ミケランジェロの傑作「モーゼ像」がある教会|サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会完全ガイド【ローマ】

ローマ イタリア
ミケランジェロの傑作「モーゼ像」がある教会

本記事では、ローマ中心部にひっそりと佇む歴史的教会「サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ」をご紹介します。

ミケランジェロの傑作「モーゼ像」が収められたこの教会は、入場無料ながら芸術的・歴史的価値の高い見どころのひとつです。観光ルートに組み込みやすいアクセスや、見学所要時間、写真撮影のポイントまで詳しく解説します。

サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会とは?

サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会の外観

サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会とは、ローマ・エスキリーノ(Oppian)丘の上に位置する、5世紀に建てられた古代教会で、聖ペトロが接続されていた鎖(Vincoli)を祀ることで知られます。その歴史的意義と芸術的価値により、観光客だけでなく研究者にも評価される宗教建築です。

ローマ観光といえばコロッセオが有名ですが、実はそのすぐ近くに、知る人ぞ知る「穴場スポット」としてこの教会があります。徒歩わずか数分の距離にあり、観光の合間に気軽に立ち寄れるアクセスの良さも魅力です。

比較的短時間で見学できるため、「あまり時間はないけれど、印象に残る体験をしたい」という方には特にぴったりでしょう。

入場は無料で、内部にはミケランジェロが手がけた壮大な傑作「モーゼ像」が静かに佇みます。
その圧倒的な存在感に、思わず足を止めて見入ってしまうことでしょう。

以下に、見学に役立つ基本情報をまとめました。

営業時間
  • 8時〜12時30分
  • 15時〜19時
休館日年中無休(※ミサ中は内部見学が制限される場合あり)
入場料金

無料(予約不要)

入口に寄付ボックスあり。お気持ちで寄付可能です。

見どころ
  • ミケランジェロ作《モーゼ像》
  • 聖ペトロの鎖(Vincoli)
  • 天井画《聖ペトロの鎖の奇跡》(Giovanni Battista Parodi 作)
所要時間約15〜30分
最寄駅とアクセス
  • 地下鉄B線「コロッセオ駅」より徒歩約5分
  • コロッセオより徒歩約10分
その他
  • 館内は写真撮影可能(フラッシュは使用不可)
  • 服装の規定あり:肩や膝が隠れる服装が望ましい

各項目については、次の章から順に詳しく解説していきます。

ミケランジェロの傑作「モーゼ像」|この教会最大の見どころ

サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会の中で最も注目を集めるのが、教会最奥部の右手側に静かに設置された、ミケランジェロ作の《モーゼ像》です。

ミケランジェロ作の《モーゼ像》

この像は、ローマ教皇ユリウス2世によって1513年から制作が始まり、1545年に現在の形式で完成しました。

これは、ローマ教皇ユリウス2世の墓廟(トンバ・ディ・ジュリオ2世)の中央に据えられた像で、訪れた誰もが思わず足を止めて見入るほどの迫力を放っています。

教皇ユリウス2世の霊廟

もともとこの霊廟は、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂内に大規模な形で設置される予定でしたが、ミケランジェロの多忙や教皇庁の方針変更などによって計画は縮小され、最終的にサン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会に移されました。ミケランジェロはこの長期にわたる計画変更に苦しみ、「人生最大の悲劇」と語ったとも伝えられています。

高さ約2.35メートルのこの像は、全身を覆う衣のひだや、右腕に浮かぶ筋肉の緊張感に至るまで、ミケランジェロの彫刻技術の粋を集めた作品です。特に髭の表現は、静と動の両方を感じさせる細密な彫りが印象的です。

ミケランジェロ作の《モーゼ像》

像の頭部には、角のような突起が見られます。これは旧約聖書「出エジプト記」のラテン語訳において、「光を放つ」という記述が「角を持つ」と誤訳されたことに由来しています。ミケランジェロはあえてその伝承に基づいた造形を選びました。

モーゼは、怒りをこらえるかのように髭を強く握りしめ、律法の石板を膝に抱えながらも立ち上がろうとする一瞬を捉えています。これは、偶像崇拝に怒り、石板を砕く直前の姿だとも考えられています。視線はやや左上方を向いており、光の入り方や鑑賞位置によって表情の印象が変化するのも、この像の魅力の一つです。

霊廟全体の構成と周囲の像

完成した霊廟には複数の彫刻が配置されていますが、ミケランジェロ自身が手がけたのは、下段中央の《モーゼ像》と、その両脇に位置する《ラケル(左)》および《レア(右)》の3体のみです。

下段中央の《モーゼ像》《ラケル像》《レア像》

《ラケル》は「内面的な霊性」を、《レア》は「外的な行為や徳」を象徴しており、モーゼ像を中心に据えたこの三体の構成には、深い宗教的・哲学的意味が込められています。

当初ミケランジェロは40体以上の彫像によって霊廟を荘厳に飾る構想を描いていましたが、度重なる計画変更と制作中断の末、最終的にこのような縮小版に落ち着くこととなりました。

モーゼ像が据えられた墓廟全体は、上下2層構造になっており、ミケランジェロによる基壇の3体以外は助手や他の彫刻家の手によるものです。

教皇ユリウス2世の霊廟

中央上部には、パリオーネ(儀式用天蓋)を被って横たわる教皇ユリウス2世の像も彫られています。

教皇ユリウス2世の寝姿

その左右には聖母子像と寓意像が配置されており、死後の救済と神聖性を象徴する構成となっています。

教皇ユリウス2世の霊廟の上段左右2体の彫刻

これらを含めた全体構成を見ると、縮小されたとはいえ、ミケランジェロが目指した「構想の高さ」の一端を感じ取ることができます。教会内部の静かな空気と合わせて、彫刻一つひとつに込められた思想と技術を堪能してみてください。

教会内部の見どころ|モーゼ像以外にも注目ポイントあり

サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会の内部 中央身廊

サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会の見どころは、ミケランジェロの「モーゼ像」だけではありません。聖遺物・装飾建築・絵画・空間構成のすべてが高い芸術性で統一されています。

以下では、それらの注目ポイントを写真とともに紹介します。

聖ペトロの鎖と主祭壇

主祭壇の中央には、金色の格子の中に納められた「鎖(ヴィンコリ)」が展示されています。

聖ペトロの鎖が納められた主祭壇

主祭壇の前方には、聖ペトロの鎖を間近で拝めるよう、階段状に床が掘り下げられた構造になっています。これにより、ミサの際も祭壇と聖遺物が視認できるように工夫されており、信仰と美術が融合した空間演出といえるでしょう。

この鎖は、聖ペトロがエルサレムで投獄されていた際に用いられていたと伝えられるもので、奇跡的にローマで使われていた鎖と結合したとされる重要な聖遺物です。

聖ペトロの鎖が納められた主祭壇

鎖が納められている場所の周囲には、天使や聖人の彫像が左右に配置され、聖ペトロの解放を象徴的に表現しています。

聖ペトロの鎖が納められた主祭壇

上部には「主が御使いを遣わして私を解き放った(MISIT DOMINVS ANGELVM SVVM ET ERIPVIT ME DE MANV HERODIS)」というラテン語の碑文が刻まれています。

主祭壇と上部の碑文

バルダッキーノ(天蓋)と後陣のフレスコ画

主祭壇の上部を覆うように設けられているのが、4本の赤大理石の柱によって支えられた「バルダッキーノ(天蓋)」です。

バルダッキーノと後陣のフレスコ画

背後の半円形後陣(アプス)には、聖ペトロの奇跡や殉教を描いた壮大なフレスコ画が広がっています。画面中央には「天国の栄光」に囲まれたキリストや聖人たちが描かれており、視線を上に導く荘厳な演出が施されています。

これはサン・ピエトロ大聖堂のベルニーニ作のバルダッキーノを彷彿とさせる構造で、聖遺物の神聖さを際立たせる装飾建築となっています。

バルダッキーノと後陣のフレスコ画

中央身廊の天井装飾

中央身廊の天井には、18世紀の画家「ジョヴァンニ・バッティスタ・パロディ」による大規模なフレスコ画《聖ペトロの奇跡的解放》が描かれています。

中央身廊の天井装飾

天井の外枠には金色の装飾モールディングが施され、天井の奥行きを引き立てています。白を基調とした幾何学的な天井装飾と、色彩豊かなフレスコ画との対比が、空間全体に荘厳で劇的な印象を与えています。

フレスコ画の場面は、新約聖書「使徒行伝」第12章に記されたエピソードに基づいており、教会の名称「イン・ヴィンコリ(鎖の聖ペトロ)」とも直接関連しています。

中央身廊の天井装飾

アクセス|コロッセオから徒歩数分の立地

サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会は、ローマ中心部の閑静な丘の上に位置し、地下鉄駅や人気観光スポットからも徒歩圏内です。

コロッセオからの観光ついでに立ち寄るのにも最適な立地にあります。以下に、周辺の駅やランドマークからのアクセス時間をまとめました。

  1. ① 「Colosseo駅(コロッセオ駅)」地下鉄B線の最寄駅で、教会まで徒歩約5〜6分。若干坂道を少し上がるルートになります。

  2. ②「Cavour駅(カヴール駅)」地下鉄B線のもう一つの最寄駅で、教会まで徒歩約15分と少し遠いですが、やや落ち着いたルートからアクセス可能です。

  3. ③「コロッセオ」と「フォロ•ロマーノ」フォロ・ロマーノ東口から徒歩約15分、コロッセオからは徒歩約10分程度です。

以下にGoogleマップを埋め込んでいますので、現地でのナビゲーションにもご活用ください。

開館時間・入場料・マナーなどの基本情報

サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会の開館時間や入場料、ミサの時間帯など、見学に必要な基本情報を以下にまとめました。ミサ中は一部エリアの見学が制限されるため、訪問時間にはご注意ください。

開館時間(見学可能時間)

  • 【冬時間】 午前 7:30〜12:20/午後 15:00〜17:50(毎日)
  • 【夏時間】 午前 7:30〜12:20/午後 15:00〜18:50(毎日)

日曜・祝日の午前のみ 9:00〜12:00 に短縮されますが午後は通常どおり営業。

基本的に年中無休(定休日なし)で開館しています。

ミサ(Sante Messe)の時間

  • 平日(Feriale):毎朝 7:30
  • 日曜・祝日(Festivo):11:00

入場料とマナー

  • 入場料:
    無料(予約不要)
  • 写真撮影:
    基本的にOK(フラッシュ・三脚禁止)
  • 服装マナー:
    露出の多い服(短パン・タンクトップ)は不可
  • ミサ中の見学:
    立ち入り制限があるため注意

所要時間の目安とおすすめの回り方

サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会の見学所要時間は、モーゼ像を中心に短時間で見学するなら15〜20分ほど、聖ペトロの鎖や後陣のフレスコ画、天井装飾などもじっくり見たい場合は、30〜40分程度を見ておくのが安心です。

バチカンやコロッセオのような観光名所と比べると、この教会は混雑が少なく、基本的に入場制限がかかるような状況にはなりません。観光客が集中する時間帯でも、教会全体が静かな雰囲気を保っており、比較的ゆったりと見学できる穴場的スポットといえます。

とはいえ、モーゼ像は人気が高いため、午前10時〜正午頃には団体観光客が一時的に増える傾向があります。静かに鑑賞したい方や写真をじっくり撮影したい方は、午前中の早い時間帯(7:30〜9:30頃)や、午後の再開直後(15:00〜16:30頃)を狙うのがおすすめです。

また、日曜・祝日の午前中はミサが行われるため、主祭壇周辺への立ち入りが制限される場合があります。見学目的の場合は、ミサの時間(特に日曜11:00)を避けて訪問するのが無難です。

この記事への質問と回答一覧

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