平等院鳳凰堂の見どころ、所要時間、行き方【京都 観光情報】
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本記事では京都宇治の世界遺産【平等院】の「観光情報」や「行き方」などはもちろん、院内マップを交えた「見どころや回り方」などについても詳しく解説致します。これから平等院を観光する上で役立つ情報が満載です。
平等院とは
京都 宇治の観光名所「平等院」は、1053年(天喜元年)に藤原道長の息子「頼通」によって建立された国宝の建造物です。
その評価は歴史的にも文化的にも高く、1951年(昭和26年)には10円硬貨のデザインに選ばれ、1994年(平成6年)にはユネスコの世界文化遺産にも登録されています。
敷地内には国宝の「鳳凰堂」を始め、重要文化財の「観音堂」、浄土式の史跡・名勝に指定されている「庭園」など、多くの見どころが存在しています。
更に2001年(平成13年)には、国宝や重要文化財を多数収めた博物館「ミュージアム鳳翔館」も開館し、2007年には大々的な修復作業も完了しました。
京都の人気観光スポット「平等院鳳凰堂」は、令和の今が正に旬と言えるほど充実しています。
基本情報
本項では、平等院鳳凰堂の「営業時間」「拝観料金」「ロケーション・アクセス」などについて解説します。
営業時間・定休日
平等院鳳凰堂の営業時間は敷地内の各施設ごとに若干だけ異なりますが、平等院敷地内への最終入場は17時15分までとなります。
営業時間
【庭園】
・8時30分〜17時30分(受付終了 17:15)
【鳳凰堂内部拝観】
・9時00分〜16時10分(各回定員20人まで)
【平等院ミュージアム鳳翔館】
・9時00分~17時00分(受付終了 16時45分)
【ミュージアムショップ】
・9時00分〜17時00分
【茶房 藤花】
・10時00分〜16時30分(最終注文 16時00分)
【集印所】
・9時00分〜17時00分
注意点としては、公式HP上には「内部拝観希望者が多数の場合は最終受付以前に終了する場合もございます。ご了承下さい。」との記載もあるのでご注意ください。遅くとも16時頃までには訪問するのがお勧めです。
また、営業時間は変更となる場合もあるので、平等院鳳凰堂公式HPの「拝観案内ページ」にて確認するのが確実です。
定休日
平等院鳳凰堂は年中無休で営業しています。ただし、敷地内にある「茶房 藤花」のみ火曜が定休日(火曜日が祝日の場合は営業)となります。
拝観料金(チケット料金)
平等院鳳凰堂には大きく2種類の拝観チケットがあります。
拝観チケット(入場料金)
入場者全員が購入する必要があるのがこの「拝観チケット(入場チケット)」になります。
個人 | 団体(25名以上) | |
---|---|---|
大人 | 600円 | 500円 |
中高生 | 400円 | 300円 |
小学生 | 300円 | 200円 |
こちら拝観チケットには「庭園」 + 「平等院ミュージアム鳳翔館」への入場が含まれており、鳳凰堂内部以外は全て見学可能です。
鳳凰堂内部の拝観チケット
鳳凰堂内部の見学を希望される方は、こちらのチケット購入が必要になります。
料金は「300円/1名」です。
専用の受付場所でこの拝観チケットを購入した方のみ(拝観予約をした方のみ)が、鳳凰堂内に入場して、国宝の「阿弥陀如来像」を見学する事ができます。見学はガイドさんの解説と共に行うツアー形式となります。
鳳凰堂内見学の受付場所や見学の流れなどは本記事後半の「鳳凰堂内 拝観受付の流れ・見学レポート」にて詳しくご紹介いたします。
ロケーション・アクセス
平等院鳳凰のロケーションと出発地別のアクセス方法をご紹介致します。
ロケーション
「平等院鳳凰堂」は、京都駅から南側に約13kmほど郊外にある「宇治市」の観光スポットです。最寄駅はJR奈良線の「宇治駅」となり、下車後「平等院鳳凰堂」の入口までは徒歩10分ほどです。
京都駅からのアクセスであればトータル所要30分〜40分で「平等院鳳凰堂」にアクセス可能です。
出発駅別 アクセス方法
【京都市内から】
■ 京都駅発
トータル所要時間:27分〜30分
「京都駅」から、JR奈良線(みやこ路快速)を利用して「宇治駅」下車後「平等院」までは徒歩10分ほど。
京都駅から平等院鳳凰堂への行き方につきましては、本記事後半の「京都駅から平等院鳳凰堂への行き方を詳しく解説」の項にて写真付きで詳しく解説して降ります。
■ 祇園四条駅・三条駅発
トータル所要時間:40分〜45分
「祇園四条駅」又は「三条駅」から京阪本線(特急)を利用して「中書島駅」で下車。京阪宇治線に乗り換えて「宇治駅」下車後「平等院」までは徒歩10分ほど。
【奈良市内から】
■奈良駅発
トータル所要時間:40分〜45分
「奈良駅」から、JR奈良線(みやこ路快速)を利用して「宇治駅」下車後「平等院」までは徒歩10分ほど。
【大阪市内から】
■大阪駅発
トータル所要時間:55分〜60分
「大阪駅」から、JR京都線(新快速)を利用して「京都駅」で下車。JR奈良線(みやこ路快速)に乗り換えて「宇治駅」下車後「平等院」までは徒歩10分ほど。
■淀屋橋駅発
トータル所要時間:55分〜60分
「淀屋橋駅」から、京阪本線(特急)を利用して「中書島駅」で下車。京阪宇治線に乗り換えて「宇治駅」下車後「平等院」までは徒歩10分ほど。
【東京から】
■東京駅発
トータル所要時間:2時間30分〜2時間50分
「東京駅」から、新幹線のぞみ号を利用して「京都駅」で下車。JR奈良線(みやこ路快速)に乗り換えて「宇治駅」下車後「平等院」までは徒歩10分ほど。
電車でのアクセス方法をプリントアウトしたい方は、公式サイトで配布されているPDF「電車でお越しの方」をご利用ください。
お車でのアクセス
車で平等院鳳凰堂を訪問される方は、公式サイトに掲載されているPDF「車でお越しの方」をご参照ください。
平等院鳳凰堂の見どころと回り方
平等院の敷地内には多くの見どころが存在しています。
基本は、北西側の入口から入場して時計回りに見学して行くのが順路です。敷地内各スポットの位置関係は以下の地図にてご確認ください。向かって左側が「北」になります。
鳳凰堂内部(別料金)を見学される方は、最初に「拝観受付」を済ましてから、北側の「扇の芝」あたりから見学をスタートしてください。参考までに私の訪問時は、鳳凰堂の拝観受付から実際に内部を見学できるまで1時間30分の空きがあったので、以下のルートで見学しました。※ 各スポットの文字をクリックすると、イメージ画像が開きます。
必見の見学箇所は赤字で表記しております。以下より、各見学スポットを詳しくご紹介してまいります。
扇の芝
"Byōdō-in in Uji, Kyoto prefecture, Japan" by 663highland is licensed underCC BY 3.0
平等院内で最も北側に位置する石柵で囲われた見学スポット「扇の芝」は、源頼政の自刃の跡であると伝えられています。傍には彼の歌碑が立ち、敷地内の西側にはお墓も置かれています。
観音堂
境内の北側に位置し重要文化財でもある「観音堂」は、平等院創建当時に本堂があった場所に再建された建物です。現在は外観のみ見学が可能です。
現存する古文書によれば、元の建物は16世紀後半に焼失したと記されているそうですが、確かな事は分かっていません。
観音堂の建造は、鎌倉時代前期まで遡り、鳳凰堂に次ぐ境内でも最古参の建物となります。大きさは、正面幅が約19m、奥行きは約10mほどです。
構造的には、天平時代(710〜794)の古典デザインを踏襲したシンプルな造りで、屋根の表面は平瓦と丸瓦を交互に組み合わた「本瓦葺(図)」で仕上げられています。また、屋根の4面はそれぞれ異方向に傾斜する「寄棟造り」です。
かつて堂内には、11世紀前半に製作された高さ167.2cmの「本尊十一面観音立像」が安置されていましたが、現在、この観音像はミュージアム鳳翔館に収蔵されています。等身大の檜を使用した見事な一本彫の傑作なので、是非鑑賞してみてください。
藤棚
観音堂の前にある樹齢280年とも言われる藤棚は、4月下旬〜5月上旬が見頃です。その頃には、美しい紫色の花房(はなぶさ)が垂れ咲き、鳳凰堂や観音堂を彩ります。
旧南門
立札によれば、安土桃山時代に造られた旧南門は、伏見桃山城から運ばれたとされています。
平成22年夏に行われた古典技法による再塗装工事の際に、主要部材の多くに希少な赤樫(アカガシ)が使用されている事が判明しました。固く火に強い赤樫は、戦国時代に城門などに使用された記録が残るそうですが、ねじれが起こりやすいため、赤樫を使用した建造物は他に確認されていないそうです。
更にこの南門は、現存する最古の「薬医門」としても注目されているとの事です。薬医門という様式は、「切妻造り(図)」の屋根と、正面の『本柱』とその後方の『控え柱』から成る門の事で、かつて城郭や邸宅などに多く用いられていました。
下は薬医門の構造をざっくりと図にしたものです。こちらも参考にしてください。
「薬医門」という名は、医者の門に多く使用されていた事に由来しているという説もあります。
集印所
神社や寺院ではもはや定番となっている集印も「平等院」で楽しむ事ができます。料金は300円(税込)で「鳳凰堂」と「阿弥陀如来」の2種からお好きな印を選ぶ事ができます。可能な限りお釣りがない様にと案内があるので、小銭を準備しておくのがマナーです。
集印に必要な集印帳をお持ちでない方は、この場所で購入する事もできます。集印帳の料金はデザインによって異なり、だいたい1,000〜1,600円ぐらいで設定されています。私の訪問時は5パターンから選ぶ事ができました。
時間の都合上、集印できませんでしたが、選ぶとすればやはり鳳凰の図柄が入った黒色のタイプでしょうか。
集印をされる方もしない方も、次に「ミュージアム鳳翔館」を見学される方は「六角堂」の右手側から赤矢印のルートで入場してください。
ミュージアム鳳翔館へは、拝観順路の案内に沿って行けば簡単に辿り着けます。
ミュージアム鳳翔館(博物館)
敷地内の西側にある「ミュージアム鳳翔館」は、平成13年に開館された博物館です。通常の拝観料金にはこの博物館への入場料金も含まれているため、ほとんどの方がこの博物館も見学されると思います。むしろ見学しないと勿体無いです。
下画像は鳳翔館の入口の景観です。
建築総面積816.04㎡を誇る館内は、一階にミュージアムショップ(お土産屋)を併設し、地下にて常設展示が行われています。展示内容は「国宝」「重要文化財」「宇治市指定文化財」を目玉に、創建時や平安時代の貴重な出土品や彫刻など多岐に渡ります。更に鳳凰堂内部の彩色を再現した展示室や、CGによる映像設備も完備しています。時期によっては、特別展などが開催されている事もあります。
収蔵展示品の中でも、国宝に指定されている「梵鐘(ぼんしょう)」「雲中供養菩薩像26躯」「鳳凰1対」は必見です。
「雲中供養菩薩像」は全52躯存在しますが、そのうちの26駆がこの博物館に、残りの26躯は現在も「阿弥陀如来坐」と共に鳳凰堂内を飾っています。
ミュージアムショップ(お土産屋)
鳳翔館の1階に併設しているギフトショップでは、平等院や収蔵品に関連した書籍や絵画、お茶、アクセサリー、雑貨などが販売されています。
伝統的な柄を可愛いくデザインしているので、年齢問わず購買意欲をそそると思います。ミュージアムショップは、鳳翔館見学時は必ず通過する場所なので、興味のある方は是非立ち寄って身てください。
休憩所
ミュージアムショップ側から鳳翔館の建物を出ると、屋根のついた休憩所があります。夏の日差しや雨よけ時の休憩所としてはお勧めのスポットです。
秋などはベンチから綺麗な紅葉を鑑賞する事ができます。
茶房
ミュージアム鳳翔館の南側の出口から外に出ると、休憩スポット「茶房 - 藤花」があります。この場所では、専属の日本茶インストラクターさんによる「平等院限定ブレンド」の宇治抹茶などが提供(有料)されています。
素材の良さを充分に引き出すために、茶葉の量、湯の温度管理、抽出方法に徹底的に拘っているそうです。提供メニューは主に「宇治抹茶」「宇治玉露」「宇治煎茶」の三品で、それぞれ温と冷の選択が可能です。料金は600円〜で、少量の茶菓子がセットになっています。敷地内見学の休憩に一押しの癒しスポットです。
梵鐘
鳳凰堂の南側、園池のほとりにある鐘楼には、国宝に指定されている「梵鐘(ぼんしょう)」があります。鐘の高さは約2m、底部の円の内径は1.24mほどあり、重量は3トンにものぼります。参考までに「梵鐘(ぼんしょう)とは「釣鐘」の事です。
この平等院の「梵鐘」は、東大寺(神護寺)、三井寺(園城寺)の鐘と共に「天下の三名鐘」に数えられ、「声の園城寺鐘」「勢の神護寺鐘」「姿の平等院鐘」と謳われてきました。
天下の三名鐘の中でも「姿の平等院鐘」と称されるだけあり、表面は、獅子、鳳凰、龍、踊る天人、唐草などを象った美しい浮き彫りで飾られています。
かつてこの「梵鐘」は60円切手のデザインに使用されていました。昭和生まれの方なら一度は目にした事があるはずです。
残念ながら、この場所に設置されている「梵鐘」は複製品となり、本物は錆防止などの保存上の理由からミュージアム鳳翔館に収蔵展示されています。
浄土院
鳳凰堂のほぼ正面、敷地内の西側には塀に囲まれたエリアがあり、本堂にあたる「浄土院」を中心に、「大書院」「養林庵書院」「羅漢堂」など歴史的な建物が複数並んでいます。以下の院内マップにて位置関係をご確認ください。
以下より、各建物について解説致します。
浄土院
エリアの入口正面に建つ本堂「浄土院」は、平等院の塔頭の一つです。室町時代(1492〜1501年)に、浄土真宗の栄久上人が平等院修復のために開創した建造物であると伝えられています。参考までに「塔頭(たっちゅう)」とは、本寺の境内にある小寺の事で、平等院内にはもう一つ「最勝院」と呼ばれる塔頭があります。建物は鳳凰堂と同じく「入母屋造(図)」で、表面は「本瓦葺(図)」で仕上げられています。
大書院
浄土院の南側に連なる「大書院」は、15世紀後半(室町時代中期・後期)に建立されたと言われています。内部には、後醍醐天皇が三種の神器を納めるために平等院に滞在した際の御座所(貴人の居室)が残されています。大書院は平等院山内では最古の書院となります。
養林庵書院
大書院の更に南側に位置する「養林庵書院」は、伏見城から移築したといわれる貴重な建造物です。
屋根は、檜の樹皮を用いて施工する日本古来の手法「檜皮葺(図)」で造られており、建物全体が国の重要文化財に指定されています。檜皮葺で造られた建造物では、同じく京都市内にある「東寺」なども有名です。
院内には、狩野山雪作の書院障壁画13面(宇治市指定有形文化財)を始め、狩野派と呼ばれる画家たちの貴重な芸術作品が残されています。
羅漢堂
浄土院の建物を正面にして右手側にある「羅漢堂」は、宇治市指定文化財になっている禅宗様の建造物です。
内部は、極彩色の十六羅漢像や、金色の障壁画、天井の雲龍画など、貴重な芸術作品群で彩られています。現在は文化財保護の観点から見学不可となっていますが、時期によっては期間限定で公開されている事があります。
最勝院
浄土院の北側に隣接するエリアには「最勝院」を中心に、「不動堂」「源頼政の墓地」など複数の見学ポイントが存在しています。以下の院内マップにて位置関係をご確認ください。
以下より、各見学ポイントについて解説致します。
最勝院
最勝院は、1654年に勝仙院の僧が平等院に移住し、最勝院と号した事が起源とされています。かつて、平等院全体の管理経営や修理の主導権を巡っては、「天台宗(最勝院)」と「浄土宗(浄土院)」が共に権利を主張していた時代がありました。その後、江戸時代に平等院が両宗の共同管理となったため、現在は天台宗と浄土宗が、交代で護持活動を行い維持しているそうです。
不動堂
最勝院の南側に隣接する建物「不動堂」の内部には、鎌倉時代に造られた高さ144.5mの「本尊不動明王立像」が安置されています。残念ながら内部を見学する事はできません。
源頼政の墓地
最勝院の建物を正面にして左手奥には、保元・平治の乱で武勲を挙げ、優れた和歌を数多く残した名歌人「源頼政」の墓(宝篋印塔)があります。頼政は、治水4年(1180年)の5月26日に平家討伐の兵を挙げますが、平知盛に撃退され、平等院境内にて自生の句を残して自刀しました(76歳)。
毎年、命日である5月26日には、頼政を偲んで「関白頼政忌」が営まれます。その際は、僧団が境内を巡ってから鳳凰堂でお経を読み上げます。
現在、彼が自刃した跡地は「扇の芝」と呼ばれる見学スポットになっています。
鳳凰堂
極楽浄土の宮殿をモデルに創建されたと言われる国宝「鳳凰堂」は、正面の「中堂」とその後部の「尾廊」、更に左右の切妻造りの「翼廊」から成る独特の建物です。
建物の高さは13.6m、長さは南北に41.5m、東西に31.8mの規模があり、正面には阿字池が広がっています。中堂の建物は、東アジアの伝統的様式である「入母屋造(図)」で、屋根の瓦は「本瓦葺(図)」で仕上げられています。
元々は阿弥陀如来像を安置していた事から、阿弥陀堂と呼ばれていましたが、江戸時代の初期頃より現在の「鳳凰堂」の名で呼ばれる様になりました。
鳳凰堂の名は、外観が翼を広げた鳳凰の様である事や、屋根に一対の鳳凰(画像下)が飾られている事などに由来しています。
この対面にもう1体の鳳凰像が飾られており、共に高さは1mほどです。ただし、これらは複製品で本物は「ミュージアム鳳翔館」に展示されています。
中堂の左右に広がる翼廊は、元々何かの用途があった訳ではなく、見た目を整える事を目的に造られたそうです。
中堂の後ろ(西側)にそびえる尾廊も、単なる通路として造られた部分で、如何にこの鳳凰堂が形状にこだわっていたかが分かります。
鳳凰堂内部は、9通りの来迎を描いた壁扉画や扉画など日本芸術の善美が尽くされ、内部には高さ277.2cmの国宝「阿弥陀如来坐像」も安置されています。更にそれを取り囲む様に同じく国宝の「雲中供養菩薩像」が飾られています。阿弥陀如来像も雲中供養菩薩像も、平安時代後期に活躍した仏師「定朝」と彼の一門の作品であるとされています。
【阿弥陀如来坐像】
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本像は確実に「定朝」自身の作とされる唯一の作品で、この場所にあるのが正真正銘の本物です。上の写真では見えませんが、像の上の美しい天蓋も必見です。天蓋や仏像背後の光輪などは、拝観チケットに仏像のカラー写真掲載がありましたので、こちらをご覧ください。
【雲中供養菩薩像】
This image is public domain source by WIKIMEDIA
雲中供養菩薩像は全て雲に乗り、何らかの楽器を奏でているか、立って舞う様な姿をしています。全52軀あるこれらの像のうち26軀はミュージアム鳳翔館に展示されています。鳳凰堂内だと、暗くて像の細部まではよく見えませんが、鳳翔館に足を運べばじっくりと国宝を見学できます。雲中供養菩薩像は、恐らく定朝とその弟子たちが手掛けた作品であるとされています。
鳳凰堂内の見学は、通常の拝観チケットでは入場できませんので、入口近くの窓口にて見学ツアーの予約が必要です。この辺りの詳細は次項にて詳しく解説しています。
鳳凰堂内 拝観受付の流れ・見学レポート
平等院内で見学のメインとも言える鳳凰堂内部の拝観ツアーは、1日に21回(1時間に3回)ほど開催されています。拝観受付を完了の上で、開始時間の5分前までに集合場所に移動し、専任のガイドさんと共に見学を開始します。
ツアーと言っても、見学ポイントは1箇所で、ガイドさんの解説を聞きながら国宝の「阿弥陀如来坐像」を見学する形になります。拝観の所要時間は15分〜20分ほどになります。以下より、鳳凰堂の拝観受付から見学までの簡単な流れを解説致します。
STEP1 拝観受付
鳳凰堂内を見学するには、通常の拝観チケット(入場チケット)とは別途で「鳳凰堂の拝観受付」が必要です。受付場所は以下の地図にて確認ください。
電車で「宇治駅」からお越しの方は、まず間違いなく北側の「表門」から入場されると思います。表門の手前にある「チケット売場」で通常の拝観チケット(入場チケット)を購入して見学エリアに入場します。後は少し道なりに進んだ右手側にある「鳳凰堂の拝観受付所(画像下)」で手続きを行うだけです。
受付で参加したい人数を伝えると、現在時刻から最短の見学時間を指定されるので、その時間で良ければ鳳凰堂専用の拝観料300円/1名を支払って鳳凰堂内見学用のチケットを受け取ります。このチケットはここでしか購入できません。
鳳凰堂専用の拝観チケットには「見学開始時間」が記載されています。参考までに私の訪問時(受付時)は10時20分頃でしたが、見学開始時間は11時50分に指定されました。見学ツアー開始まで、1時間30分の空き時間がありましたが、敷地内をゆっくりと見学していたら結構あっと言う間でした。
STEP2 ツアー開始地点に集合
チケット記載の拝観開始時間の遅くとも5分〜10分前ぐらいを目安に、指定された集合場所に移動しておきます。集合場所は拝観受付所の目の前にある橋のたもとです。
下の画像も参考にしてください。
集合場所には、案内の方(ガイドさん)が立っています。奥で青い傘を持っているのがガイドさんです。5分ぐらい前になると、鳳凰堂見学時の注意事項が説明されますが、遅れてくる人がいたので何度も同じ説明をされていました。ちょっと大変そうでした。
STEP3 拝観開始
開始時間になったら、ガイドさんの案内で橋を渡って鳳凰堂に向かっていきます。
堂内は土足禁止なので橋を渡ったら靴を脱ぎます。履き間違えがない様に番号が振ってありました。また、傘も持ち込めないので、このタイミングで指定の場所に預けておきます。
準備が出来たら、ガイドさんと共に鳳凰堂内に入場して見学ツアー開始です。
中に入ったら、後はガイドさんの説明を聞きながら、じっくりと国宝を堪能してください。内部はそこまで広くありませんので、歩ける範囲も入口付近だけに限定されています。もちろん写真撮影は一切禁止です。ガイドさんの解説は10分ほどで終了します。終了後はご自身で橋を渡って戻ります。
【鳳凰堂内拝観ツアーの個人的感想】
内部は薄暗く、「雲中供養菩薩像」や「壁扉画」は見えづらかったですが、高さ277.2cmの国宝「阿弥陀如来坐像」とその頭上にある「天蓋」は中々の迫力でした。どちらかと言えば、凄いものを見て感動したというよりは《人類にとって凄く貴重なものを見学できた》という達成感的な喜びが強かったです。人によっては物足りなさを感じる方もいるかもしれませんが、個人的には見学して良かったと感じました。数年後にもう1度平等院を訪問した際は、間違いなく再び鳳凰堂内は拝観すると思います。
【鳳凰堂内の拝観詳細とスケジュール】
鳳凰堂内拝観の詳細やスケジュールなどは公式HPの「内部拝観について」ページにて記載されておりますので、詳しく知りたい方はそちらでご確認ください。
見学所要時間の目安
平等院敷地内の見学所要時間の目安は1時間30分〜2時間ほどです。
ただし上記は、私自身が実際に敷地内の見学スポットを全て(茶房を除く)回った際の経験から設定した所要時間です。
当たり前かも知れませんが、見学に要する所要時間は、皆さんの見学範囲によってかなり差が出ると思います。
例えば、庭園を一周しながら建物の外観をさっと見学して記念撮影するだけなら、所要30分弱もあれば時間的に十分です。
一方「鳳凰堂」や「ミュージアム鳳翔館」内に入場して、国宝や重要文化財をじっくりと見学したい方は、待ち時間も含めて、やはりトータル所要2時間ぐらいは必要かと思います。ただしこの場合も、鳳凰堂の拝観受付をしてすぐに見学できれば、所要1時間15分〜1時間30分ぐらいでも全スポット網羅は可能だと思います。一番コントロールの効かない部分が《鳳凰堂内部を見学するまでの待ち時間》です。逆に言うと、鳳凰堂内見学を諦めれば、いくらでも時間のコントロールが可能です。
また、国宝や重要文化財の展示が行われている「鳳翔館」などは、ご自身のペースで見学可能ですが、じっくりと見学してショップで買い物などを楽しむと、30分〜40分はあっという間だと思います。実際の見学時間としては鳳翔館が一番ボリュームがあります。
平等院のおすすめ訪問時期
平等院鳳凰堂の敷地内は秋頃になると、あちこちで美しい紅葉が見れるので、訪問時期としては10月後半から11月前半ごろがお勧めです。ただし、紅葉のタイミングは気象によって変わると思いますので、その年の紅葉情報をご確認ください。
また、秋以外でも、4月下旬〜5月上旬頃に開花する紫の「藤」や、4月上旬に開花する「桜」の景観も見事なので、この時期も訪問タイミングとしてはお勧めです。
平等院の開花情報については、公式HPの「開花情報」のページにて随時紹介されているので参考にしてください。
京都駅から平等院鳳凰堂への行き方を詳しく解説
本項では、京都駅から電車を利用した「平等院鳳凰堂」への行き方を詳しく解説致します。
STEP1 JR京都駅構内「奈良線」の乗車ホームへ移動
平等院の最寄りである「宇治駅」に停車する「奈良線」は、JR京都駅内乗車ホーム8〜10番線のいずれかから発着します。乗車ホームの位置を詳しく知りたい方は、JRのお出かけネットにて「京都駅の構内図(PDF)」が配布されておりますので参考にしてください。
各駅停車の奈良行か城陽行、みやこ路快速の奈良行のどれに乗車しても「宇治駅」には停車します。快速と各駅で10分ぐらい到着時間に差がありますが、基本は先発の電車に乗車するのが最速です。
快速なら3駅目、各駅なら8駅目が「宇治駅」です。乗り換えはありません。
STEP2 「宇治駅」の南口から平等院にアクセス
宇治駅で電車を降りたら「南口」から駅の外に出ます。
南口から駅を出たら、正面のロータリーのカーブに沿って道なりに歩いていきます。
奥の信号を渡って、そのまま通りを直進します。右手には「伊藤久右衛門」などが見えると思います。
突き当たりの「中村藤吉 宇治本店」を左折します。
ここからのルートは色々ありますが、どの道を行っても距離的には大差ありません。下のグーグルマップを参考にしてください。
地図のルートの終点を確認頂くと分かりますが、平等院の入り口は敷地内の北側にあります。敷地内入口付近の景観は以下の画像を参考にしてください。
地図が苦手な方は、人混みの流れや、案内板に従って行くだけでも「平等院」には簡単に辿り着けますので心配は全くありません。
STEP3 拝観チケットを購入して有料エリアへ入場
平等院の敷地内に入ったら、後は道なりに進んで行くと「入口」の看板が見えてきます。
案内版に沿って右手側に進み「拝観チケット(入場券)」を購入します。後は、その先の係員さんに拝観チケットを提示して、赤い門の先から見学をスタートしてください。
まとめ - 平等院鳳凰堂 見学の3か条
本記事のまとめとして、平等院鳳凰堂をじっくりと効率良く観光したい方に向けた「見学の3か条」をご紹介します。
① 必ず最初に鳳凰堂内部の拝観予約をすべし
本記事内のここまでで再三に渡り取り上げてきましたが、鳳凰堂内部には通常の拝観チケットでは入場できません。別途で、拝観受付の上で鳳凰堂内部見学専用のチケット(画像下)が必要となります。
鳳凰堂内部の拝観(見学ツアー参加参加)を希望される方は、到着したらすぐに拝観受付を済ましてしまうのがベストです。
鳳凰堂内の見学は受付してすぐに出来る訳ではなく(できる場合もありますが)、空きがある早い時間帯から随時見学時間を割り当てられていきます。
各回の見学定員は20名(コロナ以前は30名〜50名ぐらい)までとなっており、その日の定員分の見学枠が埋まってしまうと見学ができなくなります。
以前に私が訪問した際も、受付完了から見学開始までは1時間30分の空きがありました。これがピークシーズンになると2時間以上、最悪の場合は受付終了という事もあり得ます。まずは拝観受付を済ましてから、庭園などを散策するのがお勧めです。
念のため補足いたしますが、鳳凰堂の外観見学や庭園散策、鳳翔館ミュージアムに入場するだけなら、鳳凰堂の拝観受付は必要ありません。これらは通常の拝観チケットの範囲で見学可能です。
② 朝一番の訪問がお勧め
通常の拝観チケット(入場チケット)購入とは別途で手続きが必要な「鳳凰堂内部」を見学される方は、開園時間である8時30分に訪問して、鳳凰堂見学の受付を済ませば、かなりの確率で最初の見学回である9時から鳳凰堂の内観が可能となります。
また、朝一訪問によって混雑のピークを避ける事もできますし、見学終了後は、宇治駅前の人気お茶屋「伊藤久右衛門」で、少し早めのランチタイムなども可能です。
③ 無料のミュージアム「鳳翔館」の見学はお忘れなく
平等院鳳凰堂は、外観の見た目が非常に美しく、のんびり庭園を散策しながら歩くだけでも十分に楽しめます。しかし、拝観料には敷地内にある「鳳翔館ミュージアム(画像下)」の入場料金も含まれています。
鳳翔館には国宝となる「雲中供養菩薩像」をはじめ、貴重な仏像や美術品が数多く展示されています。時間がない方はともかく、日本の貴重な文化財を見学できる機会はそうは多くありません。是非、鳳翔館ミュージアムにも足を運んでみてください。
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