「ヴェッキオ橋」の上に位置しています。

ヴェッキオ橋

メディチ家の人々は、このヴァザーリの回廊を通って、かつてのウフィツィ宮殿(政務機関)とピッティ宮殿(住居)を行き来していました。回廊は、1565年、トスカーナ大公コジモ1世の命で、建築家ジョルジョ・ヴァザーリによって建設されました。

回廊の窓からは、ヴェッキオ橋を歩く観光客の姿が見えます。

ヴァザーリの回廊から見るヴェッキオ橋の景観

こちらは反対側の窓から見える「アルノ川」の景観です。

ヴァザーリの回廊から見るアルノ川の景観

回廊の上で10分程度の自由時間があります。自由時間以外でも写真撮影は特に問題ないです。

ヴァザーリの回廊から見るアルノ川の景観

回廊に並ぶ肖像画を期待していたのか、この時点で韓国人風の方が、スタッフに申し出て離脱していました。勝手に回廊の先には進めないので、恐らく見学開始口から展示エリアに戻ったと思われます。

ヴァザーリの回廊見学は、ひたすら簡素で長い回廊を歩いていくのみです。

ヴァザーリの回廊の様子

回廊見学の後半に、フィレンツェで最も古い教会の一つ「サンタ・フェリチタ教会」の上を通過します。

ヴァザーリの回廊からサンタ・フェリチタ教会とメディチ家専用の礼拝堂

手前に見えるのは、メディチ家専用の礼拝席(バルコニー)です。かつてメディチ家の支配者たちは、この場所から一般信者と交わらずにミサに参加していました。

見学は「ボーボリ庭園」で終了

「ヴァザーリの回廊」は、ポンテ・ヴェッキオを渡り、サンタ・フェリチタ教会を経て、最終的に「ボーボリ庭園(ピッティ宮殿内)」に到達します。

ヴァザーリの回廊の出口「ボーボリ庭園(ピッティ宮殿内)」

回廊出口の脇に見えるのは「ブオンタレンティの洞窟」です。柵越しに覗き込むと、表面に鍾乳石風の装飾が施されています。

ヴァザーリの回廊の出口「ブオンタレンティの洞窟(Grotta del Buontalenti)」

この時点で「11時5分」だったので、開始から丁度30分程度で、この庭園に到着するイメージです。

ボーボリ庭園(ピッティ宮殿内)」

庭園で10分程度の自由時間が設けられており、自由に写真撮影可能です。「ボーボリ庭園」は、ピッティ宮殿に隣接する庭園で、通常は有料(10ユーロ程度)見学エリアになります。ヴァザーリの回廊の見学料金が高いのは、この庭園の入場料が含まれている可能性がありますね。

「ボーボリ庭園」の見学後は、奥に進んで見学ツアーは終了です。

ボーボリ庭園から出口方面へ

庭園から出口に向かう途中にヴェッキオ宮殿の「アンマンナーティの中庭(Cortile dell'Ammannati)」 を通過します。

アンマンナーティの中庭(Cortile dell'Ammannati)

この三層のアーチが特徴的なルネサンス建築の中庭は「バルトロメオ・アンマンナーティ」の設計で16世紀後半に造られたものです。

ヴァザーリの回廊見学後に「ピッティ宮殿」見学を予定しておくと観光効率が良いです。ただし、宮殿内を見学するには、別途でチケット購入が必要です。

ヴァザーリの回廊の見学レポートは以上です。所要時間の目安は40分〜45分ほどになると思います。

ヴァザーリの回廊 見学と予約に関するQ &A

ここでは「ヴァザーリの回廊を見学する際によくある質問」をQ&A形式でまとめました。

予約や集合場所、所要時間、撮影可否など、旅行者が疑問に思いやすいポイントを一通り網羅しています。ぜひ見学前の参考にしてください。

  • Q 予約は必要ですか?当日券はありますか?

    A 見学は完全予約制です。現地予約も可能ですが、当日の空き枠が空いている可能性は低いです。事前に公式サイトなどから予約するのがお勧めです。

    ⇨ 公式予約サイトでのヴァザーリの回廊の予約手順

  • Q 集合場所はどこですか?何分前に行けばよいですか?

    A 集合場所はウフィツィ美術館1階(日本の2階)の「D19室」です。開始10〜15分前までに到着し、案内表示に従ってスタッフの指示を待ちます。

    ⇨ ヴァザーリの回廊の集合場所と見学開始まで

  • Q 回廊に再入場できますか?出口は?

    A いいえ、ヴァザーリの回廊見学後に「ウフィツィ美術館」内に戻る事はできません。出口はピッティ宮殿側にあり、見学後はボーボリ庭園で解散となります。

    ⇨ 見学は「ボーボリ庭園」で終了

  • Q どのくらい前にウフィツィへ入館すべきですか?

    A ヴァザーリの回廊の予約時に指定した「2時間前まで」にウフィツィへ館内に入場する必要があります。筆者は前回訪問時は2時間30分ぐらい前に入館しました。

    ⇨ まずはウフィツィ美術館に入場

  • Q 所要時間はどのくらいですか?

    A ヴァザーリの回廊の見学時間は所要45分程度です。ウフィツィ美術館の見学時間を含めるとトータル所要2時間が目安です。

  • Q パスポートは必要ですか?

    A はい、回廊見学前に提示を求められます。その際パスポート氏名と予約者名が一致してる必要があります。見学当日は必ずパスポートを持参してください。

  • Q 写真撮影は可能ですか?

    A はい。ただし、フラッシュや三脚、動画撮影は不可です。引率スタッフの指示に従ってください。

  • Q トイレは途中で利用できますか?

    A いいえ、回廊にはトイレがありません。集合前にウフィツィ館内のトイレを済ませておくと安心です。

  • Q 遅刻した場合は参加できますか?

    A いいえ。集合後の合流は難しい場合があります。開始時刻の10〜15分前には集合場所へ到着してください。

  • Q キャンセルや日時変更はできますか?

    A いいえ。規定に従ってキャンセル・変更可否や締切が定められています。予約時の条件を必ず確認してください。

  • Q 見学後はそのままピッティ宮殿やボーボリ庭園を訪れられますか?

    A はい、見学の出口はピッティ宮殿側です。ただし、別途で有料エリアの各種チケットが必要です。

ヴァザーリの回廊は訪問すべきか

ヴァザーリの回廊を訪問すべきかは個人差があると思いますが、メディチ家の歴史に興味がある方であれば見学する価値はあると思います。

一方、景観のインパクトや美しさを求めて訪問すると、簡素な回廊を歩くだけなので、がっかりしてしまう可能性は高いです。多くの方がイメージしている肖像画が並ぶ景観はありません。絵画は一点も飾られていませんし、景観の変化も乏しいです。

料金的な面で考えると、美術館+回廊で「47ユーロ」なので、美術館の29ユーロを引くと、実質的な「ヴァザーリの回廊」の入場料金は18ユーロ程度です。これだと若干割高な気もしますが、最後にボーボリ庭園(10ユーロ程度)にも入場できる点を踏まえると、妥当な金額かなと思います。引率スタッフが2人つくので、運営側も人的コストがかかるのだと思います。

また、ウフィツィ美術館の次に「ヴェッキオ宮殿」を見学しようと考えている方は、見学しながら移動できるので効率は良いと思います。

もし「ヴァザーリの回廊」を見学するかお悩みで「メディチ家の礼拝堂」や「アカデミア美術館」の訪問予定がない方は、そちらに時間を割いた方が見応えはあると思います。

意地でも「ヴァザーリの回廊」を訪問される方は、必ず事前に公式サイトより予約を行なってください。

一方で、本記事を読んで「英語での公式予約はちょっと不安だな」と感じた方は、日本語で手続きできるGetYourGuideを利用する方法もあります。手数料がかかり公式より割高にはなりますが、日本語ページから簡単に予約できるのは大きな安心材料です。

GetYourGuideで日本語予約ページを確認する

ヴァザーリの回廊とは?歴史と現在の姿

ここまで実際の予約や訪問レポートを中心にご紹介してきましたが、最後にヴァザーリの回廊そのものについて、建設の背景と現在の姿を整理しておきます。

ヴァザーリの回廊は1565年、建築家ジョルジョ・ヴァザーリによって建設されました。全長はおよそ750〜1,000メートルとされ、ウフィツィ美術館、ヴェッキオ宮殿、ポンテ・ヴェッキオ(ヴェッキオ橋)、そしてピッティ宮殿を結ぶ高架式の通路です。

当時のトスカーナ大公コジモ1世・メディチが、自分と家族が市民と交わることなく安全に宮殿間を移動できるようにするために造らせた“秘密の通路”でした。わずか5か月という短期間で完成したことも知られています。

ポンテ・ヴェッキオ(ヴェッキオ橋)を通過する際には、既存の塔(マンネッリ塔)を壊さずに避けて設計され、さらにサンタ・フェリチタ教会には貴族が群衆に交わらず礼拝を見学できる専用バルコニーが設けられるなど、当時の権力構造を象徴する工夫が随所に見られます。

その後、レオポルド・デ・メディチによって自画像コレクションが拡充され、ラファエロ、レンブラント、ダ・ヴィンチらの作品を含む700点以上の自画像が飾られました。回廊は世界最大級の自画像展示空間として知られるようになります。

しかし2016年末、安全基準を満たしていないとして一般公開は中止されました。以降長期にわたり閉鎖されましたが、総工費1,000万ユーロ以上を投じた改修を経て、2024年12月にようやく再公開されています。

改修では、緊急出口の新設、空調や換気設備の導入、照明や監視カメラの整備などが行われ、現代的な安全基準に対応した空間へと生まれ変わりました。改修にあたっては数千点規模の調査資料や写真を用いた徹底的な検証が行われたことも報告されています。

現在の回廊は、かつての自画像コレクションが別の展示室に移されており、壁面は装飾のない簡素な廊下として公開されています。将来的に展示を再開する可能性は示唆されていますが、現時点で公式な計画は発表されていません。

それでも、メディチ家が実際に使った“空中の秘密通路”を歩く体験そのものが最大の魅力であり、歴史の重層を直に感じられる特別な空間であることに変わりはありません。

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