ボロブドゥール寺院の行き方・ツアー・見どころ紹介

世界遺産ボロブドゥール寺院

インドネシア ジャワ島の世界遺産「ボロブドゥール遺跡群」は、カンボジアの「アンコールワット」、ミャンマーの「バガン遺跡群」と並び、世界三大仏教寺院の一つに数えられています。

ジャワ島中部に位置するボロブドゥール寺院は、当時その地域を支配していた仏教信仰のシャイレーンドラ朝によって、彼らの黄金期であった8世紀から9世紀にかけて建造されました。

その後、ボロブドゥールは密林に埋もれ歴史から姿を消しますが、再び1814年にイギリス人によって発見されました。以来、この謎めいた寺院には東南アジアの国々から絶えず多くの巡礼者が訪れ、世界中からも多くの旅行客が訪れる様になりました。

そして、寺院の完成から1000年以上経過した1991年、ボロブドゥールの仏教寺院群は、ユネスコの世界遺産に登録されました。

ボロブドゥール遺跡の基本情報

円壇の仏像

名称:ボロブドゥール寺院遺跡群

世界遺産の登録種:文化遺産(1991年登録)

所在国:インドネシア

入場料(大人):325,000ルピア(2,500円ぐらい)

営業時間:9:00〜17:00※ツアーに参加すると日の入りの時間に合わせて入場可能。

ボロブドゥールへの日本からのアクセスは結構大変ですが、時間をかけて訪れる価値のある場所です。また、遺跡のインパクトも凄いですが、ジャワ特有の料理や、ジャワニーズマッサージなど、ジャワ独自の見所が多くあります。個人的には非常におすすめの観光名所です。

日本からのアクセス方法

寺院内の仏龕と、その中の仏像

ボロブドゥール寺院の最寄り空港はジョグジャカルタにある「アジスチプト国際空港」か「アディスマルモ国際空港」になります。残念ながら日本からの直行便はありませんので、エア・アジア航空を利用して、シンガポール空港や、マレーシアのクアラルンプール空港経由で行く形になります。バリのデンパサール空港から国内線でのアクセスも可能です。

■バリ島からのツアーがおすすめ

ボロブドゥール遺跡の最寄り空港までは飛行機を乗り継げば容易にたどり着けますが、そこから寺院まで移動するのは個人だと結構大変だと思います。また、折角ジャワ島まで来たのなら同じくインドネシアの世界遺産「プランバナン寺院群」にも立ち寄りたい所です。いや絶対に立ち寄る事をおすすめします。

以上のポイントを踏まえますと、ボロブドゥール遺跡へのアクセスは、バリ島発のツアーへの参加がおすすめです。全て個人手配が信条の私も「ボロブドゥール」訪問時にはツアーを利用しました。ツアーは日帰りや1泊2日など、いくつか種類があります。ツアーの選び方については次項で詳しく説明致します。

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バリ島発のボロブドゥール行きツアー

バリ島からのボロブドゥール遺跡へのツアーは、「日帰り」と「1泊2日」の2種類があります。どちらのツアーも「ボロブドゥール遺跡」と「プランバナン寺院群」の両方を周遊してくれます。ではどちらを選べば良いのか、それぞれのツアー概要とメリット・デメリットを以下にまとめてみました。

【日帰りツアー】

□メリット
・1泊ツアーより料金が安い
・日帰りでバリ島に戻ってこれる。
□デメリット
・訪問客がピークの時間帯にボロブドゥール寺院を見学する事になる。
・朝焼けが見れない。
・バリ島から早朝便(朝6時頃発)での出発になる。

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【1泊2日ツアー】

□メリット
・朝一番の観光客がいない時間にボロブドゥール寺院を観光できる。
・朝焼けが見れる
・ボロブドゥール遺跡内に宿泊できる
・バリ島の朝の便(朝10時頃発)で出発できる。
・朝食後からチェックアウトまで徒歩で自由に遺跡を観光ができる。
□デメリット
・料金がが日帰りよりも15,000円ぐらい高くなる。

▶【おすすめツアー】世界遺産ボロブドゥールで朝日鑑賞!遺跡内のホテル宿泊(航空券/食事/専用車/日本語ガイド付)【1泊2日 】の詳細を見るicon

如何でしょうか。個人的には絶対に「1泊2日のツアー」がおすすめです。日帰りだと観光客がピークの時間帯に慌ただしく観光する事になります。何よりも「ボロブドゥール遺跡」の良さは早朝の静寂の中で初めて体感する事ができます(持論です)。ですので、日数に余裕があるのであれば15,000円ぐらいはケチらずに、是非1泊2日のツアーへの参加を検討して見てください。

■ツアー参加時の裏技

どの予約サイトを経由してツアーを予約しても、最終的には現地(ジョグジャカルタ)のツアー会社がツアーを運行する事になります。ですので、決められたツアー旅程はありますが、交渉次第では現地で自由にカスタマイズできる場合もあります。

どのツアーの旅程でも、「ボロブドゥール遺跡」と「プランバナン寺院群」は必ず観光しますが、それ以外の小さな寺院や工房見学なども旅程に含まれています。

正直言って、「ボロブドゥール遺跡」と「プランバナン寺院群」以外の寺院や王宮は、そこまで見応えがありませんし、工場見学もお土産を売るためのツアー会社の戦略の1つです。

ですので、私の場合、ガイドと運転手に交渉して、工場や世界遺産以外の寺院は全て旅程から外してもらいました。そして、空いた時間を、2つの世界遺産の観光時間に充てたり、ジャワニーズマッサージの店に連れて行ってもらったりしました。

ツアーのカスタマイズが可能かどうかの保証はできませんが、ダメ元で交渉してみると良いと思います。場合によっては、前もってチップを日本円で千円ぐらい渡しながら交渉するのもありかと思います。

ボロブドゥール寺院の構造と見所

ボロブドゥール寺院の外観

今から約1200年前、当時の人々は寺院の建設材料として、川から約200万個もの石を運びました。石は隙間なくモルタルなどの接着剤を一切使用せずに、ピラミッド状に積み上げられました。約120m四方に正方形の土台を築き、その上には5層の方形壇と3層の円壇をのせ、最上段には中心仏塔をのせるという壮大なものでした。

各層には回廊が巡らされ、その総距離は約5kmにも及びました。

最終的な寺院の高さは約40mにも達しましたが、現在は破損のため34mほどの高さとなっています。

このボロブドゥール寺院の全容を上空から眺めると巨大な曼荼羅の形をしており、とても1000年以上も前に建造されたとは思えないほど、綺麗な正方形をしています。

  • 積み上げられた切石

    隙間なく積み重ねられた切り石。接着剤を一切使用していない。この接着剤を一切使用しない建築様式はローマの水道橋などにもみられる。

  • ボロブドゥールのストゥーパー(仏塔)

    ストゥーパー(仏塔)も絶妙なバランスで石が積み上げられて作られている。石を削ってつくった接合面に絶妙なバランスで石がはまっている。

第三回廊のレリーフ。

第三回廊のレリーフ。城を出た釈迦が病人に出会う姿を表現したレリーフです。遺跡の壁面には約2600枚のレリーフが飾られています。

  • 寺院の階段

    正方形の四方各中央には入口となる階段がある。結構急な階段です。

  • ボロブドゥール第一回廊

    ボロブドゥール第一回廊の通路。壁には一面レリーフが彫られています。

  • ストゥーパ内の仏像

    ストゥーパ内の仏像。ストゥーパの隙間から中を覗くと座禅を組んでいる仏像が姿を現します。

  • 回廊の主壁上部の仏龕(ぶつがん)

    回廊の主壁上部には432の仏龕(ぶつがん)が備えられている。

円壇の上から見たボロブドゥール周辺

第三円壇からの景色。寺院の円壇まで登って下を見下ろしてみると、登った距離以上に高台にいる様に感じます。これはボロブドゥールが高い丘の上に築かれているためです。三つの円壇には上から16、24、36の合計72基の小ストゥーパが並んでいます。

  • 入口を守るライオン像

    入口を守るライオン像。寺院内には合計32体のライオン像が配置されています。手を降ろしているライオン像もいます。

  • 最上段には中心仏塔

    最上段の中心仏塔は絶好の記念撮影スポットです。

  • 寺院の拱門(アーチ)

    寺院の拱門(アーチ)。四角形の寺院の各4面の中央には、頂上に向かって階段が伸びており上と下の壇の境目には拱門が設けられています。

  • ストゥーパが壊れて外に露出している仏像

    円壇上部の仏像。元々はストゥーパに覆われていましたが、ストゥーパが破損した事で露出状態となっています。今となってはこの仏像がボロブドゥールのシンボルになっています。

歴史からその姿を消し去った寺院と遺跡群

早朝のボロブドゥールの全景

ボロブドゥール寺院完成直後の9世紀前半ごろ、それまでジャワを支配していた仏教信仰のシャイレーンドラ朝の勢力が衰えると、今度はヒンドゥー教信仰のマタラム王国がジャワ全土で権力を手にする様になりました。

しかし、マタラム王国はヒンドゥー教信仰であったため、それ以降はジャワ全土にイスラム教が定着する様になりました。

そして、仏教寺院であったボロブドゥール寺院は信仰の対象とならなかったため、その周辺からは人が去って行きました。そして1500年頃になると、度重なる火山灰や、繁殖力の強い熱帯の樹木によって寺院は完全に埋もれ、いつしかボロブドゥール遺跡は歴史から完全にその姿を消し去りました。

19世紀に発見されたボロブドゥール遺跡

無色界に整然とならぶストゥーパ

1814年、ジャワはイギリスに植民地化されていました。そして当時イギリスから副総督としてジャワに派遣されていた「トーマス・ラッフルズ」が密林に埋もれた巨大な仏教遺跡があるという噂を耳にします。そして、丘の上を探索すると、密林の中に埋もれた仏像の頭の部分を発見しました。

その後、樹木を焼き払うと約115m四方、高さ約30mの巨大ピラミッド型をした寺院、ボロブドゥールが全貌を現しました。

ボロブドゥール寺院は、トーマス・ラッフルズによって1814年に再びその姿を現すまで、何と1000年近くも 文明から棄て去られていたのです。

新たな発見から導き出された仏教の世界観

ボロブドゥール寺院の外観。

ボロブドゥール寺院は発見当初、その構造やレリーフが何を意味するのか不明でした。一説では仏教の宇宙観を現す曼荼羅ではないかと言われていました。ボロブドゥールの意味に関して諸説が唱えられる中、1885年に貴重な発見がありました。

一番下の石積みに隠された彫刻群があったのです。

そこには古代のジャワ文字が刻まれ「醜い顔」と読むことができました。この言葉は醜い欲望に支配される人間を表現した言葉でした。そしてこの発見により、一番下の「基壇」は我々人間が住む「欲界」を現している事が分かりました。

つまり、ボロブドゥール寺院の構造は、一番下の基壇、その上の方形壇、そして一番上の円壇の三壇から成り、それらは仏教で説かれる「三界」を表現したものであるという説でした。

「三界」とは、情欲や欲望に支配された「欲界」、欲望は超越してもまだ肉体を持つ「色界」、全てを超越した「無色界」の事を言い、上に登って行くほど、上流の世界であることを表しています。

ムラピ山の噴火と遺跡の復興

火山灰に覆われたボロブドゥール遺跡

2010年11月、ボロブドゥールから約30km南西にある活火山「ムラピ山」が噴火しました。寺院と遺跡群には灰が降り積もり大きな被害を受けました。

噴火の間(11月3日〜5日)に降り積もった灰の厚さは約2.5cmにまで達しました。この灰により寺院周辺の樹木も大きな被害を受けました。

専門家も噴火の影響を危惧し、このままだとボロブドゥール遺跡群は致命的な被害を受けると警鐘を鳴らしました。

噴火が収まると、早急に灰の除去作業をスタートしました。灰の除去作業のため寺院が完全にクローズドしたのは10月5日〜9日の短い期間でしたが、寺院の上層に関しては、2011年の9月まで灰の除去作業が続き、その間は上層への入場は制限されていました。

上層の灰を一定量取り去ると、ボロブドゥールの保全団体は上層への入場規制を解除し、1日82人限定で入場が可能となりました。

更にユネスコは、寺院の沈殿物の除去を行うための資金として三億円の寄付を行いました。この寄付金によって雨天時の排水システムなどが完備され、2011年11月にはムラピ山噴火被害の修復は完了しました。

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