サンタ・マリア・マッジョーレ教会の完全ガイド|入場料・予約方法・入り方・ 所要時間と内部の見どころ
ローマ四大バジリカのひとつ「サンタ・マリア・マッジョーレ教会」は、テルミニ駅から徒歩圏内でアクセスできる人気観光スポットです。
本記事では、入場料や営業時間、予約方法(チケット予約)、入り方から、内部の見どころ(黄金の天井・5世紀モザイク・礼拝堂・聖なる扉)、所要時間までを写真付きで詳しく解説します。
サンタ・マリア・マッジョーレ教会とは?

サンタ・マリア・マッジョーレ教会(Basilica di Santa Maria Maggiore)は、ローマにあるカトリック教会で、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂などと並ぶローマ四大バジリカのひとつです。4世紀に建設が始まり、5世紀に現在の規模へと整えられたとされ、長い歴史の中で幾度も修復と増改築が行われてきました。
この教会は「雪の奇跡」の伝説で有名です。伝承によれば、ローマの真夏である8月5日に聖母マリアの啓示を受けたローマ教皇リベリウスと貴族夫妻が、雪の降った場所に教会を建立するよう導かれたといいます。この出来事を記念して、毎年8月5日には祭儀の中で白い花びらが天井から舞い落ちる特別な儀式が行われています。
現在の外観はルネサンスやバロックの改修が加わったものですが、内部には5世紀のモザイクや荘厳な天井装飾、貴重な礼拝堂などが保存されており、ローマを代表する宗教芸術の宝庫となっています。
以下に、見学に役立つ基本情報をまとめました。
| 営業時間 |
一部エリアは営業時間が異なります。 |
|---|---|
| 休館日 | 年中無休 ミサや特別儀式中は内部見学が制限される場合あり |
| 入場料金 | 無料 入口に寄付ボックスあり。お気持ちで寄付可能です。 |
| 見どころ |
|
| 所要時間 | 約30〜60分 |
| 最寄駅とアクセス |
|
| その他 |
|
| 公式サイト | Papal Basilica of Saint Mary Major |
各項目については、次の章から順に詳しく解説していきます。
入場料・営業時間・ミサ・服装・マナー

ここでは「サンタ・マリア・マッジョーレ教会」の入場料・開館時間・服装・マナーなど、見学情報を中心に紹介します。
入場料金 | 無料見学エリアと有料見学エリアについて
サンタ・マリア・マッジョーレ教会は基本的に無料で内部の大部分を見学可能です。
荘厳な装飾や初期キリスト教時代の貴重なモザイク画など、多彩な見どころを自由に楽しめます。
一方で、大聖堂に付属する博物館や地下考古エリア、屋上テラスなどの一部エリアは有料で、別途チケットの購入が必要です。チケットは公式サイトまたは大聖堂正面ポルティコ(柱廊)下の受付で購入でき、予約済みの場合は予約専用入口から入場できます。
主な有料見学スポット
- 博物館エリア
- 地下考古エリア
- パノラマテラス
- オーディオガイド付き入場
上記有料見学エリアの料金と見学可能範囲は以下の通りです。
有料エリア料金一覧
| 見学スポット | 料金 | 含まれるエリア・内容 |
|---|---|---|
| 博物館エリア |
| 祝福のロッジャ、教皇の間、ベルニーニの階段、リベリアン博物館 |
| 地下考古エリア(ガイドツアー) |
7歳未満は参加不可/歩行困難者には非推奨(車椅子用別ルートあり) | 地下の降誕の洞窟や発掘遺構を巡る約50分のガイド付きツアー |
| パノラマテラス |
7歳未満不可/心臓疾患・妊娠中・高所恐怖症・閉所恐怖症の方は非推奨/悪天候時は中止 | 大聖堂屋上からの360°展望(約30分、スタッフ同行)+博物館エリア自由見学 |
| オーディオガイド付き入場 |
実際の博物館入場は別料金/予約専用入口からの入場可 | 館内主要スポットの多言語解説(伊・英・西・仏・独)、通常非公開エリアの解説 |
営業時間とミサ時間(見学制限)
サンタ・マリア・マッジョーレ教会内部の見学は 7:00〜20:00(最終入場19:30)の時間帯で毎日可能です。
ただし、有料エリア(博物館エリアや考古学エリア)は、月〜土曜は8:00〜19:30(最終入場19:00)、日曜は12:30〜17:30(最終入場17:00)と、教会内部とは営業時間が異なります。最新の営業時間は公式サイトの訪問案内ページでご確認ください。
また、毎週日曜および祝日には教皇祭壇でミサ(10:00/12:00/18:00)が行われ、その時間帯は中央祭壇周辺が参列者専用となり、観光目的での立ち入りや撮影はできません。堂内全体も静粛が求められるため、ゆっくり見学する場合はこれらの時間帯を避けるのがおすすめです。
服装や写真撮影などのマナー
サンタ・マリア・マッジョーレは現役の礼拝施設であり、観光だけでなく日々のミサや祈りが行われています。見学の際は以下のマナーを守りましょう。
・服装規定肩や膝が露出する服装(ノースリーブ・ショートパンツ・ミニスカートなど)は入場を断られる場合があります。薄手の羽織やストールで対応可能です。
・帽子・サングラス堂内では帽子やサングラスを外します。
・写真撮影フラッシュや三脚、自撮り棒の使用は禁止。ミサや礼拝中は撮影不可です。
・会話・音量堂内は静粛を保ち、大声での会話や電話は控えましょう。
・飲食・喫煙堂内での飲食・喫煙は禁止です。
・荷物大きな荷物やスーツケースは持ち込み不可。入口のセキュリティチェックで止められる場合があります。
※特別典礼や公式行事の際は、観光客の立ち入りが制限されることがあります。
行き方・アクセスと入場レーンについて

サンタ・マリア・マッジョーレ教会はローマ中心部に位置しています。最寄りのテルミニ駅から徒歩約5〜10分でアクセスでき、周辺観光の拠点として便利な立地です。
テルミニ駅周辺に宿泊している方は、朝食前の散歩感覚で訪れることができるほか、教会を朝一で見学したあとに徒歩で他の主要観光地へ移動できるのも大きな魅力です。以下のスポットはいずれも徒歩圏内にあります。
- コロッセオ(Colosseo)まで徒歩約15〜18分
- フォロ・ロマーノ & パラティーノの丘まで徒歩約15〜20分
- ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂(ヴィットリアーノ)まで徒歩約20分
- バルベリーニ広場(Piazza Barberini)まで徒歩約15分
- 共和国広場(Piazza della Repubblica)まで徒歩約8分
このようにサンタ・マリア・マッジョーレ教会は、午前中に教会を見学 → 午後は古代遺跡や広場巡りといった観光ルート作りに非常に適した出発点となっています。さらに教会は朝7時からオープンしているため、午後の便でローマを離れる場合でも、出発前の限られた時間で立ち寄れる朝一スポットとしても便利です。
3つの入場レーンと入り方
サンタ・マリア・マッジョーレ教会への入場は、建物の南側に設けられたレーンから行います。テルミニ駅方面から訪れると北側に最初に到着するため、建物外周に沿って南側へ回り込んでください。

正面に向かって右手(西側)から反時計回りに回り込むルートの方が、南側入口まではやや近道になります。
南側入口には、利用目的に応じた3つの入場レーンが設けられています。

各レーンの種類と現地での英語表記は以下の通りです。
・一般入場レーン
(BASILICA PAPALE – Entrance without reservation)一番左側のレーン。事前予約なしで訪れる方はこちらを利用します。入場は無料で、大聖堂の主要部分を見学可能です。・ミサ参列者レーン
(PILGRIMS – Holy Door)中央のレーン。観光ではなく、ミサに参加する信者・礼拝者専用です。旅行者は利用できません。・予約者専用レーン
(POLO MUSEALE LIBERIANO – Entrance with reservation)一番右側のレーン。有料エリアのチケットやオーディオガイドを予約した方が利用できます。混雑時でも待ち時間を短縮できるメリットがあります。
観光で訪れる多くの方は、一般入場レーンから無料エリアのみを見学します。コロッセオやバチカン美術館のように30分以上待つことはほとんどありません。
ただし、観光シーズンの昼間や日曜ミサの前後は混雑することもあるため、有料エリアを予約して「予約者専用レーン」を利用すればスムーズに入場できます。
なお、どのレーンからでも入場前には必ずセキュリティチェック(荷物検査)があります。スーツケースや大型荷物は持ち込みできないため、宿泊先に預けるなどしてから訪問してください。

セキュリティチェックを抜けて奥にある入口から教会内部に入場できます。
有料エリア見学前の受付場所と当日券売り場
事前のチケット予約なしで、無料エリアのみを見学される方は受付に立ち寄る必要はありません。そのまま奥の教会内部(無料見学エリア)へ進み、自由にご見学いただけます。
一方、以下のいずれかに該当する方のみ、教会入口を入ってすぐの前廊(ポルティコ)にある受付デスク(InfoPoint)にお進みください。
- 有料エリアの見学チケットを予約済みの方
- 当日券を購入して有料エリアを見学したい方
このうち「有料エリアの見学チケットを予約済みの方」は、予約時間の15分前までに「受付デスク」で予約書を提示の上で受付を行ってください。オーディオガイドを予約された方も、同じ受付で受け取ることができます。
下の写真は朝一番に撮影した受付の様子です。開場直後(午前7時ごろ)のため無人ですが、通常はこちらが受付や当日券購入場所になります。

2箇所デスクがありますが、基本は向かって右側の「INFO POINT」が受付となります。ただし混雑時や状況により、反対側が使用される場合もありますので、当日の案内に従ってください。
続いて、以下の平面図でも受付デスクの位置をご確認ください。

この章の内容をまとめると、無料エリア見学の方は受付不要(チケット不要)でそのまま自由に見学開始してOK、有料エリア見学の方は受付デスクに立ち寄る、この違いだけ覚えておけば十分です。
サンタ・マリア・マッジョーレ教会の入場予約は必要?|チケット予約方法と待ち時間

結論から申し上げます。サンタ・マリア・マッジョーレ教会の見学に事前予約は不要です。朝早い時間帯であればほとんど並ばずに入場でき、日中でも10〜15分程度、夏場ピークでも30分以上待つケースは稀です。
一方で、博物館・考古学エリア・パノラマテラスなどの有料エリアや、オーディオガイドを利用する場合は事前予約がお勧めです。予約すると右端の「予約者専用レーン」から入場でき、現地でチケット窓口に立ち寄る必要もなくスムーズです。
予約者レーンの利用が可能となる「有料エリア」の概要と料金は以下の表を参考にしてください。
有料エリア料金一覧
| 見学スポット | 料金 | 含まれるエリア・内容 |
|---|---|---|
| 博物館エリア |
ガイドは含まれません | 祝福のロッジャ、教皇の間、ベルニーニの階段、リベリアン博物館 |
| 地下考古エリア(ガイドツアー) |
7歳未満は参加不可/歩行困難者には非推奨(車椅子用別ルートあり) | 地下の降誕の洞窟や発掘遺構を巡る約50分のガイド付きツアー |
| パノラマテラス |
7歳未満不可/心臓疾患・妊娠中・高所恐怖症・閉所恐怖症の方は非推奨/悪天候時は中止 | 大聖堂屋上からの360°展望(約30分、スタッフ同行)+博物館エリア自由見学 |
| オーディオガイド付き入場 |
実際の博物館入場は別料金/予約専用入口からの入場可 | 館内主要スポットの多言語解説(伊・英・西・仏・独)、通常非公開エリアの解説 |
特に「地下考古学エリア」はガイドツアー制、「パノラマテラス」はスタッフ同行のため、いずれも人数制限があります。そのため、当日に満席で参加できない場合もあります。確実に有料エリアも見学したい方は事前予約がおすすめです。
一方、無料エリアのみを見学する場合は予約制度はなく、一般レーン(左端)からそのまま入場できます。
また、オーディオガイドは博物館エリアの解説用となるため、利用には博物館入場チケットの別途購入が必須です。さらに日本語には対応していないため、言語に不安がある旅行者にとっては活用しづらいのが実情です。
一方で、博物館エリアは有料エリアの中で唯一自由に見学できるスポットであり、「祝福のロッジャ」や「教皇の間」、「ベルニーニの階段」など見どころも豊富です。そのため、混雑回避や充実した見学を希望する場合は、オーディオガイドに頼るよりも、博物館エリア(€7.50)のチケットをオーディオガイドなしで予約する方が実用的でおすすめです。
予約方法を紹介【公式サイト&日本語対応サイト】
サンタ・マリア・マッジョーレ教会の有料エリアやオーディオガイドの予約は、公式予約サイト「Vatican Museums Online Ticket Office」から行うのが正規ルートです。
このサイトは本来「バチカン美術館のチケット販売」がメインですが、同じシステムを利用して「サンタ・マリア・マッジョーレ教会」の博物館・考古学エリア・パノラマテラス・オーディオガイドなども予約できます。予約すると当日は右端の予約者専用入口(優先入場レーン)からスムーズに入場可能です。
予約手順はシンプルで、訪問日と人数を選択後「CONFIRM」をクリックすると、予約可能なエリアやツアーの一覧が表示されます。希望の項目を選択して支払いを済ませれば予約完了です。ページは英語表記ですが、操作の流れはバチカン美術館のチケット予約とほぼ同じです。
英語操作に不安がある方は、当サイトの解説記事「バチカン美術館チケット予約方法を徹底解説」も参考にしてください。
日本語対応の予約サイト(Tiqets)

英語ページでの予約に抵抗がある場合は、Tiqetsの「サンタ・マリア・マッジョーレ教会: 優先入場 + ミュージアム」ページの利用がおすすめです。
予約対象は博物館エリアのみですが、料金は公式サイトと同額の€7.50で、日本語で完結できるのがメリットです。公式サイトの英語操作に不安がある方や、博物館のみを確実に予約したい方には便利な選択肢です。
なお、Tiqetsで予約する際に指定するのは博物館エリアの入場日時です。指定時間の15分前までに教会内部の受付デスクに立ち寄れば、好きなタイミングで予約者専用レーンから入場可能です。さらに、予約完了後は即座にEチケットをダウンロードできるため、現地で引き換えの手間もなく安心です。
有料エリアを予約した場合の「受付デスク」は以下の教会の平面図を参考にしてください。

当日は受付デスクで予約時間の15分前までに「Eチケット(予約書)」を提示し、スタッフの案内に従って見学を開始してください。
【無料エリア】教会内部の見どころ
サンタ・マリア・マッジョーレ教会の内部は、長い歴史と多彩な芸術が融合した壮麗な空間です。5世紀から受け継がれるモザイクや、コロンブスが新大陸から持ち帰った金で飾られたと伝わる黄金の天井、そしてローマを代表する礼拝堂群など、見どころが凝縮されています。
本章では、特に注目すべき黄金の天井、5世紀のモザイク、ボルゲーゼ礼拝堂とシスティーナ礼拝堂、そしてベルニーニの墓について、写真とともに詳しくご紹介します。
主祭壇とバルダッキーノ|堂内のハイライト

サンタ・マリア・マッジョーレ教会の中央奥に位置する主祭壇は、堂内で最も荘厳な空間のひとつです。祭壇全体を覆うのは、高さ約14メートルの壮麗なバルダッキーノ(天蓋)で、4本のねじれ柱が支える構造は、古代ローマのソロモン神殿を想起させるデザインです。これらの柱は赤色を帯びたブロッチャトゥーラ大理石で覆われ、金色の装飾と精緻な彫刻が施されています。
現在のバルダッキーノは18世紀半ば、建築家フェルディナンド・フーガによって制作されたもので、祭壇下には「聖なるゆりかご(Cradle of the Nativity)」と呼ばれる聖遺物が安置されています。この聖遺物は、イエス誕生の際に用いられたと伝わる飼い葉桶の木片で、巡礼者にとって特別な崇敬対象です。
見学時は、正面からだけでなく左右の通路からも眺めると、バルダッキーノ越しに後陣モザイクや金色の天井との調和が一望できます。特に午前中の自然光が差し込む時間帯には、金の装飾が柔らかく輝き、祭壇全体が幻想的な雰囲気に包まれます。
地下礼拝堂(降誕の洞窟)|飼い葉桶の聖遺物

サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の地下礼拝堂は、「降誕の洞窟(Crypt of the Nativity)」と呼ばれ、ベツレヘムの生誕教会を模して設計された神聖な空間です。ここには、キリストが生まれたとされる飼い葉桶の木片の聖遺物が、豪華な聖遺物容器(聖櫃)に納められています。
この聖遺物容器は銀と金で精巧に作られ、上部には幼子イエス像が横たわる姿が配置されています。背景の赤い幕と金の星々は、キリストの誕生を象徴する夜空を表現しています。左右にはガラスの花瓶が置かれ、荘厳な雰囲気を高めています。
礼拝堂内には、19世紀の教皇ピウス9世(Pius IX)の祈りの姿を刻んだ大理石像も安置されており、彼がこの場所を特に敬愛していたことを示しています。

像は教皇がひざまずき、両手を組んで祈る姿で表され、周囲の大理石装飾やモザイクと調和しています。
この場所は、クリスマスシーズンには特に多くの巡礼者が訪れ、降誕の場面を偲びながら祈りを捧げる重要な信仰スポットとなっています。
黄金の天井|コロンブス帰還の金で装飾された伝承

サンタ・マリア・マッジョーレ教会の身廊上部を覆う格天井は、15世紀末に完成した木製構造で、全面に金箔が施された豪奢な造りが特徴です。規則的に並ぶ格子状のパネルには、精緻な浮き彫り装飾とともに、当時の教皇アレクサンデル6世(ボルジア家)の紋章があしらわれています。設計はルネサンス期の建築家ジュリアーノ・ダ・サンガッロが手掛け、堂内に入った瞬間に視線を奪う壮麗な空間を演出しています。
この天井を彩る金には、興味深い伝承が残されています。1492年に新大陸からコロンブスがスペインへ帰還した際、最初に持ち帰った金の一部がスペイン王フェルナンド2世と王妃イザベラから教皇に献上され、その黄金がこの天井の装飾に用いられたというものです。史実としての確証は乏しいものの、大航海時代の栄光と教会の権威を象徴する物語として、今なお多くの人々を惹きつけています。
見学の際は、中央通路の中ほどに立ち、天井の縦軸を正面から見上げると、金箔の輝きとボルジア家の紋章が一直線に並ぶ様子を堪能できます。自然光が差し込む時間帯には、金がわずかに赤みを帯び、昼と夕方で異なる表情を見せるのも魅力です。
5世紀モザイク|後陣に残る初期キリスト教美術

主祭壇背後の半円形後陣を飾るモザイクは、5世紀半ばに制作された現存最古級のキリスト教モザイク装飾です。後陣全体には、聖母マリアの栄光と救済史をテーマにした壮大な構図が広がり、金地に輝く色彩豊かなガラス片が1500年以上の時を超えて輝きを放っています。
全体構成は、上段に「聖母戴冠」や天界の玉座に座すキリストとマリア、周囲に侍る天使たち、そしてラテン語銘文による賛歌が描かれます。下段には、写真にも見える「聖母の永眠(ドミティオ)」の場面が広がり、眠るマリアを囲む使徒たちと、マリアの魂を幼子の姿で抱くキリストが印象的です。左右には天使の群像や都市・建物の描写もあり、当時の信仰と芸術が融合した空間を形成しています。
後陣全体は、天上界(聖母戴冠)から地上界(聖母永眠)へと視線を導く縦の流れを持ち、観る者に救済の物語を直感的に伝える構成です。写真の部分では特に、天使の羽や衣のドレープの緻密さ、金地に散らされた星々の輝きが鮮明に確認でき、5世紀の職人たちの高度な技術を実感できます。
礼拝堂の見どころ|ボルゲーゼ礼拝堂とシスティーナ礼拝堂
サンタ・マリア・マッジョーレ教会内部には、歴史・芸術・宗教観を深く味わえる礼拝堂が点在します。その中でもとりわけ注目すべきは、「ボルゲーゼ礼拝堂」と「システィーナ礼拝堂」です。どちらも荘厳な造形と象徴的な意味を帯び、訪問者の感動を誘います。
ボルゲーゼ礼拝堂

この礼拝堂は、パオロ5世(ボルゲーゼ家出身)の命を受け、調度1611年に建築家フラミニオ・ポンツィが設計し、1612年に完成したもので、教会の右側身廊側にあります。ギリシャ十字型の平面を持ち、コリント式のピラスターが4本の大アーチを支え、上部にドームが載る構成です。
内部は多彩な大理石、金彩装飾、青みを帯びた祭壇台、光を浴びるブロンズやスタッコの天使像で華やかに彩られており、非常にバロック的な情熱と自由さを感じさせます。ボルゲーゼ礼拝堂特有のデザイン性は、“より大胆で自由なスタイル”と評されています:。
システィーナ礼拝堂

サンタ・マリア・マッジョーレにあるもう一つのシスティーナ礼拝堂は、通称「降誕の礼拝堂」として知られ、1585~1587年頃、教皇シクストゥス5世の依頼により建てられました。建築はドメニコ・フォンターナによるもので、こちらもギリシャ十字型でドーム構造を持ちます。
礼拝堂内には「降誕のオラトリオ」を模した構造や、ギルディングされたブロンズ製の聖櫃(タベルナクロ)が配置され、ベツレヘムの飼い葉桶を連想させる神学的象徴性が強調されています。また、絵画装飾はキリスト教信仰で重要な聖母マリアの勝利(プロテスタント論争への反応)を描いており、意図的に理解しやすく構成されているのが特徴です。
ベルニーニの墓|サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂に眠る巨匠

サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の右側廊には、バロック期を代表する彫刻家・建築家「ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(1598-1680)」の墓があります。墓碑は大理石製で、上段にはラテン語で『芸術とローマの誉れ、ここに謙虚に眠る』と刻まれ、下段にはベルニーニ家の紋章が描かれ、「高貴なるベルニーニ家、ここで復活を待つ」と記されています。
意外なことに、この墓はきわめて質素で、観光客が見過ごしてしまうほど目立たない造りです。これは生前のベルニーニ自身の遺言によるもので、栄光の人生を送ったにもかかわらず、死後は謙虚でありたいという信仰心の現れとされています。
ベルニーニは、サン・ピエトロ大聖堂の主祭壇上にそびえる巨大なブロンズ製天蓋(バルダッキーノ)や、広場を包み込むように設計された半円形の壮大な柱廊など、ローマを象徴する数々の傑作を生み出した巨匠です。その芸術の頂点を極めた彼が、最後の眠りの場所として選んだのが、この大聖堂の静かな一角でした。
聖なる扉(ポルタ・サンタ)

サンタ・マリア・マッジョーレ教会の正面ファサード右手側には、「聖なる扉(ポルタ・サンタ/Porta Santa)」と呼ばれる特別な扉があります。ローマ四大バジリカそれぞれに設けられたこの扉は、通常は石積みで封印され、外観のみ見学可能です。
封印が解かれるのは、ローマ教皇が定める「聖年(Jubilee)」期間中のみで、儀式は教皇自らが執り行います。聖年にこの扉を通って入堂することは、カトリック信徒にとって特別な恩寵を受ける巡礼行為とされています。直近では2025年が聖年にあたり、1月1日に扉が開かれ、12月28日に再び封印される予定です。
現在の聖なる扉は2001年に設置されたブロンズ製で、マリア信仰や教会史にまつわる場面が精緻に浮き彫りされています。訪問時は封印された状態でも、その装飾を間近に鑑賞でき、歴史と信仰の重みを感じられるスポットです。
※聖なる扉は教会正面階段を上がり、右側に位置します。通常は自由に近づけますが、宗教行事や準備期間中は立ち入りが制限されることがあります。
有料エリアの見どころ
無料エリアだけでも十分に見応えのあるサンタ・マリア・マッジョーレですが、さらに奥深い歴史と芸術を体感できるのが有料エリアです。普段は立ち入れない博物館や地下遺構、そして屋上テラスなど、多彩な特別見学ルートが用意されています。
なお、記事内の「入場料金|無料見学エリアと有料見学エリアについて」でも触れていますが、有料エリアの見学には別途チケットが必要です。ここからは、チケットを購入して見学できる有料エリアの各ポイントをご紹介します。
博物館(自由見学)
正式名称は「リベリアン博物館(Museo Liberiano)」。祝福のロッジャ、教皇の間、ベルニーニの階段など、大聖堂の通常非公開エリアを含む見学ルートを自由に回ることができます。展示室には、中世から近世にかけての聖具や絵画、法衣など、サンタ・マリア・マッジョーレの歴史と信仰を物語る貴重な品々が並びます。
2024年12月、聖年2025に向けて新たに3つの展示室が公開され、初期キリスト教から近世に至る美術・信仰の流れをテーマ別に紹介しています。特に「西洋のベツレヘム」ルームでは、1291年にアルノルフォ・ディ・カンビオが制作した世界最古の美術史上の降誕像や、聖ヒエロニムスの法衣などが間近で鑑賞可能です。他にも「雪の聖母」と「サルス・ポプリ・ロマーニの宝物」ルームでは、奇跡の雪の天井画や、歴代教皇が奉納した王冠や宝飾品などが展示されています。
さらに、右側廊下下に位置する宝物庫(Treasury)では、17〜18世紀のアーチ天井の下に、豪華な金工芸品が並びます。ガイドは付かないため、自分のペースでじっくり鑑賞したい方に向いています。
地下考古学エリア(ガイドツアー見学)
地下礼拝堂(降誕の洞窟)周辺の発掘遺構を見学できる、約50分間の公式ガイド付きツアーです。古代ローマ時代の大広間を中心に配置された複合施設で、床モザイクや温浴施設の加熱装置跡、幾何学模様の装飾壁画、農業暦を描いた極めて珍しいフレスコ画などが残されています。
ガイドは英語またはイタリア語で行われますが、視覚的に楽しめる展示が多く、宗教史や建築史、ローマ考古学に興味のある方におすすめです。7歳未満は参加不可で、階段移動が多いため歩行困難者には非推奨ですが、車椅子利用者向けの代替ルートも用意されています。
パノラマテラス 360°ビュー(スタッフ同行見学)
大聖堂屋上に上がり、ローマ市街を一望できる約30分のスタッフ同行見学。係員が先導し、安全に展望スポットまでエスコートしてくれます。天候が良ければ、バチカンのクーポラやコロッセオ方面まで見渡せる絶景が広がります。
見学後は、そのまま博物館エリア(祝福のロッジャ、教皇の間、ベルニーニの階段、リベリアン博物館)にも自由に入場可能です。
なお、心臓疾患や妊娠中の方、高所恐怖症・閉所恐怖症の方には非推奨で、7歳未満は参加不可です。また、悪天候の場合は中止されることがあります。
所要時間の目安(無料エリア・有料エリア別)
サンタ・マリア・マッジョーレ教会の見学時間は、無料エリアのみか/有料エリアを含めるかによって大きく異なります。旅行のスケジュールに合わせて目安時間を把握しておくと安心です。
■ 無料エリアのみ
- 約30〜45分:
中央身廊、祭壇、モザイク、礼拝堂など主要部分を撮影して一通り見学 - 1時間程度:
内部全体をゆっくり撮影して鑑賞する場合
短時間でも見学可能ですが、内部の芸術作品やモザイクをじっくり鑑賞するなら最低40分は確保しておくのがおすすめです。
■ 有料エリアを含める場合
無料エリアの見学時間に以下の所要も加えたのがおおよその目安です。
- 博物館エリア:
30〜45分(自由見学) - 地下考古学エリア:
約50分(ガイドツアー制) - パノラマテラス:
約30分(スタッフ同行+博物館自由見学含む)
無料エリアと合わせて見学すると、トータルで1.5〜2.5時間程度かかるのが一般的です。特に地下考古学エリアやパノラマテラスはツアー制・同行制のため、時間の短縮はできません。
多くの旅行者は無料エリアだけを見学して次の観光地へ向かいますが、歴史を深く知りたい方やリピーターの方は有料エリアも組み合わせて2時間以上の滞在を見込むと充実します。午後のフライトや次の予定がある場合は、時間に余裕を持って訪問するのがおすすめです。
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