スカラ座(ミラノ)の見学チケットの買い方・予約方法と見どころガイド

ミラノを代表する観光名所「スカラ座(Teatro alla Scala)」は、世界的にも有名なオペラハウスであり、併設のスカラ座博物館も見応えのある文化施設です。

本記事では、スカラ座の見学チケットの予約・購入方法をはじめ、当日の見学の流れや見どころまで、実体験をもとに詳しく解説します。

スカラ座とは?内部見学もできる世界屈指のオペラハウス

スカラ座の劇場と館内の装飾

イタリア・ミラノの象徴ともいえる「スカラ座(テアトロ・アッラ・スカラ)」は、1778年、火災で焼失したサンタ・マリア・アッラ・スカラ教会の跡地に建てられた、世界屈指の歴史を誇る歌劇場(オペラハウス)です。

ヴェルディやプッチーニの数々の名作が初演された舞台でもあり、クラシック音楽ファンにとってはまさに“聖地”といえる存在でしょう。

現在のスカラ座では、年間を通じてオペラやバレエの公演が行われるほか、見学専用のチケット(12€)を購入すれば、日中の時間帯に館内見学を楽しむことも可能です。

館内では、豪華な装飾が施された「劇場ホール」や、鏡張りの壁が印象的な「上階ホワイエ」の見学に加えて、「スカラ座博物館(Museo Teatrale alla Scala)」も自由に見学できます。

スカラ座博物館では、ヴェルディやトスカニーニなどの偉大な音楽家たちの肖像画や胸像をはじめ、歴代のオペラ衣装、楽譜、舞台模型、ポスターなど、舞台芸術に関する豊富な資料が展示されています。

宮殿のような華やかな内装や、美術・芸術に少しでも興味がある方なら、ミラノ観光では絶対に外せない場所のひとつです。

スカラ座の見学方法|自由見学とガイドツアーの違い・選び方

スカラ座の劇場ホール

スカラ座では、オペラやバレエ公演の鑑賞だけでなく、館内見学専用チケットを購入して、内部をじっくり見学することもできます。見学方法は、以下の3つから選べます。

  • 自由見学(12〜16,2ユーロ)自由見学チケットを購入すれば、館内を自分のペースで自由に見学できます。営業時間内であれば見学時間に制限はなく、好きなだけ散策可能です。一部立ち入れないエリアはありますが、「劇場ホール」や「美しく装飾された展示エリア」の見学など見応え十分です。

  • ガイドツアー(30ユーロ) 定期的に開催されるガイド付き見学ツアーです。日本語の解説はありませんが、自由見学では入れない「ロイヤルBOX席」を見学できるのが最大の魅力です。所要時間は約60分で、料金は自由見学の約2倍かかりますが、ツアー終了後も館内に残って自由に見学を続けられるため、実質的に自由見学も含まれています。 スカラ座をどっぷりと見学したい方に特にお勧めです。

  • 特別ガイド付きツアー(価格非公開)プライベート形式の特別ガイドツアーも用意されていますが、予約や料金確認はメールでのやり取りが必要です。一般の観光客が利用するケースは少なく、日本語解説もありません。

筆者は毎回、自由見学のチケットを事前予約して訪問するようにしています。

次の項目では、日本からの旅行者が利用する機会が多い「自由見学」と「ガイドツアー」のチケット予約・購入方法について、詳しく解説します。

なお、「自由見学」と「ガイドツアー」のどちらを選ぶか迷っている方は、初めてスカラ座を訪れる方や、自分のペースで気軽に楽しみたい方には「自由見学」英語での解説を理解でき、スカラ座の構造や歴史をより深く知りたいリピーターの方には「ガイドツアー」がおすすめです。

自由見学チケットの予約・購入方法

スカラ座館内を自由に見学するためのチケットは、以下の何れかの方法で、予約または購入が可能です。

  1. 公式サイトで予約する(英語ページ)

    料金:12,96〜16,20ユーロ

    スカラ座 見学チケットの公式予約ページ「VIVATICKET」

    スカラ座の自由見学チケットは、公式販売サイト「Museo Teatrale alla Scala(英語)」から購入するのが正規ルートになります。

    公式サイトの自由見学チケットには「オープン(16.20ユーロ)」と「日時指定(12.96ユーロ)」の2種類があり「オープンチケット」は、料金が高い代わりに年度内の好きなタイミングで入場できるのがメリットです。一方「日時指定チケット」は、訪問日時が固定されますが、料金が安く、予定が決まっている方におすすめです。

    どちらのチケットも、当日はチケット売り場に寄らずにそのまま見学を始められますので、用途に応じてお選びください。日時指定チケットは年度末分の予約まで可能です。

  2. GetYourGuideで予約する(日本語ページ)

    料金:15.0ユーロ

    GetYourGuideのスカラ座 見学チケット予約ページ

    英語サイトでの予約が不安な方には、日本語対応の「GetYourGuideのスカラ座ミュージアム入場券」ページ経由での予約もおすすめです。こちらで予約できるのは「日時指定チケット」のみで、料金は公式サイトより約2ユーロ程度高くなりますが、日本語ページから簡単に予約できる上、24時間前までは無料キャンセルが可能です。

    当日は公式予約と同様に、窓口に立ち寄らず、予約確認書を入口と見学口で提示するだけでそのまま入場・見学が可能です。チケット窓口の行列に並ぶ必要もありません。

  3. 現地窓口で購入する(英語・イタリア語)

    料金:12.0ユーロ

    スカラ座 見学チケットの当日券販売窓口

    スカラ座の建物内にあるチケット窓口でも当日券を購入できます。ただし、夏場は混雑しやすく、団体客やツアー客の列ができることも多いため、できれば「公式サイト(英語)」や「Trip.com(日本語)」での事前予約がおすすめです。冬場などオフシーズンであれば、並ばずに購入できる場合もあります。

英語に抵抗がない方であれば、基本的には正規ルートである「Museo Teatrale alla Scala(英語)」からの購入が最もリーズナブルでおすすめです。

ただし、英語での予約に強いハードルを感じる場合は、GetYourGuideのスカラ座ミュージアム入場券を利用するのも良い選択肢です。公式サイトに比べて約2ユーロ高くなりますが、これは翻訳やチケット手配の代行料だと考えれば決して高くはありません。予約手順も公式サイトよりずっと簡単で、日本語で手続きできる安心感があります。

公式サイトでの予約手順を解説

スカラ座 公式予約サイト

ここでは、VIVA TICKET(スカラ座公式予約サイト)から「日時指定チケット」を予約する手順を解説します。

予約や空き状況を確認して予約を進めるには、まず「アカウント登録」が必要です。こちらのアカウント登録ページから登録を行いましょう。

なお、すでに「最後の晩餐」や「スフォルツェスコ城」のチケットをVIVA TICKET経由で予約済みの方は、その際に作成したアカウントでログインして利用できますが、当記事ではアカウント登録する流れから解説していきます。

ページが表示されたら登録する「①メールアドレス」と任意の「② ③ パスワード」を入力します。

スカラ座 見学チケットの当日券販売窓口

パスワードは最低8文字以上の半角英数字で設定してください。

画面のやや下に表示される「プライバシーポリシー」に関するチェック項目に同意していきます。

スカラ座 公式予約サイト - プライバシーポリシーに関する同意項目

一番上の「個人情報保護」に関する同意は必須なので、必ずチェックを入れます。残りの2つは、メールマガジンの購読や情報提供に関する同意ですので、不要であれば右側の「同意しない」にチェックを入れれば問題ありません。

続けてその下の選択項目で「I want to provide my purchase details now(今購入情報を入力します)」にチェックを入れます。

購入情報を今入力するか後で入力するかのチェック項目

上から「④ 名前(ローマ字)」「⑤ 苗字(ローマ字)」「⑥ 生年月日」の順で項目を埋めていきます。

残りの住所の項目も上から「⑦ 国籍」「⑧ 都道府県」「⑨ 市町村区」「⑩ 郵便番号(数字だけ)」「⑪ 残りの住所」の順で埋めていきます。

スカラ座 公式予約サイト - 購入者の住所情報の入力項目

最後に規約同意のボックスにチェックを入れて「CONFIRM」ボタンをタップします。

英語住所変換の便利ツール

英語住所の入力は「日本語住所を英語住所に簡単変換できるツール」で変換の上、住所を部分的にコピペして利用すると便利です。

次のページで「DETAILS SAVED」と表示されていれば「アカウント登録」は完了です。「CONTINUE」ボタンをタップして次のステップに進みます

チケット選択ページに移動するので、今回は日時指定のチケット「INGRESSO MUSEO」側をタップして選択します。

スカラ座 公式予約サイト - チケット種類の選択ページ

「INGRESSO MUSEO OPEN」は、日時指定なしのオープンチケットとなります。もし、こちらを購入する場合も、予約日時を選択しないだけで、基本は日時指定チケットを予約する場合と予約の流れはほとんど変わりません。

日時指定のチケットを選択した場合、次の画面で「予約枚数」と「予約日」を選択します。

スカラ座 公式予約サイト - 予約枚数と予約日の選択

予約日はカレンダー上で緑色に表示されている日付のみタップ可能です。また、ここで選ぶ予約人数は仮の選択となり、次のステップで正式に指定し直すことになります。

続いて、表示された選択肢の中から予約時間をタップします。

スカラ座 公式予約サイト - 予約時間の選択項目

今度は、同行者の年齢や人数に応じてチケットの種類と枚数をタップして選択します。

スカラ座 公式予約サイト - チケット枚数の選択項目

たとえば、子ども連れの場合はファミリーチケットを選ぶことで、よりお得に購入できます。

チケット枚数の選択が完了したら、ページ下部の「I'm not a robot」にチェックを入れて「BUY」ボタンをタップします。

スカラ座 公式予約サイト - チケット枚数の選択項目

予約内容の確認ページに移動するので、画面下方の必須項目全てにチェックを入れて「CONFIRM」ボタンをタップします。

スカラ座 公式予約サイト - チケット枚数の選択項目

以降はお支払い情報の選択・入力ページに移動するので、画面の流れに沿って、お支払い手続きを完了してください。

決済が正常に完了すると、登録したメールアドレス宛に件名「Thank you for your order」の予約完了メールが届きます。

スカラ座 チケットの購入完了メール

メール本文内の「DOWNLOAD TICKETS」ボタンをタップすると、当日の入場チケットとなる予約書(PDFファイル)がダウンロードできます。

スカラ座の入場チケット(予約書)
スカラ座の入場チケット(予約書)

見学当日は、この予約書をプリントアウトして持参し、入場時に提示します。筆者は念のためプリントアウトして持参しましたが、QRコード部分が読み取れれば、スマートフォン画面上のEチケットとして提示しても問題ないと思われます。ただし、公式にはEチケットに関する記載がないため、プリントアウトして持参するのが確実です。

ガイドツアーチケットの予約・購入方法

スカラ座見学のガイドツアーは、対応する言語によって異なりますが、英語ツアーなどは最大で1日3回開催されます。

ツアーの開催回数は言語や日によって異なり、1日1回のみの場合や開催されない日もあります。特に英語・イタリア語以外の言語は開催日が少ないため、基本的には英語ツアーに参加するのが無難です。

事前のオンライン予約は、通常の見学チケットと同じ「VIVA TICKET(スカラ座公式予約サイト)」から可能です。

現地窓口でも、当日空きがあればツアーに参加できますが、各ツアーの定員はおよそ20名のため、当日参加できる保証はありません。確実に参加したい場合は、事前予約がおすすめです。

オンライン予約の際は、ガイドツアーのチケットは「自由見学チケット」の下に並んでいます。

スカラ座 公式予約サイト - ガイドツアーチケットの選択項目

ガイドツアー以外のチケットも並んでいるため、「INGRESSO MUSEO CON VISITA GUIDATA TEATRO IN 言語」 という形式のチケットから選びます。ツアーの言語は「英語(INGLESE)」「イタリア語(ITALIANO)」「フランス語(FRANCESE)」「スペイン語(SPAGNOLO)」の4種類があり、各ブロック右上の国旗アイコンも参考に選択してください。

「ガイドツアー」選択後の予約の流れは「自由見学チケット予約の流れ」とほぼ同じですので、前項の「公式サイトでの予約手順を解説」を参考に行なってください。

スカラ座への行き方・アクセス方法(地図・最寄り駅)

スカラ座(Teatro alla Scala)はミラノ中心部に位置しています。

ドゥオーモ大聖堂と同じく最寄り駅は「Duomo(ドゥオーモ駅)」で、徒歩圏内に「ドゥオーモ大聖堂」「ガッレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2世」「スカラ座」が並ぶため、効率的に観光ルートを組むのがおすすめです。

【地下鉄での行き方】

メトロのライン1・3「Duomo(ドゥオーモ駅)」下車後、徒歩約4分(300m)です。
観光客には地下鉄利用が最も一般的で、わかりやすく便利です。

【トラムでの行き方】

トラム1番または2番「Teatro alla Scala(スカラ座前停留所)」下車後、徒歩すぐです。
トラムも便利ですが、地下鉄に比べると停留所や路線が少しわかりづらいので、慣れない方は地下鉄がおすすめです。

【主要スポットからの徒歩アクセス】

スカラ座は周囲の観光スポットとも近接しており、徒歩で訪れやすい立地です。主な観光スポットからの所要時間は以下の通りです。

ミラノは比較的治安の良い都市ですが、観光地ではスリや置き引きに注意するなど、基本的な対策は心がけておきましょう。また、スカラ座前まで直接行けるトラムも便利ですが、観光シーズンは混雑しやすいため、旅行初心者の方には地下鉄か徒歩でのアクセスをおすすめします。

【実訪問レポート】チケット予約者と当日券購入者の見学開始までの流れ

ここでは、筆者が実際に「自由見学チケット」を事前予約して訪れた体験をもとに、スカラ座見学エリアへの入場手順から、当日券の購入方法までを詳しくご紹介します。

筆者は「ドゥオーモ」や「ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア」方面から向かったため、まず最初にスカラ座の南側にある正面入口が目に入りました。

スカラ座 南側の正面入口

建物の正面には、特徴的な3本のアーチが並んでいますが、実際の見学エリア入口はこの正面ではなく、向かって左手側にあります。

スカラ座 南側の正面入口から見学エリア入口までのルート説明

事前予約の方も、当日券の方も、上写真のルートに沿って「見学エリア専用入口」へ進みます。

入口の右手には「TICKETS - Theatre Tours Museum Sightseeing」と書かれた案内板が掲げられているので、それを目印にすると分かりやすいです。

スカラ座の見学エリア専用入口の案内板

建物に入ってすぐ右手にチケット売り場があります。当日券を購入する場合はこちらで手続きしますが、事前予約を済ませている方はそのまま奥へ進みます。

スカラ座の見学エリア入口のチケット販売窓口

筆者が訪れたのは2月の雨の日で朝一番だったため、チケット売り場は空いていましたが、売り場自体がコンパクトなため、夏の観光シーズンや団体客と重なると混雑しやすい印象でした。事前予約しておくと安心です。

見学エリアへと続く階段の手前では、スタッフによるチケットの確認があります。

スカラ座 見学エリアへの順路説明

予約者は、予約完了後に届くQRコード付きのPDFチケットを、当日券の方は購入した紙チケットを提示して階段を上がります。

やや急な階段を上り、2階(日本式では3階)まで進むと「見学エリア入口」に到着します。正面には「MUSEO」と書かれた案内板が掲げられており、迷うことはありません。

スカラ座 見学エリアへの順路説明

入口に入ると、左手にはカウンター、正面にはスタッフが1名待機していました。どちらのスタッフに提示しても大丈夫です。

スカラ座 見学開始口とチケット確認スタッフ

筆者は正面のスタッフにQRコードをスキャンしてもらい、そのまま見学を開始しました。

【見学レポート】スカラ座 見学の見どころを順路に沿って紹介

ここでは見学順路に沿って「スカラ座館内の見どころ」をご紹介します。

スカラ座 見学エリアへの順路説明

見学エリアに入って奥に進むと、左手側と右手側に進路が分かれますが、筆者は劇場などがある左手側から見学を開始しました。奥に見えるのは最初の見学ポイントである「上階ホワイエ(Foyer Arturo Toscan)」です。

上階ホワイエと音楽家の胸像

スカラ座館内の上階ホワイエ(Foyer Arturo Toscan)

スカラ座の見学ルートの中で目を引くのが、上階ホワイエ「アルトゥーロ・トスカニーニ(Foyer Arturo Toscanini」です。ここは、かつてから現在に至るまで、公演の休憩時間には観客がくつろぎや談笑を楽しむ場として利用されており、日中の公演がない時間帯は見学ルートの一部として開放されています。

スカラ座館内の上階ホワイエ(Foyer Arturo Toscan)

ホール名の「アルトゥーロ・トスカニーニ」は、20世紀を代表する指揮者であり、スカラ座の音楽監督として歴史に名を刻んだ人物にちなみ名付けられました。

室内はシャンデリアや鏡張りの壁、金装飾が施された柱など、歴史的建築美が息づく優雅な空間で、舞台裏の一部としての気品を感じられます。

上階ホワイエ(Foyer Arturo Toscan)のシャンデリア

見学の際は、壁際に展示された写真パネルや胸像などもじっくりとご覧ください。

上階ホワイエ(Foyer Arturo Toscan)の展示パネルと鏡像

広く優雅なこの空間は、写真撮影スポットとしてはもちろん、見学の合間の休憩場所としてもおすすめです。

上階ホワイエ(Foyer Arturo Toscan) 休憩用の椅子で談笑する訪問客

上階ホワイエの見学後は、このエリアの入口左手付近にある扉から奥に進み、次の見学ポイントである「劇場ホール(Sala del Teatro)」のボックス席へと移動します。 ボックス席からは、豪華なシャンデリアや舞台全体、観客席の壮麗な眺めを間近に楽しむことができます。

劇場ホールとボヘミアクリスタルのシャンデリア

スカラ座の劇場ホール全景

スカラ座の自由見学では、上階のボックス席の一角から劇場ホール全体を見渡すことができます。

スカラ座の劇場ホールのボックス席

こちらの写真は、一般的な上階ボックス席です。ガイドツアーに参加すると、舞台正面中央に位置するVIP用の個室「ロイヤルボックス席(Royal Box)」も見学可能です。ロイヤルボックス席は、歴代の国の元首や首相、大統領が利用した特別な空間で、内部はプライベート感が高く豪華に装飾されています。自由見学では立ち入れないため、特別感を味わいたい方にはガイドツアーがおすすめです。

劇場ホールの赤いビロードで覆われた客席や、金の装飾が施されたバルコニーが広がる光景は、ヨーロッパ屈指の歌劇場ならではの壮麗さです。

スカラ座の劇場ホール全景

舞台正面にはミラノ市の紋章が金色に輝く幕が掲げられ、劇場の伝統と格式を象徴しています。

スカラ座の劇場ホール 金色に輝く幕とミラノ市の紋章

見上げれば、天井中央にはきらめくシャンデリアが堂々と輝き、観客を優雅な光で包み込みます。

スカラ座のシャンデリアは、その歴史の中でたびたび技術革新とともに進化してきました。

スカラ座の劇場ホール シャンデリア

現在のシャンデリアは、383個の電球と、無数のボヘミアクリスタルによって構成されており、華やかな光のカーテンのように劇場空間を包み込みます。

装飾には繊細なカッティングが施されたクリスタルのドロップパーツ花びらのような装飾金具が使われ、光を反射してきらめきを生み出す設計がなされています。中央部から外周へと流れる曲線美も特徴です。

劇場ホール シャンデリアの装飾

このシャンデリアは、第二次世界大戦の空爆で一度破壊されましたが、1945年に当時の図面と技術資料をもとに完全再現されました。元は1860年に舞台美術家アレッサンドロ・サンキリコのデザインで制作されたもので、油灯 → ガス灯 → 電灯と、時代の変遷に合わせて照明方式も変化し、その輝きは今も、スカラ座の格式と伝統を象徴する存在となっています。

そして視線を少し下げると、舞台上部に静かに佇む時計が目に入ります。この時計によって、開演前や休憩中に観客が時刻を確認できるようになっています。

劇場ホール 舞台上の時計

伝統的な回転ドラム式の外観を保ちながら、内部は電動式にアップグレードされており、停電時でも作動するよう非常用バッテリーに接続されています。

照明が落とされたホールの中でも、ほのかに光る数字が時の流れを静かに伝え、公演中も観客の目を引きます。この時計は、単なる時刻表示にとどまらず、時間を厳格に守るスカラ座の伝統を象徴する存在として、今日まで受け継がれています。

この劇場ホール見学は、スカラ座の中でもひときわ印象的な体験のひとつ。舞台に響く音の余韻や、空間を満たす静けさの中で、格式ある美しさを五感で味わえます。自由見学では写真撮影も可能なので、訪れた記念にぜひその壮麗な空間を一枚に収めてみてください。

劇場ホールの見学を終えた後は、再度「上階ホワイト」を通過し、最初の見学開始口から「スカラ座の博物館エリア」へと移動します。

博物館エリアの展示と映像鑑賞エリア

スカラ座の博物館エリアへは、見学ルート入口の奥、右手側に進むと入ることができます。扉の先には、オペラや舞台芸術にまつわる数々の美術品や資料が並び、劇場とはまた異なる、静かで落ち着いた空間が広がります。

スカラ座の博物館エリア

館内は複数の展示室で構成されており、それぞれの部屋には異なる趣向の展示がなされています。絵画、歴代の公演ポスターや衣装、舞台模型、楽譜などが整然と並び、スカラ座の長い歴史と芸術の歩みをじっくりと感じることができます。

こちらは博物館に入って3室目の展示エリアです。

スカラ座 博物館エリアの展示室

中央のショーケースには、貴重な収蔵品がいくつも展示されており、 劇場のボックス席やホワイエで使われていたトランプ、特別装丁のリブレット(台本)、さらには舞台用のジュエリーなどが含まれており、中でも1831年の《ノルマ》初演でジュディッタ・パスタが実際に使用した宝飾品は、非常に貴重な一点です。

壁側のショーケースには、18世紀から19世紀にかけてヨーロッパ各地で制作された磁器製の人形(フィギュリン)が数多く展示されています。

スカラ座 博物館エリアの展示品「磁器製の人形(フィギュリン)」

精巧に作られたこれらの人形は、オペラや演劇、仮面劇などの登場人物を模しており、当時の舞台文化の豊かさと、磁器芸術の繊細な技術を感じさせてくれます。

こちらは入口から4番目の展示室です。正面のピアノは、19世紀を代表するピアニストであり作曲家のフランツ・リストが、1883年11月に書簡の中で称賛した名器です。

スカラ座 博物館エリアの展示品「フランツ・リストが賞賛したピアノ」

この楽器は、ピアノ製造で名高いスタインウェイ社が、テスト用としてリストに提供したもので、当時の最高峰の技術が注ぎ込まれていました。現在も完全な動作状態で保存されており、その美しいフォルムとともに、19世紀末の音楽芸術を静かに物語っています。

博物館エリアには、ここまで紹介してきたような、歴代の芸術家や公演に関連する展示室が10室近くあり、見応え十分でした。

スカラ座 博物館内の展示室

エリアの後半には、休憩スポットとしてもおすすめの映像鑑賞エリアも設けられています。

スカラ座 博物館内の映像鑑賞エリア

このスペースでは、スカラ座の舞台裏やリハーサル風景、歴史的な名演の映像など、館のテーマに沿った貴重な映像が上映されています。

そして展示室をさらに奥へと進むと、特別展示が開催される上階(日本式で4階にあたる3階)へと続く階段が現れます。

スカラ座 博物館 特別展示エリアへと続く階段

特別展示エリア

博物館エリアの上階では、季節ごとに内容が変わる特別展示エリアが設けられており、訪れるたびに異なる展示が楽しめるのが特徴です。

スカラ座 博物館エリアの展示品「フランツ・リストが賞賛したピアノ」

筆者が訪問した際は、「LO SGUARDO NASCOSTO(隠されたまなざし)〜舞台裏のバレエ〜」というテーマで、バレリーナの衣装や写真展示が行われていました。

スカラ座 博物館エリアの展示品「フランツ・リストが賞賛したピアノ」

展示室内には鏡張りの壁とバレエバーが設置され、舞台裏の雰囲気を再現した空間で、バレエファンのみならず多くの来場者が足を止めていました。

なお、特別展示の中でも特に人気が高いのが「マリア・カラス」に関する展示です。カラスの肖像画や舞台衣装、映像資料などの貴重な品々が紹介されることもあり、彼女のファンにとっては見逃せない企画となっています。

特別展に関する最新情報を知りたい場合は、公式サイト内の「Exhibitions(展示)ページ」にてご確認ください。

見学情報(営業時間・料金・所要時間目安)

ここでは、スカラ座館内見学の営業時間、チケットの種類や料金、見学所要時間などの見学情報についてご案内します。

スカラ座の営業時間と休館日

スカラ座は、年に数日だけ完全休館日がありますが、基本は毎日営業しています。館内見学の営業時間は以下の通りです。

営業時間

  • 9:30〜17:30(最終入場は17時)

リハーサルや公演、イベントが行われている時間帯は見学不可となります。

休館日

  • 12月7日、12月25日、12月26日
  • 1月1日、復活祭(イースター)、5月1日、8月15日

短縮営業日

  • 12月24日、12月31日:9:30〜15:00(最終入場 14:30)

上記2日間は15:00以降休館

劇場ホールの見学について

館内見学が可能な時間帯でも、リハーサルや公演の都合によりメインの「劇場ホール」の見学ができない日や時間帯があります。劇場ホールの見学を楽しみにしている方は、必ずスケジュールを確認のうえ訪問されることをおすすめします。

劇場ホールのスケジュールは、公式サイト内の「Theater's visibility」ページで確認できます。

下記のスケジュール表の見方は、以下の画像とアイコンの説明をご参考ください。

スカラ座 劇場ホールのスケジュール表

カレンダーの横軸が日付、縦軸が時間です。アイコンの表示によって、その時間帯に劇場ホールの見学ができるかどうかを確認できます。

また、画像内にも記しておりますが、照明マークの意味は以下の通りです。

  • 白い照明:見学可(ホール全体が明るく見える)
  • 半分黒い照明:一部見学可(リハーサル中、照明が限定的)
  • 黒い照明:見学不可(劇場ホールに立ち入り不可)

チケット種類と料金

スカラ座館内を自由見学する場合の「チケット料金」は以下のとおりです。大きくは「日時指定チケット」「オープンチケット」「ガイドツアーチケット」の3種類があります。

日時指定チケット

見学日時を指定の上で自由見学できるチケットです。現地窓口で購入する場合も、直近の見学枠に空きがない場合は、次の時間帯のチケットが販売される形になり、実質的に窓口購入も日時指定チケットになります。

  • 12ユーロ
    (大人:学生でない6〜64歳)
  • 8ユーロ
    (学生(6歳以上)、シニア(65歳以上))
  • 無料
    (5歳以下、障がい者など)
  • 20ユーロ
    (ファミリーチケット:大人2名+5歳以下の子ども1〜2名)
  • 25ユーロ
    (ファミリージュニア:大人2名+6〜14歳の子ども1〜2名)

上記料金はすべてオンライン購入手数料別(窓口購入料金)です。公式サイト経由でオンライン予約する場合は、定価に対して約8%のオンライン予約手数料が加算されます。

例えば「通常チケット(大人)」の場合、定価は12ユーロですが、オンラインで予約すると12.96ユーロとなり、0.96ユーロ(=8%)の手数料が上乗せされています。

オープンチケット

日時を指定せずに優先入場できる自由見学用のチケットです。購入した年の年度末まで有効で、その期間内であればお好きなタイミングで利用できます。

  • 15ユーロ

オンライン予約時は「16.2ユーロ(うち手数料1.2ユーロ)」になります。

オープンチケットはチケット窓口に並びたくないけど、訪問時間が読めない場合などに便利です。ただし、便利なだけあり、日時指定の通常チケットよりも約3ユーロ程度高いです。このチケットを当日に窓口で購入する意味はないと思いますので、基本オンライン予約用と言えます。

所要時間の目安

スカラ座館内見学の所要時間目安は45分〜60分程度とされています。

参考までに、筆者が前回訪れた際は、全ての見学ポイントを休憩を挟みながら回っても30分ほどで見学できました。一方で、展示エリアには楽譜や衣装、美術品などが多数あり、それらを一つ一つじっくり鑑賞していくと、60分はあっという間だと思います。

館内には映像鑑賞エリアや休憩用の椅子も多いので、のんびり見学したい方は所要60分を目安にすると丁度いいと思います。

【表で早わかり】スカラ座 館内見学情報まとめ

最後にスカラ座の館内見学情報を表にまとめましたので、最終的な情報の整理にご覧ください。

スカラ座 見学の基本情報
所在地Via Filodrammatici, 2, 20121 Milano MI, Italy

住所をタップするとGoogleマップが開きます。

アクセス方法
開館時間通常 9:00〜17:30(最終入場17:00)
休館日12月7日、12月24日〜26日、12月31日、1月1日、イースターなど(要確認)
チケット料金の目安
  • 自由見学チケット(日時指定):€12.00
  • オープンチケット(日時自由):€15.00

オンライン予約時はプラスで8%の手数料が発生

チケット予約・購入方法
公式サイトMuseo Teatrale alla Scala
所要時間の目安45分〜60分
見学内容
  • 上階ホワイエ
  • 劇場ホール
  • スカラ座博物館(展示室・映像コーナー)
  • 特別展

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