旧市庁舎と天文時計 見どころと観光情報(プラハ)

プラハ

旧市庁舎は14世紀から19世紀にかけて建設された複数の異なる建物の集合体です。元々は一つの小さな市民の家を買取って市庁舎として利用していましたが、周囲の建物を買取って、増築を繰り返す事で、徐々に旧市庁舎は大きく拡張されていきました。

旧市庁舎の原型となる建物が完成したのは1338年の事でした。そして1364年には、旧市街広場の角地を買い取り、そこに時計塔を建設しました。更に西隣の「クシーシュ館」も買取り、旧市庁舎は次々に拡張されていきました。

しかし、第二次世界大戦の空爆により、建物の北側がほぼ全壊し、建物全体も深刻なダメージを受けました。

1945年に第二次世界大戦の空爆で大きな被害を受けた旧市庁舎

上の写真は、1945年に第二次世界大戦の空爆で、大きな被害を受けた時の旧市庁舎です。

その後、1978年から1981年にかけて大規模な修復作業が行われました。しかし、空爆で破壊された北側の建物は修復されず、現在は公園となっています。

現在、旧市庁舎では、塔の上からの景観を楽しめるほか、定期的に開催されている市庁舎の見学ツアーに参加する事ができます。

旧市庁舎のシンボル 時計塔

1364年に建てられた旧市庁舎のシンボルである時計塔は約70メートルの高さをほこります。これはかつて、敵の来襲に備えて見張り台として利用していたためです。

時計塔は、百塔の街と言われるプラハの中でも、エレベーターで上まで登る事ができる数少ない施設の一つです。塔の上からは旧市街広場を見下ろせるだけでなく、プラハ城も視界に捕える事ができます。

旧市庁舎の時計塔 南側の全景 時計塔の南側の全景です。

旧市庁舎の時計塔 東側の景観 時計塔の東側の景観です。夜の時計塔はライトアップされて黄金に輝いています。

時計塔の営業時間

□09:00〜22:00(※月曜のみ11:00〜22:00)

入場料金

□大人:130CKZ
□子供:80CKZ

時計塔の入場チケットは、天文時計の下(真横右)「THE TOWER」と紫色で書かれた看板が目印の建物内で購入するか、時計塔に向かって左側のオレンジ(ピンク)色の建物の3階で購入する事ができます。時計塔の入口もこのオレンジ色の建物になります。

時計塔のチケット売り場の位置関係 向かって左側のオレンジ色(ピンク)っぽい建物が時計塔の入口になります。チケットもこの建物の3階で購入できます。向かって右端に見えるのが時計塔です。時計塔の建物と、時計塔に登る際の入口が離れているため非常に分かりにくいです。

市庁舎のチケット売り場 正面入り口 時計塔の入口は「i」というマークが目印です。この建物はかつて「クシーシュ館」と呼ばれる一般人の家でした。建物中央にあるルネサンス様式のステンドグラス窓と、バロック様式の窓格子が非常に特徴的です。窓の上には、王冠をかぶったライオンが目印の市の紋章があり、その下には「プラハ国王の首都」という文字が刻まれています。

時計塔からの絶景

時計塔の上からの景観は、間違いなくプラハ旧市街の中でもベスト3に入る絶景スポットです。参考までに個人的にプラハの中で一番の絶景スポットは、カレル橋の旧市街側「橋塔」から見るプラハ城方面の景観です。

少し話がそれましたが、エレベーターで時計塔の上まで上がると絶景が待ち受けています。

時計塔から見る旧市街広場 北西側の景観

まずは旧市街広場の北西側の景観をご覧ください。ヤン・フス像とキンスキー宮殿が見えますね。

時計塔から見る旧市街広場 北西側の景観

続いて旧市街広場の北東側の景観です。ゴシック建築の代表作である聖ミクラーシュ教会が見えます。

時計塔から見るプラハ旧市街 中世の雰囲気漂うこんな景観も見る事ができます。オレンジに統一された街並みが、とても美しいです。

時計塔の上から見るティーン聖母教会 巨大なティーン教会も遥か下に見えます。ティーン教会側を順光で撮影したい場合は、午後3時すぎぐらいに塔に登るのがベストです。

時計塔から見るマラーストラナ地区

今度は旧市街広場の反対側にある「マラーストラナ地区」方面の景観です。奥の高台には「ペトシーンタワー」も見えます。

時計塔から見るマラーストラナ地区

そして大トリは、プラハ城が見えるこの景観です。この様に時計塔の上からは、360°のパノラマビューでプラハの街並みを一望する事ができます。

時計塔からの景観は如何でしょうか。プラハ旧市街には絶景を望める塔がいくつも存在します。しかし、特にこの時計塔と、カレル橋の橋塔からの景観は一押しです。カレル橋の橋塔にはエレベーターはありませんが、この時計塔はエレベーターで上まで行けるので、年配の方は特におすすめですよ。

天文時計と12使徒の人形

天文時計のメンテンスする人の写真

旧市庁舎のシンボルであり、観光の大きな目玉の1つがこの「天文時計」です。天文時計はチェコ北西部のカダン出身の「ミクラーシュ親方」によって制作されたと言われています。その後も何度か作り直しが行われ、現在の形となったのは16世紀後期の事です。

ニワトリが鳴き、12使徒が動き出すカラクリ時計

時計塔の南側の広場には定刻になると人だかりができます。これは一時間ごとに動き出すカラクリ時計を見学するためです。カラクリ時計は9時から21時までの間、一時間ごとに動き出します。

旧市庁舎のカラクリ時計 定刻になり死神が鐘を鳴らすと、いよいよカラクリ時計のスタートです。時計塔上部の二つの小窓が開いて、12使徒が次々と登場します。ただ、登場すると言っても、人形が飛び出してくるわけではあります。奥の方に申し訳なさげに登場する程度です。

カラクリ時計の十二使徒と金色の鶏 十二使徒の登場が終わると、ニワトリが鳴き小窓が閉まって終了です。数分で終わります。結構、動きは地味です。

12使徒のショー 市庁舎一階の礼拝堂では12使徒のショーを内側から見学する事ができます。

時計塔の人形のアップ写真 天文時計の12使徒を中から見た写真。現在の12使徒の人形は1945年の空爆で一度破壊された後に作り直されたものです。

旧市街広場で定刻にスタートするカラクリ時計と人形のパフォーマンスはわずか30秒〜1分程で終了します。正直な所、そこまで目を見張るほどの内容ではありません。ですので、偶然に通りかかった時間が定刻の0分に近い時だけ、立ち止まって見る程度がおすすめです。

時計塔の異なる2つの文字盤

12使徒が出現する小窓の下には、異なる文字盤を持つ2つの時計が上下に並び、それぞれの作られた時代の天文学に基づいて時間を示しています。

時計塔の二つの文字盤

時計塔上側の天動説に基づく文字盤の時計「プラネタリウム」 上側は「プラネタリウム」と呼ばれる時計です。地球を中心にして周囲を惑星がまわるという「天動説」に基づく時計版です。太陽、月、星などの天体の動きと年月日を示しています。

時計塔下側の黄道12宮に基づく文字盤の時計「カレンダリウム」 下側は「カレンダリウム」と呼ばれる時計です。天球上の黄道を中心に星の運行域を12等分した「黄道12宮」に基づく時計版です。中心の紋章を軸として、内側に十二星座、その外側に四季の農作業の風景が描かれています。

上の文字盤の左横に設置された人形 上の文字盤の左側に設置された2体の人形。左側が「虚栄」を表し、右側の人形は「貪欲」を表しています。

上の文字盤の右横に設置された人形 上の文字盤の右側に設置された2体の人形。左側が「死」を表し、右側の人形は「色欲」を表しています。

下の文字盤の左横に設置された人形 下の文字盤の左側に設置された2体の人形。左側が「歴史記録者」を表し、右側の人形は「天使」を表しています。

下の文字盤の右横に設置された人形 下の文字盤の右側に設置された2体の人形。左側が「天文学者」を表し、右側の人形は「哲学者」を表しています。

旧市庁舎の見学ツアーの紹介

旧市庁舎内を見学するには、ツアーに参加する必要があります。市庁舎内には「聖母マリアの礼拝堂」をはじめ、「市民ホール」「イジーホール」など多くの見どころが存在します。

旧市庁舎ツアーの見どころ

【聖母マリアの礼拝堂】

聖マリアの礼拝堂

旧市庁舎ツアーの見学は一階の「聖母マリアの礼拝堂」からスタートします。紫色を基調したステンドグラスが印象的です。ドアの両サイドには向かって左から「聖アンナ」「聖ヨゼフ」の像が飾られています。

市民ホール 【市民ホール】
かつてはこのホールは政治を司る場所として利用されました。正面奥の壁には、プラハの紋章が描かれた「タペストリー」が飾られています。ホールの内装は1945年の空爆で被害を受け、その時に全て改装されました。昔の装飾で現存しているのは、入口にあるドアの壁フレームだけです。

旧市議会ホール 【旧市議会ホール】
後期ゴシック様式の旧市議会ホールは、かつて裁判所として利用されていました。天井には16世紀のルネサンスの絵画が嵌め込まれています。このホールのシャンデリアはチェコで最初に電気化された貴重なものです。

議会ホールのロビー 【議会ホール】
議会ホールのリュネットには、アムステルダムの市庁舎にいる教育学者「ヤン・アーモス・コメンスキー(中央で左手を胸にあてている人物)」が描かれています。また、この絵の作者である画家の「ヴァーツラフ・ブロジーク」自身も絵の中に描かれています(右端の黒服に白襟)。

ブロジークの会議ホール 【ブロジークの会議ホール】
後期アールヌーボー様式の「ブロジークの会議ホール」は一軒家ぐらいの広さがあるため、非常に開放館のあるホールです。天井の高さも通常の建物の2倍はあり、両端の壁には巨大な絵画が飾れています。現在このホールはプラハ市長のセレモニーなどで利用されています。

イジーホール 【イジーホール】
イジーホールは、ボヘミア王の「イジー・ス・ポジェブラト」にちなんで名づけられたホールです。状態は良くありませんが、壁にはフレスコ画が描かれ、入口近くには聖母が子供を抱えている絵画も飾られています。

古代ローマ様式の地下道 【古代ローマ様式の地下道】
市庁舎には地下道が2つあります。その一つがこの「ローマ様式の地下道」です。かつてこの場所は地下牢として利用されていました。

ゴシック様式の地下室 【ゴシック様式の地下室】
ローマ様式の地下道の更に下に位置するのがこの「ゴシック様式の地下室」です。この地下室は第二次世界大戦中、軍事病院としても利用されました。

メインロビー 【メインロビー】
メインロビーは、天井や壁面に描かれたアールヌーボー様式のモザイク装飾が非常に美しい場所です。このモザイク画は19世紀の芸術家「ミコラーシュ・アレシュ」によって描かれました。第二次大戦中はヒトラーからこのモザイク画を守るため、白い石膏で隠していました。戦争が終わると再びモザイク画が公開される様になりました。

旧市庁舎ツアー 入口とチケット売り場

旧市庁舎ツアーの入口とチケット売り場は、非常に分かりにくいので、下記の写真とコメントを参考に、アクセスしてください。

旧市庁舎ツアーの入場口 赤枠で囲った所が旧市庁舎ツアーの入口です。時計塔に向かって左側の建物になります。

旧市庁舎ツアーの入場口 旧市庁舎ツアー入口の左側には「OLD TOWN HALL TOURS」と書かれた看板があります。チケットもこの中で購入する事ができます。

旧市庁舎ツアーのチケット売り場 旧市庁舎ツアーのチケット売り場です。残念ながらこの日はクローズドしていました。

旧市庁舎内の階段 チケット売り場を右手にして正面の階段です。

ほとんどの日本のガイドブックでは、この市庁舎ツアーについての詳細が記載されておりませんが、非常に見ごたえのある場所です。興味のある方は、是非当サイトを参考に見学ツアーに参加してみてください。非常におすすめの観光スポットです。

入場料金

□大人:250CKZ(オンラインで購入すると220CZK)
□子供:150CKZ

営業時間

□11:00〜18:00(※月曜のみ09:00〜18:00)

旧市庁舎と時計塔の見学を日本語で予約する場合

GET YOUR GIDE 旧市庁舎の見学と天文時計塔に登るツアー

旧市庁舎の見学ツアーと天文時計登るためのチケットを事前に日本語で予約したい場合、「GET YOUR GIDE」というサイトを利用すれば、わずかな手数料でチケットの日本語予約が可能です。

GET YOUR GIDEは2009年に設立された世界遺産や施設のツアーやチケット手配を行っている会社です。以前は日本語に対応しておりませんでしたが、ここ数年は日本語に対応し、日本の利用者も増えております。

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