ベルヴェデーレ宮殿の下宮を徹底解説 入口、見どころ、展示作品など
()
ウィーン本記事では、ベルヴェデーレ宮殿 下宮の観光情報や見どころについて詳しく解説致します。
上宮に関して知りたい方は、以下の記事にて詳しく解説しておりますので、参考にしてください。
下宮とは
ベルヴェデーレ宮殿の下宮は、上宮完成よりも7年早い1716年に建設されました。
元々、下宮には、歴代皇帝が収集した美術品が収蔵されていました。しかし、1891年にそれらの美術品は美術史美術館に移され、一時期は居城として利用されていました。
その後、1900年頃より再び美術館として開館され、現在の下宮は時期によって展示が異なる現代アートの企画展示がメインとなっています。
さらに隣接する「厩舎」と呼ばれる建物内では、中世の貴重な宗教画や彫像なども展示されています。
下宮の基本情報
営業時間と休館日
ベルヴェデーレ宮殿の下宮は年中無休です。
- ・午前10時~18時
チケット料金
料金は「オンライン予約時(現地購入時)」の形式で記載。現地購入の方が割高になります。
下宮(Lower Belvedere)
- ・14.6€(17€) - 一般大人
- ・10.9€(12.5€) - 66才以上
- ・10.9€(12.5€) - 25歳以下の学生
- ・無料 - 18歳以下
- ・4.0€ - 障害者カード保有者とその付き添い
- ・13.1€ - ウィーンシティカード保有者(オンライン購入の場合)
上宮と下宮の共通チケット
- ・25.9€(28,9€) - 一般大人
- ・21,6€(24,7€) - 66才以上
- ・21,6€(24,7€) - 25歳以下の学生
- ・無料 - 18歳以下
- ・5.0€ - 障害者カード保有者とその付き添い
- ・23.4€ - ウィーンシティカード保有者(オンライン購入の場合)
本チケットの有効期限は1日となります。「上宮」「下宮」の2つの施設に入場できます。
所要時間
下宮見学の所要時間は40~50分ほどが目安です。企画展の内容にもよりますが、上宮が絵画中心なのに対して、下宮では、彫刻やアーチスティックなオブジェクトなど、バラエティーに富んだ展示内容となっています。
部屋によっては広いスペースに数点しか美術品がないという事もあったり、部屋全体が一つの芸術作品としてアレンジされている場合などもあります。どちらにしても、確実に上宮よりは展示作品数は少ないので、短時間で見学できると思います。さっと回るだけなら20~30分ぐらいでも見学は可能だと思います。
下宮の入口とチケットオフィス
下宮はベルヴェデーレ宮殿の南側に位置しています。上宮から下宮までは徒歩で8分ほどの距離です。
下宮の入口は建物の北側、下宮に向かって左手側にあります。
入口には分かりやすく「belvedere」と書かれた赤い大きな垂れ幕がかかっているのが目印です。
建物の北側にはいくつか扉がありますが、下画像の様に「No entrance」となっている扉からは入場できません。
館内に入場すると「グロリエッテの間」という大きな広間に出ます。この広間の右手斜め奥が「チケットオフィス」になっているので、チケット購入がまだの方はここで購入してください。下宮のチケットだけなら当日の現地購入で全く問題ありません。
チケット購入した方、もしくは購入済みの方は、グロリエッテの間から入口を背にして、右手と正面奥に展示エリアがあります。お好きなルートから見学をスタートしてください。
下宮の見どころと展示作品
下宮の建物は大きく「本館部分」「オランジュリー」「厩舎」の3セクションで構成されており、各セクション毎でテーマの異なる作品が展示されています。
展示内容や作品位置は時期によって変わると思いますので、当日の館内での案内を頼りにして頂ければと思います。本記事では2019年8月訪問時の館内構成に沿って展示作品を紹介していきます。
グロリエッテの間
下宮に入場して最初に出るのがこの「グロリエッテの間」です。18世紀初頭のウィーンでは、壁や天井をグロテスク模様で飾るのが一般的でした。
広間の装飾は、アウグスブルク出身の画家ジョナス・ドレントウェット(Jonas Drentwett)が手掛け、天井には四季の装飾を施し、壁の四隅を金色のエレメントで飾りました。
窓のない壁には、ギリシャ神話のエピソードや登場人物を題材にした絵画「ウルカヌスの鍛冶場」や「三美神」なとが描かれています。これらの絵画のほとんどは、オリジナルの状態で保存されています。
大理石のギャラリー
グロリエッテの間から正面奥に進んで行くと、この「大理石のギャラリー」に出ます。
大理石のギャラリーは、プライベートガーデンに繋がる広間で、かつては「オイゲン公」の儀礼空間として利用されていました。
広間の壁には、オイゲン公の軍事的功績を示す漆喰彫刻で飾られ、天井のレリーフは、オイゲン公の栄光を表しています。
ゴールドキャビネット
「グロリエッテの間」「大理石のギャラリー」の順で進んで行くと、今度は「ゴールドキャビネット」に出ます。
この広間は、女帝マリア・テレジアによって、鏡と磁器で飾られた黄金の広間に改装されました。装飾のほとんどは、ウィーン1区ヒンメルプフォルトガッセという通りにある「オイゲン・フォン・ザヴォイエン」の冬の宮殿から運びこまれました。 この広間の装飾は、ほぼ1765年当時の状態を保っています。
ゴールドキャビネット見学後、更に奥に進んで行くと、長い通路があり、オランジュリーと呼ばれる建物へと繋がっています。この辺りから内装が一気に現代風になっていきます。
オランジュリー(企画展)
オランジュリーはヨーロッパの宮殿の敷地内に多く見られる柑橘系の植物を冬超えさせるための「温室」の事です。現在、下宮のオランジュリーは企画展やカフェの営業スペースとしてモダンに改築されており、現代的な雰囲気の中で個性あふれる芸術作品の数々を見学する事ができます。
展示内容は時期によって大きく変わりますが、絵画だけでなく、バラエティーに富んだ芸術作品が展示されています。私の訪問時2019年の8月には、極端に歪んだ顔の胸像制作で有名なドイツの彫刻家「フランツ・メッサーシュミット」の企画展示が行われていました。
プロジェクターを使用した映像も作品の一部として流れていました。
下宮の展示内容に関しては、ベルヴェデーレ宮殿の公式HP内の「Current Exhibition(英語)」ページにて随時確認可能です。
一通り見学した後は、オランジュリーの入り口付近に戻って、今度は隣接する「Palace Stables(厩舎)」に展示されている「Medieval Treasury(中世の宝物)」を見学します。下宮内にある展示作品は全て「下宮」のチケットのみで、追加料金などなく見学可能です。
また、下宮殿と隣接する「プライベートガーデン」と呼ばれる庭園が開放されていれば、オランジュリーの入口付近からアクセス可能です。
ただし、ベルヴェデーレ宮殿敷地内の上宮と下宮の間に広がる庭園と比べると、かなり狭く見劣りするので、敢えて見学する必要はないと思います。
厩舎(Palace Stables)
かつて、下宮の厩舎として使用されていたこのスペースは、現在「Medieval Treasury(中世の宝物)」の展示スペースとして利用されています。この展示エリアでは、中世の貴重な宗教画や彫像などを見学する事ができます。
ただし、展示作品に作者や説明の記載はなく、ただただ絵画や彫像が年代別に飾られています。
厩舎見学後は、再びスタート地点の「グロリエッテの間」に戻って、下宮の本館部分を見学します。
下宮 本館部分(企画展)
下宮の建物のメイン部分も、厩舎とは異なるテーマで企画展が行われています。私の訪問時は「キキ・スミス」という西ドイツ生まれのアメリカ人アーティストの作品展が開催されていました。自然や人間の関係をテーマに作品を製作しているそうです。
かなり斬新な現代アートで、空間全体を使って芸術を表現していました。
正座とも土下座とも取れるこんな作品もありました。
大理石の間
大理石の間は、下宮の本館部分の丁度中央に位置する広間です。かつてこの広間は、ゲストのレセプションエリアとして使用されていました。広間の壁は、オイゲン公の軍事司令官としての偉業や戦果を称える美術品と、太陽神アポロの生涯を描いた楕円形の石膏メダリオンなどが飾られています。
また、上写真の大きな彫像は、ウィーンのノイエル・マルクトにある「ドンナーの泉」を飾る彫刻のオリジナルです。オーストリア出身のバロック彫刻家「ゲオルク・ラファエル・ドナー」が手掛けました。
続いて、視線を上に向けると、美しい天井フレスコ画が飾れています。この天井画は、イタリア人バロック画家「マルティーノ・アルトモンテ」が手掛けた「太陽の戦車に乗ったアポロ」です。
下宮殿の見所は以上です。基本的には、その時の企画展の内容によって大幅に展示作品が変わってくると思います。
まとめ
下宮は上宮の様にこれぞ有名作品という美術品はなく、どちらかと言えば、絵画や美術に造形の深い方向けの展示内容となっています。
そういった意味で、企画展示の内容に興味のない方や滞在日数に余裕のない方は、無理に足を運ぶ必要はないと思います。ベルヴェデーレ宮殿を訪問される方も上宮だけ見学される方がほとんどです。
ただし、上宮の入場は時間指定制なので、もし待ち時間が長くなる場合などは、下宮見学は良い時間つぶしになると思います。
この記事をシェアする